30歳を目前に控えた女優、シン・ミナの生き方

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カメラの前が一番正直で自由になるという女優のシン・ミナ。飾り気のないありのままの、一番シン・ミナらしい姿で久しぶりにカメラの前に立った彼女。「これが本当の私!」

このグラビア撮影の前日も、徹夜しながらドラマを撮影していたという彼女がスタジオに入ってきた。疲れが重なって風邪を引いてしまい、声さえ出ないほど具合が悪かった。首に大きなスカーフを巻いた彼女は、母親が作った梨汁を飲みながらコンディションを調整した。メイクが始まり、スタジオには彼女が着る衣装が並び始めた。

いよいよ撮影スタート。音楽が流れ、カメラのシャッター音がスタジオに響く瞬間、彼女が笑い始めた。撮影を準備しながら「もしかしたら」と心配したが、それは杞憂に過ぎなかった。ときには天真爛漫な笑顔を、ときにはセクシーで魅力的な眼差しを見せる彼女の誰よりも明るくて幸せな姿を写真に収める。実に久しぶりに“本当のシン・ミナ”を見たような感じだった。彼女の目も期待に満ちていた。撮影が終わった後、彼女に会った。それ以上正直になれない飾り気のない、堂々としたありのままのシン・ミナに。


2年ぶりに復帰した「アラン使道伝」

―「アラン使道伝」の撮影でかなり忙しいと思うが、少し韓服を脱いで日常のシン・ミナに戻った感想はどうか。

シン・ミナ:すぐドラマ撮影のために現場に戻らなければならないけれど、写真の撮影はいつも楽しい。ファッションモデルとしてデビューしたからか、スタジオに来ると故郷に来たような感じもする。ファッションメイクをすることも面白いし、新しい服を着てみることもいいし、また違う自分に出会えることはいつも幸せで楽しい。

―今日のコンセプトは女優のシン・ミナではなく、日常のシン・ミナを覗き見ることができるいい機会だったと思う。

シン・ミナ:正直に今、私はどの角度で、どのようにメイクをすれば綺麗に見えるのかが分かる。それで、ここ数年はグラビアを撮るとき、そのような姿を求めていた。だけど、今日は少し違った。ついさっき私の写真をチラッと見たけれど、デビューのときの顔に見えてびっくりした。メイクもマスカラしかつけなかったし、できる限り着心地のいい衣装を選んだ。スタッフもモデルのときからの知り合いで気楽だったし、また彼らと一緒に撮影したことを思い出して幸せだった。久しぶりに一緒に仕事をしたいと思った人々との撮影だったので、今回のグラビアへの個人的な期待が大きい。飾り気のない本当の私の姿を収めるというコンセプトも気に入った。

―熟慮の末に選んだ作品が「アラン使道伝」だ。心を動かした一番大きい理由は?

シン・ミナ:たくさんの作品からオファーがあったし、その中には本当にやりたかった作品も多かった。その過程で私が一番重要だと思ったのは、人々とのコミュニケーションだった。もっと近づきたいという気持ちが多かったし、そういう意味で「アラン使道伝」は重い感じはあるけれど、アランというキャラクターが明るくて元気な感じだったので決めた。

―イ・ソリムとアラン、どう見ても一人二役だ。共通点と差異点が共存するはずだが、困難はなかったのか?

シン・ミナ:イ・ソリムを全部撮ってからアランを演技するのではないので、そのときそのとき瞬間的にイ・ソリムからアランに変わらなければならない。「今回はイ・ソリムだ」としたら淡いイ・ソリムにならなければならず、「アランだ」とすればまた戻ってこなければならない。イ・ソリムは、思うだけの切なくて悲しい女性で、アランは何でも一応ぶつけてみようと思う人物。どちらも魅力的なキャラクターである。だけど、イ・ソリムを撮影するときは、なんとなく悲しくなる。

―ウノ使道(イ・ジュンギ)と完璧なコンビになっている。イ・ジュンギは、最初からシン・ミナに無限の愛情を表現し、目を引いた。「芸能人を見ている感じ」という話までしたと聞いた。

シン・ミナ:私ではなく、他の女優さんがアランをしたとしても同じことを言ったと思う(笑) イ・ジュンギさんはすごいムードメーカーで人の気持ちによく合わせてくれる。

―前作「僕の彼女は九尾狐<クミホ>」で息を合わせたイ・スンギと今のイ・ジュンギを比べると?イ・ジュンギは年上、イ・スンギは年下だが。

シン・ミナ:二人とも良い俳優さんだと思う。特に年上、年下で感じられる違いはなかった。「僕の彼女は九尾狐<クミホ>」のときは、スンギさんが私を姉さんではなく、劇中の名前のミホと呼んだので年下という感じは正直なところなかった。今回ジュンギさんには、撮影序盤から自然にジュンギ兄さんと呼ぶようになった。前は、どこに行ってもいつも末っ子だったのに、この頃はお姉さんと呼ぶ人が多くて「私も年取ったな」と思ったりする。ジュンギさんは兄で気楽だった。二人の似ているところは、いつも現場で明るくエネルギーがあふれているということ。ドラマは忙しいので体力的に厳しくなって私はすぐ疲れるタイプ。だけど、二人は男性俳優だからそうかもしれないけれど、いつも楽しそうで活気に満ちている。現場にポジティブでいいエネルギーを与える俳優だ。特に、イ・ジュンギさんは本当に独特な人だと思う。いつも気分が良さそうなので。

―それでは、同い年のヨン・ウジンはどんなタイプなのか?

シン・ミナ:人見知りで静かなタイプ。だけど、親しくなるとよくいたずらもするし、面白い人。私も人見知りだけれど、もし撮影現場にヨン・ウジンさんと私、二人だけだったら作品が終わるまでに親しくなれたのかなと思う(笑)

―韓服は身体によく合っていたのか。5着で撮影していると聞いた。

シン・ミナ:時代劇は初めてで「韓服を着て活動することは、簡単ではないだろうな」と心配した。だけど、毎日韓服を着て撮影してみると、思ったより韓服に慣れるまであまり時間がかからなかったし、逆にこの頃は韓服の着心地がもっとよくなった。そして、ドラマでアランがウノ使道から韓服をプレゼントされて今は5着より多くなった(笑)

―「アラン使道伝」は、シン・ミナにどんな作品として残ると思うか。

シン・ミナ:アクションドラマ?(笑) それは冗談で、多くのことに挑戦できた作品かな。「アラン使道伝」はフュージョン時代劇ではあるけれど、時代劇というジャンルは初挑戦だったし、崖にしがみついたり、幽霊と戦ったり、なにかと身体でたくさん表現しなければならなかったことは事実。アクションというのは恥ずかしいけれど、体を張る演技に挑戦したいい機会だったと思う。


応答せよ“1998”

―中学生のときからモデルの仕事を始めた。以前撮影したグラビアや写真を取り出して見たことがあるのか?あるならどんな感じだったのか?

シン・ミナ:昔の写真は、ほとんど持っている方。たまに出して見ると「シン・ミナらしい」という感じが一番強い。その当時の洗練されていない幼い私を見ると、何かを表現しようと努力するよりは、ありのままの姿がそのまま反映されていていいと思う。

―当時ファッション雑誌で大活躍したモデル、シン・ミナをはじめキム・ミニ、ペ・ドゥナ、コン・ヒョジンなどが現在芸能界で最高の女優になった。よく連絡したり会ったりもするのか?

シン・ミナ:もちろん。ヒョジン姉さんとは頻繁に連絡し、撮影がないときはいつも会う。「アラン使道伝」の撮影前にマネージャーなしで姉さんと旅行にも行ってきた。南フランスの方に住んでいる姉さんに会って一緒に旅行した。重い荷物も一人で持って、物も整理して。体は大変だったけれど、何か新しい感じがしたし記憶に残る時間を過ごした。また、ミニ姉さんとも親しい。ヒョジン姉さんと一緒に会ったり、しょっちゅうは会えないけれど、時間があるときはよく連絡する方。同じ時期に活動を始めたからかお互いに話が通じるし、関心事も似ているし、それだけ気も合う。私は二人が好きで、お互いに応援し合う間だからいつもお互いうまくいってほしいと言う。

―若い頃デビューし、芸能界を経験した。諦めたいと思ったこともあるのか。他の仕事がしたいと思ったことはないのか?

シン・ミナ:実は、幼いころからこの仕事を始めたので、他の仕事について深く考えたことがない。正直今はこの仕事以外の他の仕事をしている自分の姿を想像することさえできない。人々は、簡単にモデルから役者になれたと言うけれど、毎回難しいし今も同じ。まだ女優という職業について、これが私の道なのか悩むときがある。そのときは、いつも私を愛し、応援してくれる人々を考えながら元気を出す。実際世の中に厳しくない仕事ってあるのかな。誰もがこのような悩みを持って生きていくのではないかと思う。私は死ぬまで「うまくできているのかな?正しい選択だったのかな?」といつも悩むと思う。

I am シン・ミナ

―もっとも仲のいい友達、またはもっとも古い友達は?(一般人、または芸能人)

シン・ミナ:一番親しい友達のことを聞かれるのは、なんとなく慣れてない感じがする。芸能人では、先ほど話したヒョジン姉さんとミニ姉さん。また、長い間一緒にしてきたスタイリストもいるし、近いマネージャーの姉さん、そして長い付き合いの一般人の友達ぐらい。

―一番好きな食べ物、一番得意な料理があれば?

シン・ミナ:好き嫌いはあまりないけれど、普段は韓国料理が好きだ。時間に追われていつも食事というよりは、速く済ますという感じで食べるときが多くて、普通はチゲにご飯、キムチ、海苔などの一般的なおかずを並べて食べることが好き。幼いときは本当にお肉が好きだった。今は、もっとヘルシーで軽い方に変わったけれど、相変わらず肉が好きだし、うなぎのような元気が出る食べ物も好きで時々食べる。料理は、たまに一人でチゲを作ったりするけれど、うまく作れてるのかは分からない(笑)

―お酒はどれほど飲めるのか?

シン・ミナ:お酒は本当に苦手。そして、飲み会にもあまり行かない。たまに好きな人たちと静かなところで1、2杯くらい飲むならいい。だけど、それも長く座っている方じゃない。顔がすぐ赤くなってお酒を飲んだことがすぐ分かるから。

―シン・ミナだけのストレス解消法はあるのか?

シン・ミナ:時間的に余裕があるときは、一応旅行する。どうしても外国に旅行することになるけれど、行って心を整理して帰ってくる。音楽を聞くことが好きでたくさん聴く方で、一人でいるときには映画もたくさん見る。人々と会って話して、美味しいものを食べてぐっすり寝て旅行して。特別な方法ではないけれど、それなりにストレス解消にいい。
―女性たちがシン・ミナに一番聞きたいことは、やはりボティと美貌のケアについてだ。シン・ミナもダイエットするのか

シン・ミナ:ダイエットは必須!今回の作品では韓服を着てるので緊張感を緩めたらものすごく太った(笑) そしてどんどん年をとっていくことを感じる。撮影するときも、前よりきつい。特別な管理法はない。もともと前向きな方だけれど、最近になってよりプラス思考になるために努力している。


終わりが見えない演技

―演技が高く評価されている。正直プレッシャーはないのか?

シン・ミナ:アランはキャラクターがはっきりしている役で、面白く演じれたのでそういう話が出たのではないかと思う。また、久しぶりに選んだ作品であるだけに、それなりにたくさん準備したし、個人的にも「上手くやりたい、よくやらなければならない」という欲もあった。それだけ熱心にしたし、努力する姿が見られてよく見てくださったんだと思う。

―前からシン・ミナだけの魅力はあったが、実際に演技を認められたのは「僕の彼女は九尾狐<クミホ>」のときからだったと思う。「なぜ分かってくれないのだろう」と少し悔しいところもあったのではないか?

シン・ミナ:いつになるか分からないけれど、私が引退する日まででも難しいと思う。演技は、俳優自らがたくさん考えて、感じなければならない。すべてのものは努力してこそ実現されると思う。どう見ても、私が間違っていた部分もあったみたい。後悔した経験は、ずっと抱えていると辛いから考えないようにする。ただ、後悔する分、努力しようとする。すると、それだけの結果が出るから。

―自分がやりたい演技と上手くやれる演技、愛される演技は明らかに違う。女優として悩んだことはないのか?

シン・ミナ:やりたい演技を全部自由にやることがもちろん、一番幸せなことだと思うけれど、私によく合う作品と私が一番上手く演じられる役を選ぶのが今の私には重要だと思う。それで選んだ作品が「アラン使道伝」。たくさん悩んで決めるしかないけれど、アランという役を考えながら私がどういうふうに演技し、役をこなせるのかを描くことができて少しは気楽にこの作品を始めることができた。

―映画に出演したい気持ちはないのか?

シン・ミナ:ある。本当に映画は、とてもやってみたい。私がモデルのあと最初に演技を始めたのも映画で、出演した作品数を考えても映画の方が多い。それだけに良い姿をお見せしたかったけれど、個人的には未練と残念な気持ちがある。それで、映画はより慎重に選ぼうとする。

女優としての生き方

―シン・ミナを手本にしている後輩、または演技志望生が多い。どう思うのか?

シン・ミナ:とても恥ずかしい。まだ足りない部分がたくさんあるのに、このような私を好きになってくれたことはありがたく思う。早めにデビューしただけに、いつもどこに行っても一番若かったし、自分でも若いという感じが多かったけれど、いつの間にか私もこの年になった。いまさらだけど今は結構先輩の立場になったような感じがして、それなりに責任感も出てきた。今はまだ慣れない感じだけど、もっと熱心に活動する姿を見せなければならないかな。

―過去、または現在シン・ミナが手本にしている人物はいるのか?

シン・ミナ:幼いころ見たフランス映画の残像が強かったためなのか、フランス映画と女優への憧れのようなものがあった。早くから彼女たちの雰囲気と魅力にハマってしまったというか。長い間女優のジュリー・デルピーが好きだったし、ペネロペ・クルスも本当に好き。彼女らが持っている魅力を全部表現することはできないけれど、彼女らを見ていて私も長く魅力的な女優になりたいと考えるようになった。

―CM界で好まれる女優でもある。CMはもちろん、作品でも認められるスターは確かに多くない。

シン・ミナ:運が良かったと思う。CMの中に出てくる姿が好きでオファーしてくれるのではないのかな。CMも面白い作業だと思う。作品とはまた違って私の新しい姿を見せる媒体だし、人々から近いところでよく見られるのでもっと身近になるみたい。そして、シン・ミナという女優に親近感を感じられるようにしてくれたことは、本当にありがたいと思う。

―もうすぐ30代になる。「真の女優は30代から始まる」という言葉もあるが、シン・ミナの30代はどうなると思うのか?

シン・ミナ:心配になるし、気になったり期待したり、またプレッシャーもあるけれど、このような気持ちがもしかしたら私にはもっと大きな活気を与えてくれるかもしれない。気持ちのように簡単ではないと思うけれど、私が自らよく作っていきたいと思う。また、きちんと遊びたい気持ちもある。30代では、私の人生をもっと楽しみたい。幸せになりたい欲が一番大きい。余裕のある生活を楽しみながら生きていく30代を計画している。

―人々はまだシン・ミナから見てみたいと思うものがとても多い。どんな女優として記憶されたいと思うのか。

シン・ミナ:「シン・ミナって、こんな演技もできたの?」と思えるほど、自分の役を自然にこなし、多様性を見せられる女優になれればと思う。「もっと勤勉で賢くして、たくさんのことをお見せできたらよかったのに」という心残りな気持ちもある。だけど、色々な試みと挑戦、そして挫折と痛みがあったからこそ、これから30代ではもう少し勇気を出して色々なことをお見せできると思う。これからも期待していただきたい。

記者 : チョ・ヨンギョン