「第6回 The Musical Awards」テレビより面白いミュージカル授賞式

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昨年「最悪ではない2番目に悪い作品が受賞した」という発言がもたらした余波があったからなのか、6月4日に国立劇場のヘオルム劇場で開かれた「第6回 The Musical Awards」は“最も優秀な人に賞を与える”という基本に忠実な授賞式だった。これに合わせ部門別の必須ノミネート制度を撤廃し、最優秀創作ミュージカル、最優秀外国ミュージカル、ベストリバイバルミュージカル、小劇場ミュージカルに区分されていた作品賞も、今年のミュージカルと今年の創作ミュージカルに改善された。その結果、昨年下半期から今年上半期に至るまで観客の中で最も話題になっていた「エリザベート」と「シャーロック・ホームズ」がそれぞれ8つと5つの賞を受賞した。

「『ドラキュラ』が失敗してもう二度とミュージカルはしたくなかった」とEMKミュージカルカンパニーのオム・ホンヒョン代表は感想を語ったが、「エリザベート」で今年のミュージカル賞を受賞した。感情移入することが難しいオーストリア皇后の話は、JYJ ジュンスの存在と分かりやすく描いたストーリーで客席は毎回満席だった。国内で初公演だったが20年間成長してきた音楽はそれだけで気品に溢れていたし、俳優の技量もやはり優れていた。派手な衣装と舞台、照明に至るまで一つの塊になって舞台に立った。「エリザベート」が8冠王になった理由は、皆がそれぞれの位置で自分がやるべきことを100%やり遂げて、シナジーの力を見せたのだ。その反面「シャーロック・ホームズ」は硬い原作をどのように舞台化するかが鍵だった。特に1つの事件を推理していく過程を15分の曲(“踊る人”)の中に込められた作曲能力は、その中で一番であることが認められた。

オ・マンソクが証明したホストの力

しかし、今回の授賞式で最も興味深かったことは受賞者の話し方にあった。軍隊の召集解除を控えていたユン・ヒョンリョルは「公益要員として出生、死亡、婚姻、離婚申告の受付を担当していました」として自分の近況を明かした。“新人女優賞を受賞した35歳”のキム・ヒョンスクは「これを機に色んな役を演じてみたいです。多くの制作者の皆様、連絡お待ちしております」と愛嬌のある声で自分をアピールした。ソン・ドゥソプは「4年もホストを務めているオ・マンソクのMCは飽きないですか。ヒュー・ジャックマン(注:2002年から2005年までトニー賞のホストだった)も後輩にその座を譲ったことをどう思っていますか」と可愛い脅迫をした。さらに人気賞を受賞したJYJ ジュンスまで「選んで下さったすべての方々のご健康を祈っております」と感想を語った。

過去とは違って“今年のミュージカル”のノミネート作品の公演以外に授賞式だけのために準備された特別なパフォーマンスは少なかったが、同じミュージカル俳優であり演出として一緒に呼吸を合わせてきたホストであるオ・マンソクの力が大きかった。彼はキム・ヒョンスクが新人賞の授賞者であるチョン・ジンホ、パク・ジュニョンとハグする瞬間「お母さんが息子を抱く瞬間ですね」とからかったり、自分よりは受賞者により多くの時間を割いて、和やかな雰囲気を作ってくれた。そのおかげで俳優たちは台本に頼らずに自分のありのままを見せることができた。そして、俳優とスタッフ、観客がともにした本物の“ショー”として誕生した。ある人は1年の間に7cmも身長が伸びたと言う。6才になった「The Musical Awards」も結構成長した。依然として惜しい点が散在していて、行くべき道は遠いが、再び授賞とコンセプトが基本に戻った今回の授賞式は、今後の「The Musical Awards」を期待するに十分だった。

今年、創作ミュージカルである「光化門(クァンファムン)恋歌」と「STREET LIFE」、そして「スリル・ミー」と「ジャック・ザ・リッパー」の韓国バージョンが日本人の観客を動員するだろう。K-POPの熱気とともに韓国ミュージカルに向かった関心が俳優から公演を中心にますます広がっている。最終的にこの話は、今後私たちの作品をどんなふうに作り上げていくのかに繋がるだろう。「Moby Dick」で男優新人賞を受賞したチ・ヒョンジュンの「『Moby Dick』で頂いたこの手にあるトロフィーはスタッフたちと観客たちが一緒に握っているものです。放さずに最後まで一緒に握っていて下さい」という言葉に注目しなければならない。実際に公演を作るスタッフと俳優の努力を土台として、これからは観客がさまざまな視線で努力するときになった。

「第6回 The Musical Awards」受賞者・受賞作品
・今年のミュージカル - エリザベート
・今年の創作ミュージカル - シャーロック・ホームズ
・主演男優賞 - チョ・スンウ(ドクトル・ジバゴ)
・主演女優賞 - オク・ジュヒョン(エリザベート)
・助演男優賞 - パク・ウンテ(エリザベート)
・助演女優賞 - キム・ソンヨン(ゾロ)
・新人男優賞 - チョ・ガンヒョン(シャーロック・ホームズ)、チ・ヒョンジュン(Moby Dick)
・新人女優賞 - キム・ヒョンスク(ブッとび!ヨンエさん)
・新韓カード男優人気スター賞 - JYJ ジュンス(エリザベート)
・新韓カード女優人気スター賞 - キム・ソニョン(エリザベート)
・脚本賞 - ノ・ウソン(シャーロック・ホームズ)
・作曲作詞賞 - チェ・ジョンユン、ノ・ウソン(シャーロック・ホームズ)
・演出賞 - ノ・ウソン(シャーロック・ホームズ)
・振り付け賞 - チョン・ドヨン(STREET LIFE)
・音楽監督賞 - キム・ムンジョン(エリザベート)
・舞台賞 - ソ・スクジン(エリザベート)
・音響賞 - ソン・テヨン(エリザベート)
・照明賞 - Jack Mehler(エリザベート)
・衣装賞 - ハン・ジョンイム(エリザベート)

記者 : チャン・ギョンジン、翻訳 : チェ・ユンジョン