「シンイ-信義-」から「王になった男」が見える

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写真=CJエンターテインメント

ドラマ「シンイ-信義-」で高麗の主体性を確立するため服飾改革を発表した恭愍王、光海の実利外交と類似

「シンイ-信義-」の第8話で恭愍王(コンミンワン:リュ・ドクファン)は、これまで見せてきた軟弱なイメージの王ではなかった。元の服飾を捨て、高麗王の衣服である黄龍袍(皇帝の常服)を着て翼善冠(イクソンカン:国王が政務の時に使用していた官帽)を被った。彼の妻である魯国公主(ノグク姫:パク・セヨン)も母国である元の服飾ではなく、高麗王室の衣服を着た。

知っての通り恭愍王は“反元政策”(内政改革)で有名な高麗末期の王だ。もうこれ以上は、元の影響力のもとにいられないという恭愍王の意志を、服飾の改革を通じて大臣たちに見せたのだ。

「シンイ-信義-」での恭愍王は、第8話が放送される前までは人々が歴史本を通じて知っている反元政策を実行した“改革家”のイメージよりは“苦悩するハムレット”のイメージに近かった。恭愍王は、これまでは高麗の自主性を自ら主張する王ではなかった。それよりは部下から面倒を見てもらい、生命を維持する弱気な君主の姿、または元、そして強大な権力を持つ臣下のキチョル(ユ・オソン)に振り回されていた王だった。

チェ・ヨン(イ・ミンホ)の心を掴むために努力するが、それさえもうまくできないどうしようもない王だった。優柔不断だった恭愍王が改革意志で奮起したことは、誰かから刺激を受けてこそ可能なことだった。

恭愍王に刺激を与えるのは「シンイ-信義-」の中でチェ・ヨンが果たす役割だ。恭愍王とチェ・ヨンの関係は、厳格に“君主”と“臣下”の関係だが、恭愍王はチェ・ヨンから絶えず刺激を受ける。

第8話でもチェ・ヨンは恭愍王に対し「王は戦う方ではありません。王は何かをお持ちになる方です」としながら「僕を先に行かせて下さい。戦いは僕がします」という台詞を残す。苦悩する王がこれからはどうすべきかを思うとき、いつも王の羅針盤になってくれる。

恭愍王とチェ・ヨンの関係を師弟関係という観点から見ると、恭愍王は教えてもらう“後輩”で、チェ・ヨンは教えてあげる“先輩”になる。君主と臣下の関係を師弟の観点から見ると、逆に先輩と後輩の関係が成立するのだ。

この関係によって「シンイ-信義-」は、恭愍王が精神的に成長する物語だと見ることもできる。恭愍王が改革君主として第一歩を踏み出したのは、恭愍王一人だけの決断ではない。チェ・ヨンのアドバイスを通じて絶えず刺激を受けた後輩である恭愍王の決断だと言える。チェ・ヨンという先輩なしには改革が不可能だという事実を示唆するところでもある。

今までチェ・ヨンが王の師匠に当たる先輩役を果たし、これが恭愍王の精神的成長の物語だということを述べたが、これからは今回放送された部分が「王になった男」とどの部分で共通点を持つのかについて話したい。

「王になった男」にて病気で倒れた光海の代わりに王の役割をする人は、光海と同じ顔をしているハソン(イ・ビョンホン)という人物だ。光海が統治した時期は、文禄の役が終わり、後金(清の前身)が滅びかけていた明と対峙していた時期だった。

世の中にタダな物はない。明は、文禄の役が起きたとき出兵など、協力したことに対する恩返しを露骨に要求する。朝鮮は明の要求に応じ、各種の貢納品を納めるほか、軍人も出兵させようとする。

このとき光海の役割をする偽王のハソンは、朝鮮の大臣に向かって一喝する。あなた方が今推進することは明に対する義理を守ることだが、明に貢納品を捧げ、軍人を出兵させることが本当に朝鮮のためになるものなのかと官僚を叱責する。

そして、後金に送る手紙を作成することを命じる。朝鮮が明のために出兵することが朝鮮の意志とは関係なく行われたことを後金に解明する密書だ。ファクション(事実(Fact)と虚構(Fiction)とを織り交ぜた作品)ではあるが、ハソンは光海の役割をするものの、中国の王朝が明から清に移行する激動期に朝鮮の主体性を守るために最大限の努力をする。

「シンイ-信義-」で恭愍王は、高麗の主体性を守るために元にそれ以上盲従しないことを、服飾改革を通じて明らかにする。「王になった男」で光海役をするハソンは、明との義理だけを守るべき真理だと思い込んでいる朝鮮の大臣の変わりに実利外交を広げ、朝鮮の主体性をなくさないために努力する。これこそ「シンイ-信義-」の恭愍王が「王になった男」と重なって見える部分だ。

記者 : パク・ジョンファン