ソン・ジュンギ主演「私のオオカミ少年」多くの言葉よりも一度の眼差しが通じた125分間 ― 見る?見ない?

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名所に見所なしという言葉があるが、この映画は名声通りだった。ちょうど大作映画に飽きていた頃、心を貫くこの感受性の高い映画一本が嬉しかった。

10日、第17回釜山国際映画祭のP&I(Press&Industry)スクリーニングで「私のオオカミ少年」(監督:チョ・ソンヒ、制作:映画社ビダンギル)が初めて公開された。

第37回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門、第31回バンクーバー国際映画祭のDragons&Tigers部門に続き、第17回釜山国際映画祭のオープンシネマ部門にまで招待され、公開前から話題になっていたこの映画は、我々の期待を裏切らなかった。

2012年上半期に「建築学概論」(監督:キム・ヨンジュ)が韓国の恋愛映画ジャンルに活気を吹き込んだとすれば、「私のオオカミ少年」はその動きに拍車をかける映画だとも言えるだろう。

「私のオオカミ少年」のストーリーは次のようだ。体温46度、血液型判別不能で危険な存在であるオオカミ少年(ソン・ジュンギ)と、世の中に心を閉ざした寂しい少女(パク・ボヨン)の運命的な愛を描いた。ティッシュ数枚では125分間耐えることができないほど、観客の涙腺を刺激する「私のオオカミ少年」。見る?見ない?


感動的なBEST3

絵本のように美しい映像:可愛い絵が描かれた絵本を連想させる。「オオカミ」という存在の野性味がチョ・ソンヒ監督の繊細な演出と合わさり、絵本を連想させる美しい映像が仕上がった。

視線を捉える華やかな小道具やシーンはない。ただ暖かい光と色感でオオカミ少年と少女の愛を美しく表現した。特別な装置なしに淡々とストーリーを描いたチョ監督のセンスが伺える。

目で語った125分:ソン・ジュンギとパク・ボヨンはいつから目で演技をしたのだろうか。“ミルク男”ソン・ジュンギと“国民の妹”パク・ボヨンの目覚しい成長が楽しめる。

125分間にソン・ジュンギが発する言葉はたった10言。うおおっとしか言えないソン・ジュンギの演技が絶品だ。心に響くパク・ボヨンの涙の演技もすばらしい。おまけにパク・ボヨンの歌は男心をくすぐり、女性たちの嫉妬の視線を一身に集めるだろう。

信頼できる助演:信頼できる助演が頼もしい。「建築学概論」で初恋の象徴であるmiss Aスジを欲しがったユ・ヨンソクが、言葉も要らない真の“悪い男”になった。

また母親を演じるなら右に出るものはいないチャン・ヨンナムが、映画に安定感を与える。これまでは切々たる母性愛を見せてきた彼女だが、今回は少し空気の読めない母親に変身し、笑いを誘う。


残念なBEST2

レトロなストーリー:オオカミ少年と寂しい少女の出会いという90年代流の古臭いラブストーリーに驚くかもしれない。華やかでスケールの大きいストーリーを期待すればがっかりするはず。欲を捨てて、少年少女の静かなラブストーリーに満足せよ。

トレンドは回ってくるはず。残念だが、過去の思い出を浮かばせるレトロな映画が主流だ。年を取らないオオカミ少年と年取ってしまった少女の姿は衝撃的だが、ソン・ジュンギとパク・ボヨンだから大目に見よう。

集中を邪魔するCG:映像は美しいものの、CGがその映像に没頭することを邪魔する。憤った少年がオオカミに変身するシーンや銃を打たれるシーンのCGは観客を慌てさせるほどずさんだ。

オオカミに変身するシーンは少ないが、よりによってクライマックスで登場するのが問題。レベルの低いCGのせいで、緊張すべき瞬間に笑ってしまうかも。

記者が観客なら?

言葉が要らない「オオカミジュンギ」はオススメ:“主流男”ハ・ジョンウの後を継ぐ“新主流男”の誕生だ。彼の切ない眼差しに胸がキュンとするかもしれないので、前もって鎮静剤を用意しておくこと。嗚咽するだろうと思われるお姉さんファンは、バッグに必ずティッシュを用意しておくこと。

お金で買えない“野獣”ソン・ジュンギのギャップのある魅力にハマるかも知れない。パク・ボヨンにアルバムを提案したい衝動に駆られる可能性もある。肌寒い秋、寂しいお姉さんたちのための“ミルク男”をプレゼント。R15+。韓国で10月31日に公開される。

記者 : チョ・ジヨン