「アラン使道伝」視聴率低迷の3つの理由

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写真=MBC

遅い展開と複雑な構成が視聴者を遠ざけた

MBC水木ドラマ「アラン使道伝」(脚本:チョン・ユンジョン、演出:キム・サンホ)の視聴率が予想外に低迷している。トップスターのイ・ジュンギとシン・ミナが共演することで、当初はMBC最高の期待作だったが、蓋を開けてみると満足できない結果となった。なぜこのような状況になったのだろうか。「アラン使道伝」の不振はいったい何が原因だろうか。

1. まとまりのない台本が足かせとなった

「アラン使道伝」の不振には様々な理由があるだろうが、その中で最も大きな問題はやはり台本である。ケーブルドラマ「別巡検(ピョルスンゴム)」のチョン・ユンジョン脚本家が意欲的に執筆しているが、地上波ドラマデビュー作であるためか、実力をうまく発揮できてないようだ。放送を重ねるごとに余計な話が多くなり、緊張感も薄れている。

平日ミニシリーズの成功の鍵は、いかにスピーディにストーリーを展開するかにかかっている。短いドラマであるだけに物語を集約することで、視聴者をドラマに引きつけることができる。しかし「アラン使道伝」の展開は遅く、緊張感がない。解決していない事件が山ほどあるにもかかわらず、また他の事件や秘密が出てくるという悪循環が繰り返されているのだ。

アラン(シン・ミナ)の死の理由、ホンリョン(カン・ムンヨン)の正体、ジュワル(ヨン・ウジン)とチェデガム(大監:朝鮮時代の正二位品以上の官員の尊称、キム・ヨンゴン)の関係、ホンリョンとムヨン(ハン・ジョンス)の過去など、話したいことが多すぎてうまく展開できず、物語を紡ぎだす力を失ってしまう。そこにトルセ(クォン・オジュン)とパンウル(ファン・ボラ)のコミカルなシーンまで入れようとするため、焦点が分散され、面白みが半減する。過ぎたるは及ばざるがごとし。残りの放送にはまとまりが必要である。

もう一つの問題は“アランの死”を取り巻くいくつかの深刻な事件が緊張感もなく、ただ流れているだけであるという点だ。まとまりのない機械的なストーリー展開は、次回に対する何の好奇心も刺激しない。チョン・ユンジョン脚本家の冷静な自己反省が必要な時期である。


2. ミステリー推理ドラマは新しい視聴者を獲得しにくい

「アラン使道伝」のジャンルの特徴も視聴率低迷に影響を及ぼしている。当初、多くの視聴者は「アラン使道伝」を使道ウノ(イ・ジュンギ)と幽霊アランの甘いラブコメディと予想していたはずだ。しかし蓋を開けてみると、天上界と地上界が複雑に交錯するミステリー推理ドラマだった。視聴者の期待は裏切られたのである。

このようなミステリー推理ドラマは、ドラマの主な視聴者層である女性に受け入れられやすいジャンルではない。特に、お茶の間のチャンネル権を握る30~60代の主婦層は難しくて複雑な推理ドラマよりは、軽くて分かりやすい、シンプルなストーリーを好む。裏番組の「優しい男」が“男が女に復讐する”という単純なテーマで注目を集めているのに対し、「アラン使道伝」のストーリーは一つにまとめることができない。

さらに推理ドラマは、途中から見ることが難しいという欠点もある。最初から見ていなかった人には流れが分かりづらく、様々な関係や伏線を理解するのも容易ではないからである。「アラン使道伝」が少し力を抜いて軽く展開していたらという残念さがある。


3. 強大な裏番組…運も悪かった

さらに追い討ちをかけるように、「アラン使道伝」は運も悪かった。第1話がスタートした時、裏番組のKBS「カクシタル」はすでに20%台の高い視聴率を記録していた。裏番組の視聴率が20%を超えているということは、その分の視聴者を奪われたということである。かなり不利な状況で視聴率競争がスタートしたわけである。

「アラン使道伝」はそれ以来「カクシタル」に抑えられ、視聴率を上げられず同時間帯2位にとどまった。さらに「カクシタル」の放送最終週には、14%だった平均視聴率が11%に下がってしまった。「カクシタル」の最終回のために、視聴率を稼がなければならない時期に伸び悩んだ。

「カクシタル」が終わった後も状況は変わらなかった。「カクシタル」終了後、同時間帯1位を狙っていた「アラン使道伝」は、新しくスタートしたKBS「優しい男」により苦戦を強いられている。「優しい男」に追い抜かれてからは視聴率の差は開く一方だ。強烈な復讐で視聴者の目を釘付けにした「優しい男」の視聴率は急激に上昇している。

また、10月10日にはSBSが200億を投資した大作「大風水」がスタートし、水木ドラマの視聴率競争はさらに激化すると思われる。チ・ジニ、チソン、ソン・チャンウィ、キム・ソヨン、イ・ユンジ、チョ・ミンギ、オ・ヒョンギョン、イ・スンヨンなどそうそうたるキャストが総出演する「大風水」が加わることで、視聴率がどう動くか分からない。「アラン使道伝」としては「優しい男」を追いつつ、「大風水」も牽制するという二重苦に悩まされることになる。

「アラン使道伝」の最後の大逆転は可能なのか

「アラン使道伝」は全20話のうち、3話を残すのみとなった。有終の美を飾るには時間が足りず、状況もよくない。下半期、MBC最高の期待作の一つだった「アラン使道伝」が、残り3話をうまくまとめ、最後の大逆転が可能なのか。苦境に立たされている「アラン使道伝」の険しい道のりが気になる。

記者 : キム・ソンギュ