「ゴールデンタイム」にかけられる期待…“医者の恋愛するドラマ”にはならないで

OhmyStar |


MBC新月火ドラマ「ゴールデンタイム」が期待される理由

明るい熱血キャラクターと、全てのことに適当で、意欲なしの軽いキャラクターが出会って、だんだん成長していくストーリーは、実際、様々な作品を通じて繰り返された内容であり、クリシェ(ありふれたものになってしまった対象の意)に近い。その上、彼らの指導者であり、最高の実力を持つ唯一無二の人物や、彼を物心両面でサポートする人物まで登場すると、陳腐さを増すことになり、しかもこの人々らをカップルとして結ぶ設定は、王道の仕上げに近い。

ところで、このようなクリシェづくしをまたも表現しようとするドラマがある。MBC新月火ドラマ「ゴールデンタイム」(脚本:チェ・ヒラ、演出:クォン・ソクチャン)だ。
イ・ソンギュン、ファン・ジョンウム、イ・ソンミン、ソン・ソンミ主演の「ゴールデンタイム」は、火傷、交通事故など、大きな怪我をして生死に関わる患者を短時間内に救わなければならない救急医療室の医者たちの孤軍奮闘を描いたドラマだ。


ありふれたストーリーに“スピード感”と“メッセージ性”が加わった

クリシェは新しさがないという短所はあるが、慣れているだけに容易な武器として使える長所もある。では「ゴールデンタイム」は、このクリシェをどのような味付けで和えているのか。それが“スピード感”と“メッセージ性”だった。

2日の制作発表会で、国家試験に合格してから3年間、漢方病院の臨床講師として過ごした後、救急救命室で働くインターンになるイ・ミヌ役の俳優イ・ソンギュンは「そもそもクォン・ソクチャンプロデューサのドラマは、他のドラマよりスピード感が早いけど、今回は状況が状況であるだけに、普段よりも数倍以上早い」と話した。与えられた時間内に、素早い応急手当で生死に関わる患者を救う救急救命室を背景にしているためだ。

いわば、普通の医療ドラマに猛烈なスピード感を付けていると言える。同日公開された試写会の映像でも、大型事故で押し寄せる患者たち、分秒を争う医者の手当てのシーンが物凄いスピード感で繰り広げられた。最高の実力を持つ外科の教授、チェ・イニョク役の俳優イ・ソンミンは、「分秒を争うことであるだけに、足早に、俊敏に動こうとした。普段よりも早く喋って、早く歩いた」と説明した。鈍く見えないために、体重まで減らすほどだった。

これと共に「ゴールデンタイム」を通じて見渡すことのできる現実も、比較的明確だ。それは医学の偏り現象。これに対してイ・ソンギュンは「最近は形成外科、皮膚科が多くあるが、生命を重視して熱心に働く人々にスポットライトが当てられることを願っている」と話した。イ・ソンミンは「(ドラマを通じて)韓国の医療体系では、重症の外傷患者を迅速に手当てできる体系が未熟であることを知った」と明かした。

そして、救急救命室6年目のベテラン看護士のシン・ウナ役のソン・ソンミの話した「ドラマを撮影して、路上で交友事故に遭ったり、どこかで墜落したりすると、死ぬ人が多いかも知れないと思うようになりました。だけど、その人が私の友達、家族、愛する人になるかも知れません。だから使命感みたいなものが生じました。多くの関心と愛を受けて、そのような(外傷担当)センターができて、体系化することに貢献できたらと思います」という言葉が、このドラマのメッセージをより明確にしている。


イ・ソンミンとファン・ジョンウム、それぞれが異なる成長を見せる

これと同時に「ゴールデンタイム」で注目すべきことは、ドラマを通じて俳優たちの成長を見守ることができる点だ。代表的には俳優イ・ソンミンとファン・ジョンウム。この2人が「成長」することは同じだけど、その内容は異なっている。

まず「以前、毎日連続ドラマの制作発表会以来、制作発表会に参加するのは始めて」というイ・ソンミンの場合、「ゴールデンタイム」を通じて、比較的長い呼吸の必要なドラマの主演という責任感を持つようになった。そうであるだけに、制作発表会では彼に対しても多くの質問があった。

彼はソン・ソンミと恋愛関係になるという話題に「本当に素敵な俳優が多いが、(相手役として)平凡な俳優である私になってプレッシャーになった」と明かすほど、まだその場がぎこちないようだった。だけど、数多くの作品を通じて、彼ならではの演技実力を披露してきただけに、「ゴールデンタイム」においてもドラマ全体を引っ張っていく力を持つ俳優として、更に進化することが期待される。

ファン・ジョンウムは、今回の作品を通じて、俳優として一段階跳躍しようとしている。セジュン病院財団の相続人であり、明るくて前向きな性格の救急救命室のインターンのカン・ジェイン役を演じるが、「このドラマをやりながら、沢山の反省をした。これまでは撮影場で明るく笑うだけで撮影に臨んだけど、今回は先輩の演技と監督の指示を全く理解できないこともあった」と明かした。

「これまでに(演技に)限界を感じたこともある」と言ったファン・ジョンウムは「ゴールデンタイム」を通じて、誰よりも、過酷な撮影現場を経験していた。だがそこから得たものもあった。「最初はあまりにも辛くて、(出演の)選択を後悔したこともあったが、第2話の撮影を終えてから、幸運だと思い始めた」と言うファン・ジョンウムは「何かが発展すべき時期に、ちょうどこのようなドラマをすることになった。ドラマが終わるごろには多く成長しているようだ」という自身への期待感を示した。


“救急救命室の医者が恋愛するドラマ”にならないでほしい

ネット上のジョークとして次のようなものがある。「アメリカドラマは警察が出ると捜査をして、医者が出ると診療をする。日本ドラマは警察が出ると教訓を与え、医者が出ると教訓を与える。韓国ドラマは警察が出ると恋愛をして、医者が出ると恋愛をする」。

「ゴールデンタイム」が警戒すべき文言だ。各キャラクターたちの恋愛が予定されている以上、「ゴールデンタイム」もストーリーを引っ張っていく力を無くすと、単純に“救急救命室の医者が恋愛する物語”に留まるかも知れない。果たして「ゴールデンタイム」は一歩進んで、救急救命室の医者たちの仕事と愛、そして苦悩まで幅広く描けるか。MBC新月火ドラマ「ゴールデンタイム」は「光と影」の後続番組として、韓国で9日午後9時55分に初放送される。

記者 : イ・ミナ