Vol.1 ― IVY “スキャンダル”を乗り越え「音楽で語るしかない」

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ニューアルバム「INTERVIEW」2年ぶりのリリース。5年の歳月を重ね達した“解脱の境地”

上り坂と下り坂があるのが人生、とはいうが、本当にジェットコースターのような人生だ。2005年にデビューするや否や、爆発的な人気を集めトップの座に上り詰めたが、2007年に起こった動画流出の件でつらい日々を過ごす。

とは言え転んだままでいるわけにもいかず、2009年に新しいアルバムのリリースにて活動を再開。しかし、前所属事務所から端を発した、いわば“プロデューサー事件”で放送出演もままならなかった。専属契約解除訴訟で勝訴し、新しい活動の場を探して、ここまでくるのにさらに2年あまりの月日が流れた。

遠回りして“アーティスト”の軌道に再び乗り直す

IVY(アイビー、本名:パク・ウネ)ほど事件の渦中に立っていた女性アーティストがいただろうか。デビューして7年になるが、実際に活動した期間は2年にも及ばない。ニューアルバム「INTERVIEW」を発売して、バラード曲「引き裂かれた胸」を引き下げて帰ってきたIVYは、自分が出演するミュージカル「シカゴ」で、ロキシーが歌う曲の歌詞に自分の想いを乗せて表現する。「スキャンダルと一緒に起ち上がって」と。

再び人々の前に姿を表わしたIVYは、多くの煩わしいものから脱したようだった。5年という長い時間は、彼女を“解脱”させたようだ。まだ過去の傷から100%立ち直ったとは言えないが、IVYは穏やかに微笑む。長く心を病んだ末、初めて見せる表情だった。

最初は、自分だけが傷を負ったと、自分は不幸だと思った。音楽活動よりは熱愛説を通じて近況が公開され、歌手としての人生を諦めようともした。投げ出したい気持ちを抑えてアルバムを出したが、まともな活動もできず苦しかった。弱り目に祟り目と言うが、訴訟まで重なりもう歌手なんてできないと思っていた。IVYは「当時感情が本当に渇き切っていたけれど、信仰の力で克服しました」と述べた。

過去を振り返っていたIVYは「一時的に、ことがうまく進まなかっただけなのに、まるで自分の人生が失敗したかのような挫折感が押し寄せた感じ」と話し「だけどその時期を通じて、自分自身のことを本気で振り返ってみることができました。多くの出来事は、私が人間として成熟するための経験でした」と静かに語った。

「怖くない、さり気ないセクシーさをアピールしたい」

キム・ボムス、オ・ユナの所属する事務所、Polarisエンターテインメントに移籍し、ニューアルバムで音楽活動を再開する前に、世間に姿を表わす上での覚悟は決まっていた。そのため、大抵のことには流されないようになった。他人を意識して怖気づくよりは、あるがままを表そうとした。最近はSBS「強心臓(カンシムジャン)」に出演してユニークな表情を見せるなど“セクシー女性アーティスト”の代名詞となっていた自分を、大胆に脱ぎ捨てた。

「私って、気が強くて傲慢に見えるんですが、実は本当に気が弱いんです。外見のせいで損をしているように感じることもあります。“セクシー”で固まったイメージを崩そうとはしませんでした。これまで、自分が自分を縛っていたようです。短所を露呈してはならないと思って取り繕ったりもしました。でも今は、あるがままの姿をお見せして、心から接したいです」

“セクシー”というイメージが自分によく似合い、清楚なのは却って気恥ずかしいという彼女。そう言いながらも「どうすれば優しく見えるか悩んでいます」とも言う。気が強く近寄りがたいセクシーさよりは、ふとした瞬間に気付かれるような、さり気ないセクシーさを目指したいそうだ。IVYは“セクシー女性アーティスト”の代名詞ではないかとの記者の質問に「私じゃないと思います。イ・ヒョリさんでは?」と言いながらも「でも嬉しい」と笑ってみせた。

「大きな夢よりは、ただ一日一日をきちんと生きること」

“ポストイ・ヒョリ”と呼ばれていたIVY。一連の事件がなかったならば、彼女は依然として“セクシーさの象徴”として位置づけられていたかもしれない。IVYは「『誘惑のソナタ』以降、右肩上がりだったかも知れませんが、それがなければ自分の人生に問題がつきつけられた時、乗り越える力を養えなかったと思います。それに、過去の名声を取り戻したいとは思いません。そう思うこと自体が欲深く、無理な話だと思います」と話した。

「当時“ポストイ・ヒョリ”と言う方もいましたし、イ・ヒョリさんとライバル扱いをしてくださる方もいました。でも、そのように束ねられることがプレッシャーになりました。“セクシー女性アーティスト”を継承する、ですか?(笑) ソン・ダムビさんがいるじゃないですか。私は私の道を行きます」

IVYに歌手としての目標を聞くと「一日一日をうまく生きることが目標」という答えが返ってきた。以前は、インスニのように歳を取ってからも歌うのが夢だったらしいが、障害物が多すぎて、何かを夢見る度に挫折する経験をしてからは「大き過ぎる夢は持たないようにしよう」と決めたと言う。大き過ぎる夢を持たず、毎日を充実させようという結論に至ったそうだ。IVYは「活動を控えている今が本当に幸せです」と話し「新人の時のように、ただ『歌いたい』という思いだけしかありません」と付け加えた。

「どんなアーティストとして残りたいか、ですか?これも欲張りかも知れませんが、ただ『奮闘してるな』『がんばってるね』という言葉が聞きたいです。アーティストは、歌で語るしかないじゃないですか。音楽で本当の気持ちが伝わったらと思います」

記者 : イ・オンヒョク