「二つの月」パク・ハンビョル“筋の通っていない展開も、おつまみにしてください”

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写真=キム・ジェチャン
可愛い顔に完璧なボディライン。嫉妬が感じられる第一印象だったが、この女優は気さくな魅力溢れる、本当のギャップの魅力を持っていた。

ミステリーホラー映画「二つの月」(監督:キム・ドンビン、制作:ゴーストピクチャーズ、ジュピターフィルム)で、秘密を抱いたホラー小説家のソヒ役を演じたパク・ハンビョル(28)は、「狐怪談」(2003)や「ヨガ教室」(2009)に続いての3作目のホラー映画に挑戦する。3作目であるだけに、プレッシャーも相当なものであったはず。パク・ハンビョルに聞いてみた。「またホラー映画ですか?」と。

「インタビューの度に、そんな質問をたくさん受けます。『ヨガ教室』も、義理のために出演を決めたもので、ホラー映画だから決めたわけではありませんでした。今回の作品は、ホラー映画だとは知らないまま出演を決めたんです。シナリオを読みましたが、『これってどんなジャンルなんだろう?』と悩んじゃって。文章で読んだ時は、スリラーだと思いました。プレッシャーはまったくなかったですが、『またホラー映画だ』というような記事が多く、逆にそこからプレッシャーを感じ始め『当分はホラー映画をやっちゃダメなのかな?』と思ったりもしました。今回の映画は、パソコンのファイルフォルダを分けるように、きちんと分けたいのであればホラー映画となりますが、私は新しいジャンルだと表現したいです。私はどんなジャンルでも、気に入ったらやりますよ。ホラー専門の女優ではありません(笑)」


筋の通っていない展開、ドタバタの魅力が満載の「二つの月」

恐怖感を無理やり抱かせるようなホラー映画ではないと、何回も強調したパク・ハンビョルはミステリアスな展開が最高であると親指を立てた。

何がパク・ハンビョルを再びホラーの世界に導いたのだろうか。そこが気になり、質問をしてみた。「作品が本当に良かったです」といったありきたりなコメントを期待していたが、予想を裏切る率直な答えに驚いた。

「シナリオを読みましたが、すごく筋の通っていないような展開が魅力的でした。ストーリーというのは、本来は起承転結がないとダメなんですね。だけど、この映画はドタバタしていて、ものすごくスピーディーでした。最初は、読み終わってからも良く分からなかったんです。『何これ?このシーンってどうなったの?』などなど、気になるものばかりでした。そこで、監督と作品についてたくさん話し合いました。監督からすると、少し私のことが面倒だったかもしれませんね(笑)」

本人が出演した映画であるにも関わらず、見れば見るほど、知れば知るほどますますこの映画に夢中になるというパク・ハンビョルは「観客たちが結末についてそれぞれの意見を話し合ってほしいです」と伝えた。映画を見てから冷たいビールでも飲みながら、映画をおつまみにしてほしいと。

パク・ハンビョルが演じた作品たちは、主に彼女が他の登場人物に恐怖を抱かせるほうだったが、「二つの月」のソヒは恐怖を抱く立場である。彼女はこの部分について「とても大変でした」と打ち明けた。

パク・ハンビョルは「映画の撮影中『観客が早く気付いたらどうしよう』という不安が大きかったです。役者たちは劇の内容を全部知った上で撮影をしているので、演じながらも『この部分でバレるのでは?』などの心配が先走ったりしました。また、ソヒという役が何をしても目立つようで、力の調整も大変でした」と告白した。

ホラー映画では右に出るものがいない“ホラークイーン”のパク・ハンビョルは、前作よりもずっと成長していた。ホラー映画の“達人”のような感じすらしていた。

「前作では『どうすれば人々を驚かせることができるだろう』という悩みのほうが大きかったです。観客と私は、敵同然だったんですね。できるだけ怖く見せようと思い、表情の練習もたくさんしました。だけど、今回の『二つの月』では『最初から最後まで無難に感情を繋げられるのか?バレてはならないのに』という悩みに変わっていました。やっと観客と同じ気持ちになれたんです。敵ではない、仲間になれました」


3日間も唱えていた呪文は、夢にも出てくるくらい

パク・ハンビョルの演じたソヒは、実はソクホ(キム・ジソク)とインジョン(パク・ジンジュ)を騙すためにホラー小説家を装った退魔師だった。

パク・ハンビョルは退魔師の役作りのために、撮影前に自ら霊媒(死者の霊と現世の人との媒介をするとされている人)に会い、退魔について教わったとも告白した。「霊媒と退魔師は、似ているようで違います」と説明する彼女は、真剣な表情だった。

「退魔師は霊を追い払う役割です。霊媒も似てはいますが、彼らは霊とコミュニケーションをします。退魔師よりは霊に愛着を持っているとでも言いましょうか。ソヒも退魔師というよりは霊媒に近いです。霊を敵ではなく可哀想な存在だと思い、哀れだと思っています。このような差も演じたかったです」

パク・ハンビョルは退魔師を演じながら悩んでいたこととして「呪文」を挙げた。パク・ハンビョルは「実際に僧侶たちが使う念仏の一部を使って呪文を作りました。シナリオでこの呪文を初めて読んだ時は『どうやって覚えたらいいのだろう』と心配も多かったです」と話した。呪文を唱えるシーンで観客が笑ってしまい、劇の緊張感がなくなってしまうのではないかと心配していたというパク・ハンビョルは、何よりもこの呪文が映画の質を左右する要素の一つであると愛情をアピールした。

映画の試写会後、知人らに呪文に対する印象を聞くと、幸い知人らの反応は悪くなく、やっと安心することができたという。

「呪文を唱えるシーンが終わったら、まるでクランクアップをしたような気分でした。その後呪文のレコーディングも別にあって、呪文だけ3日間も唱えたんですよ。無事レコーディングも終わり、家で寝ていたら、私、夢でもあの呪文を唱えていたんです。多分、この呪文は一生忘れられません(笑)」


ゴルフ界のファッショニスタ?“色の統一が命”

映画の広報活動でハードなスケジュールをこなしているパク・ハンビョルは、意外と元気な様子だった。パク・ハンビョルってこんなにも前向きな人だったかなと思うくらい、爽やかな表情の彼女のことが偉大に思えるほどだった。

パク・ハンビョルを元気のもととなる原動力は何なのかと聞くと、「スポーツですね」と明るく答えてくれた。

ここ2年間、ゴルフをやってきたというパク・ハンビョルは、毎朝運動を怠らずやっていると答え、ゴルフをしていると自然の中に溶け込むような感じがし、ストレスの解消になると話した。

“ゴルフマニア”パク・ハンビョルは「元々は、すごく人見知りでした。知らない人と話をするとなると、とてもデリケートになったりもしましたが、ゴルフをやってからそんな心配事は解消されました」とゴルフの癒し効果を高く評価した。

「実は、同じ年頃でゴルフをやっている友達は少ないです。一緒にやると面白いじゃないですか。だから、知人がゴルフをやるというと『私も行きます』と意欲を見せてついて行きます。中には初対面の方もいますが、ゴルフがやりたいので進んで参加しています。私の唯一の趣味は、ゴルフです。仕事のスケジュール以外はゴルフ、ってぐらいですよ」

ゴルフについて熱く語るパク・ハンビョルに、ファッショニスタならではのゴルフウェアのコーディネートについて聞いた。すると「ゴルフのファッションはとりあえず色を統一すること」と一言でまとめ、インタビューの現場を爆笑させた。

「ゴルフの時は、無難に着ちゃダメですよ。フィールドでは、できるだけ鮮やかな色が一番です。普段は『ダサい』と思うくらいの色の統一が大事です。例えば帽子とパンツの色を統一したり、Tシャツと靴の色を統一するんです。『絶対にそうしなきゃ』というわけではないですが、そう着ると綺麗に見えるんですよ。ありがたいことにファンのみなさんが私のことをファッショニスタと呼んでくださるので、ゴルフウェアにも常に気を配っています(笑)」

記者 : チョ・ジヨン