キム・ギドク監督「嘆きのピエタ」早期上映終了宣言…なぜ?

TVREPORT |

写真=TVレポート DB
キム・ギドク監督が多くの観客を動員している「嘆きのピエタ」の早期上映終了を宣言した。「嘆きのピエタ」は公開18日目の23日に、観客動員数50万人を突破した。

キム・ギドク監督は24日、「『嘆きのピエタ』の観客の皆さんへ感謝のメッセージ」を通じて、「至らぬところの多い映画『嘆きのピエタ』が今週末、観客動員数50万人を超えた。僕には50万人ではなく、500万人を超えたも同然だ」と話した。

続いて「嘆きのピエタ」の早期上映終了の意志を明かした。メジャー映画の映画館独占と交差上映(観客が少なかったり、興行性が低いと判断された映画はほかの作品と交互に上映する方式)に抗議するためだ。

キム・ギドク監督は以前、「嘆きのピエタ」の記者会見とSBS「強心臓(カンシムジャン)」でもこれと関連した問題を指摘したことがある。

キム・ギドク監督は「映画館独占に関する問題を提起した当事者として、9月6日に公開された『嘆きのピエタ』の上映終了を配給会社と話し合った」と言い、「公開第4週の28日目を最後に10月3日、すべての映画館からきれいさっぱり撤退する」と話した。

続いて「そして、チャンスに恵まれない小さな映画に上映の機会が与えられることを心より希望する」と付け加えた。

キム・ギドク監督は「いまだにシネマ・コンプレックスのスクリーンを1~2本の映画が独占している。同時代を生きる映画人たちが作った小さな映画が、上映の機会を得ることもできず、評価もされずに埋もれている」と指摘した。

「嘆きのピエタ」は今月9日(韓国時間)、第69回ベネチア国際映画祭の閉幕式で最高の栄誉である金獅子賞を受賞した。韓国映画が世界3大映画祭(カンヌ、ベルリン、ベネチア)で最高賞を受賞したのは「嘆きのピエタ」が初めてだ。

以下はキム・ギドク監督の「『嘆きのピエタ』の観客の皆さんへ感謝のメッセージ」の全文だ。

至らぬところの多い映画「嘆きのピエタ」が今週末、観客動員数50万人を超えました。僕には50万人ではなく、500万人の観客を動員したも同然です。

20代から70代のお年寄りの方まで、皆さんが「嘆きのピエタ」を見てくださいました。

娯楽映画でも、商業映画でも、コメディ映画でもない「嘆きのピエタ」を50万人の観客が見てくれたという事実は、僕個人の価値よりも韓国を映画文化の先進国にしていく上で重要な価値だと思います。

僕が外国に行って一番うらやましいと思ったのは、20代から70代までの人が同じ映画を見て、映画館の前であらゆる世代の人々が自由にその映画について議論する姿でしたが、「嘆きのピエタ」によって、そのような時代が来たと思います。

この前、「嘆きのピエタ」がベネチア国際映画祭で受賞し、記者会見でメジャー映画の映画館独占と交差上映に関する問題と、クリエイター優先の制作環境にすべきという問題を提起しました。

しかし、いまだにシネマ・コンプレックスのスクリーンを1~2本の映画が独占しており、同時代を生きる映画人たちが作った小さな映画が上映の機会を得ることもできず、評価もされずに埋もれています。

また、クリエイターの領域が狭くなり、投資家の考えが中心となって監督が交代させられ、彼らによってかつて成功した外国映画が正体不明の奇妙な韓国映画に変身し、映画館を掌握しています。

その映画が、韓国の数多くの映画学校の映画人たちが汗を流し、勉強して作りたかった、新鮮で健康的な韓国映画だと、堂々とそう言える創作物なのかを振り返るべき時です。

ここ10年の間に独創的な映画的挑戦と成果はほとんど失われ、投資会社の社員たちが注文する、どこかで見たような映画が、誇りもなく、観客数と収益という価値だけで評価されています。100年先を見据えなければならない映画産業が、目先の利益を追い、絶壁に向かって走っています。

メジャーはお金にならなければ、映画館を壊してほかの産業をすればそれでいいですが、その過程で犠牲になったクリエイターと撤退した観客には誰が責任を負いますか?

今、この瞬間にも映画館で上映されることを祈り、クリエイターとして血を吐きながら映画を作る多くの映画人がいます。

これまで多くの映画が、記録更新のためやわずかな収益のために、シェアが少なくても映画館を手放さず、無理をして確保していました。

僕は、映画館独占に対する問題を提起した当事者として、9月6日に公開された「嘆きのピエタ」の上映終了を配給会社と話し合い、公開第4週の28日目を最後に、10月3日すべての劇場からきれいさっぱり撤退します。そして、チャンスに恵まれない小さな映画に上映の機会が与えられることを心より希望しています。

健全な韓国映画の未来を期待する観客の方々と、「嘆きのピエタ」をご覧いただいた方々に心から感謝を申し上げます。

2012年9月24日 監督キム・ギドク

記者 : イ・スア