映画「後宮の秘密」チョ・ヨジョンから“凄まじい母性の生臭さ”を感じた

OhmyStar |


女優としての志が強靭な、チョ・ヨジョンに会った

女優チョ・ヨジョン(31)が、「春香秘伝 The Servant 房子伝」以来2年ぶりに「後宮の秘密」で帰ってきた。さらに深まり多彩になった感情表現で、2時間ずっと観客の目を釘付けにし、スクリーンを圧倒していた。

チョ・ヨジョンが「後宮の秘密」公開以降、多くの映画関係者から拍手を受けた理由は2つある。「春香秘伝 The Servant 房子伝」の春香役ですでに大胆な濡れ場を演じたにも関わらず、“作品への信頼”を理由にやはり大胆な露出が予定されていた「後宮の秘密」を選んだ点だ。周りや事務所も深く悩んだ作品だったが、“ファヨン”というキャラクターの長所とキム・デスン監督の演出力を信じて意志を貫いたのだ。

好評を博している第2の理由は、映画で披露した一寸も乱れない演技力だ。キム・デスン監督は試写会で「一歩間違えば羞恥を感じることもありそうな、大胆なシーンの撮影でも、表情一つ乱れず完璧に演じ抜いた」と評価した。チョ・ヨジョンは映画「後宮の秘密」で、もっぱらファヨンとして生き抜いたのだ。

チョ・ヨジョンとのインタビューで、彼女への最初の質問は当然「女優としてさらに強靭になった志と責任感」についてだった。

「20代で無条件に情熱があるなら、今や30を過ぎて、自分の職業に対する責任感と愛情が深まったような気がします。ただひたすら駆けていた時間を超えて、今は選択し集中して、またその選択に愛情を持って臨もうとしています。そういう風にしていたら『後宮』まで辿りつけた感じです」

チョ・ヨジョンは「後宮の秘密」を選んだ理由として、劇中のファヨンの心とキム・デスン監督への信頼を挙げた。

「まずキム・デスン監督と仕事をしてみたかったです。また映画のファヨンの役柄があまりにも良くて、是非演じてみたかったということもあります。これまでは年より若く見える明るい雰囲気のイメージのせいか、そんなところを主に皆さんにお見せしてきたと思います。ですから、今後ファヨンのようなキャラクターには出会えないと思いました。様々な感情の幅があって、その深さも限りないものでした。本当に上手くやりこなしたいという思いしかなかったんです」

彼女と対面していると、外向的に見える童顔のイメージと明るい微笑みだけでなく、落ち着いた態度に明確な価値観が感じられた。落ち着いてはいるが、内面に自分の哲学と主観が明確に構築されている、揺るぎない女優だった。

「ファヨンと私の共通点と言えば、落ち着いているところです。普段私も落ち着いていて意志が強い方です。そこが似ています。監督ともその部分について話をしましたが、私はそんな落ち着いた強い意志をベースにファヨンが宮で経験することを具体的に想像し、集中して演技しようとしました。でも、それを具体化するプロセスは簡単ではありませんでした」

韓国の映画界を代表する俳優たちの共通点は“プロ意識”が強いことだ。これはチョ・ヨジョンも例外ではなかった。

“プロ”の定義について尋ねると彼女は「一つの確信があったら、他のものに耐えなければならないことだと思う。自分が重要と思う一つの価値を基準に、残りのものに耐えられてこそ初めてプロになると思う」と話した。

映画を見る前、チョ・ヨジョンの露出にだけに関心を寄せていた観客たちは、映画を観てからは彼女の凄まじい母性愛の極みを見て“殺伐”“怖い”と評価している。宮で見るに耐えられない残酷で殺伐なことを経験し、ファヨンは次第にさらに落ち着き、一層冷酷になる。

「映画を観てから、特に男性の観客は私を観て『怖い』と言っていました。知り合いの男の子に、『姉さん、怖いよ……』と言われました。セクシーとかじゃなくて、『ああ、女ってあんなにも強い存在なんだ』と感じたそうです」

「後宮の秘密」の中で、秘密の宮の奥で魅惑的な姿を披露する“後宮”から次第に生臭く凄まじい母性愛を綴る姿を披露するチョ・ヨジョン。おそらく、試写会以降“セクシー”ではなく“怖い”と評価されたそのポイントは、チョ・ヨジョンの演技力に対するもう一つの賛辞ではないだろうか。

「未来の目標を具体的に描くタイプではありません。ただ、今隣にいる人たちと面白く暮らすのが一番だと思います。一歩一歩前へ進みながら、小さな目標を達成していると、今後どんな大きな絵になっていくか私も知りたいです」


チョ・ヨジョン「チョ・サンギョン衣装室長、ありがとうございます」

女優チョ・ヨジョンは「後宮の秘密」で最も感謝するスタッフとしてチョ・サンギョン衣装室長を挙げた。チョ・サンギョン衣装室長は、映画「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」「モダンボーイ」「渇き」「高地戦」など多数の作品で衣装を担当した、韓国映画界でも有数の実力派デザイナーである。

「チョ・サンギョン衣装室長と一緒に仕事をしてみたいと思っていました。今回一緒に仕事をさせていただくことになって、本当に嬉しいです。室長は映画はたくさんやられたけど、韓服は初めてだとおっしゃっていました。でも、枠にとらわれず、本当に素材もデザインもキャラクターのポイントをよく捉えて活かして下さったんです。本当に素晴らしかったです。

ファヨンの韓服の場合も、愛に勇敢な純粋さから、父が死んで、次第に毒を含むようになる変貌ぶりなどすべての過程が、韓服の色とデザインによく現れています。

特に、ソンウォン大君(キム・ドンウク)のところに行く前に、部屋で横になって悩むシーンがありますが、そのとき藍色と紫色が交わる色でスカートを作ってくださったんです。『心が複雑なはずだから、こういう色にしてみたわ』とおっしゃったけど、本当にピッタリだと思いました。スカート一つでもファヨンの心理を全部説明できそうでした。衣装が、本当に演技に役に立ったんです」

記者 : イ・ジョンミン、チョ・ギョンイ