カフェベネのCM監督「チャン・グンソクと仕事をして本当に驚いたし、幸せだった」

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「エナジードリンクのCMじゃないかとの冗談にみんなで笑った」

俳優チャン・グンソクとカフェベネのCMとの素晴らしい相性を取り持つ決定的な役割を果たした人物は、ペク・ヨンウク監督(37)である。彼にCM撮影の裏話を聞くために、インタビューをお願いした。忙しいスケジュールの中でも快くインタビューを受け入れてくださったペク監督に、9日、会った。

写真=カフェベネ

「俳優チャン・グンソクの多様性に、本当に驚いた」

―俳優チャン・グンソクに初めて会って感じたことは何ですか。

監督:仕事をする前にチャン・グンソクさんについて知っていたのは、彼の作品でした。本当に演技がうまいことは、知っていましたが、監督と俳優が初めて会う時、一番重要なことは、演技がどのように表現されているか、というそのスタイルです。その面でチャン・グンソクさんは、大きな枠についてだけ話し合って、おおまかな質問だけで自分が何をすべきか理解したようでした。演技というものに、非常に大胆にアプローチする俳優だと思いました。

―仕事を一緒にしながら、他の人とは違うと感じた部分があるとしたら。

ペク・ヨンウク:具体的な指示がなくても、本人が監督の大きな方向性を読み取って、テイクごとに多彩な姿を見せてくれるところ。そういうところが違うと思います。テイクごとに映し出す表現が実に多様で、その奥深さの差を感じさせる要素があって、非常に驚きました。言い換えれば、今まで知られていた彼の優れた演技力が、どこから出てくるのか直接自分の目で確認できたとでも言えるでしょうか。彼の多様性には、本当に驚かされました。

―撮影しながら、監督として感じたチャン・グンソクの魅力は?

ペク・ヨンウク:チャン・グンソクさんは、奥が深い俳優だと思います。誰かの表情や仕草を見る時、ストーリーがある人。あえて口で言わなくても、目で何かを語っている人。そして自然にその感情を自分ならではの方法で引き出す俳優なんです。

僕は、感情と演技についての大きな方向だけを提示しました。にも関わらず、僕が提示した方向の中で、非常に多彩な幅の感情を表現していました。監督の立場としては、後でCMを編集する時、非常に幸せな悩みを突きつけてくれる俳優なんです。どのシーンを使えばいいか、本当に選ぶのが難しいくらいですから。


チャン・グンソクが尋ねた。「もしかして、エナジードリンクのCMですか?」と

―撮影中のエピソードは。

ペク・ヨンウク:最初のシーンは、チャン・グンソクさんが走るシーンでした。スタジオの空間が広いだけに、走るシーンをカメラが後ろでガッチリくっついて撮り続けました。どれほど走ったのかわかりません。チャン・グンソクさんが走った分、カメラチームも一緒に走らなければならなかったんです。たぶんみんなにとって、その日はものすごい運動になったと思います。

後でチャン・グンソクさんが笑いながら尋ねてきました。「コーヒーのCMで間違いないんですか?もしかして、エナジードリンクのCMじゃないんですか」と。冗談交じりのこの質問に、みんなが爆笑しました。それでもまったく疲れた気配もなく、全てのテイクをまるで初めてのシーンを撮るみたいに一生懸命やってくれたんです。本当にすごい俳優だと思わせてくれました。

でも、走るシーンがスタジオでの最後の撮影ではありません。実は最も重要なワイヤーアクションのシーンが残っていました。CMのコンテに、果てしなく駆けては、チャン・グンソクさんが壁を超えてニューヨークのスカイラインに飛び込むシーンがありますが、最後にその飛び立つワイヤーアクションシーンを撮らなければならなかったんです。

ペク・ヨンウク:チャン・グンソクさんが、スタントチームの指導を受けてワイヤーにつながったまま飛び降りました。これもたぶん数十回も繰り返したと思います。本当に、何回飛んだか数えることもできませんでした。チャン・グンソクさんがワイヤーに身を任せて飛び降りる度に、僕たちは本当に心配していました。「もしかして怪我でもするのではないか、疲れてしまうのではないか」と。でも、むしろこのシーンを一番楽しみながら撮影していたようです。真のプロでした。

そして最後の撮影分が、コーヒーを飲むシーンだったので、チャン・グンソクさんも一番気楽に撮ったのではないかと思います。場所を変えて、ソウルの店舗で撮影しました。先に到着していたハン・イェスルさんを見て嬉しそうな様子で挨拶を交わして、すぐコーヒーを飲むシーンを撮影しました。

暖かいムードが演出されました。一日中一人で駆け回るシーンを撮った後に、隣の誰かと一緒にコーヒーを飲むシーンだったからでしょう。ナチュラルな演技をしてほしくて、僕は簡単に方向性だけを提示して、残りは二人の俳優に任せました。後で結果をご覧になれば分かると思いますが、二人でコーヒーを飲むシーンが、本当に自然に写っています。これまで韓国で放送された、どのコーヒーのCMよりも自然な感じで、素敵に撮られていると思います。

そのような自然な姿を出すのには、チャン・グンソクさんの役割が本当に大きかったです。コーヒーを飲む楽しさを表現するためにハン・イェスルさんに冗談も投げて、面白い話をしてくれましたが、隣で演出する僕もおかしくてつい笑いました。同時録音ではなくて幸いだったと思います。この俳優なら、CM監督たちが欲するはずだと思いました。


「正解の提示に忙しいCM、残念」

―監督の演出観と作品観についてひと言お願いします。

ペク・ヨンウク:僕は、できるだけ自然な姿を画面に盛り込むことを目指しています。CMや映画という媒体は、根本的に演出によって成り立っていますが、最近の映像や広告は刺激的で速戦即決の傾向が濃いので、見る人がすぐ信頼を失ったり、初めから集中しなくなってしまいます。

特に韓国のCMは、短い時間内にあまりにも多くの内容を盛り込もうと頑張り過ぎて、一番良い表情や感情を見過ごして、ただやみくもに“正解”のような表情と画面を探すのに夢中になっていると思います。とても残念なことです。僕は演出する時、モデルに(それが有名人であれ、一般の広告モデルであれ)できるだけ具体的な指示はしないようにしています。本人が一番気楽で自然だと感じる時、見る人もそれを自然に受け入れて、信頼するからです。

これは、カメラワークも同じです。正し過ぎる固定された画面よりは、数%くらい、ちょっとさりげなく画面に入れなかったり、少しずつ移動するカメラワークの方が好きです。もちろんキャンペーンのたびにそれぞれ違うので、毎回撮影監督と相談して決定します。

幼い頃に海外で暮らして自然に接したものもありますし、広告代理店のコピーライター時代に海外広告を取り扱っていたので、監督になって演出するようになってもこのような習慣が身に付いているみたいです。僕が演出したソニーなど色々広告で、そのような感じをできるだけ活かしています。同様に、今回のカフェベネの広告も、そのような部分をできるだけ活かそうと努力しました。

特に、最後のチャン・グンソクさんとハン・イェスルさんがコーヒーを飲むシーンは、オンエアバージョンに採用はされませんでしたが、監督版では本当に満足しているシーンの一つです。コーヒーを飲みながら「わあ、おいしい!」のような、コーヒーのCMでよく見るような画面ではなく、コーヒーを飲みながら少し考えている様子、笑い、共感する自然な感情の深さが適切に溶けこまれていると思います」


CM監督のインタビューを通じて出会ったチャン・グンソクは……

―最後にチャン・グンソクのファンの皆様に挨拶の言葉をお願いします。

ペク・ヨンウク:今後、さらに良い作品でお会いしたいです。チャン・グンソクさんのファンの皆様も、カフェベネのCMとチャン・グンソクさんへの多くのご声援をお願い致します。またこれからの僕の作品も期待していただきたいと思います(笑)

ペク・ヨンウク監督のインタビューをしながら、特別な感じを受けた。これまでチャン・グンソクについて知っていたのは“韓流”“アジアのプリンス”“綺麗な男”“シャッフルダンス”くらいであった。しかし、今回のインタビューは、一般の人々には分からない俳優の長所を、現場の声で聞けた有意義な時間だった。

チャン・グンソクという俳優について、普段は聞くことのできない話を聞きながら“アジアのプリンス”という名にふさわしい人になるために、彼がどれほど努力してきたかを感じ取ることができた。これで少しは、これまでとは違う視線でこの俳優を眺めることになるだろう。これからまた、どのような姿を私達に披露してくれるのかが期待される。



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記者 : チョン・ユミ