「屋根部屋のプリンス」で“2%”足りないもの

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◆SBS「屋根部屋のプリンス」11~12話 水木 夜9時55分~
簡単に従来のものを踏襲したり、ありきたりな演出方法に依存するのに忙しいドラマジャンルで新たに描きたいストーリーがあること、多いこと自体は悪くない。しかし、この様々なストーリーを巧みに繋げることができないと、実際に伝えたかったり、描くべきストーリーの軸がぶれるリスクを抱えることになる。

第ニ幕に入った「屋根部屋のプリンス」は、このミスを犯した。11話でイ・ガク(JYJ ユチョン)はパク・ハ(ハン・ジミン)に告白されたが、皇太子妃の死に絡んだ秘密を解かなければならない立場を説明し、それを断った。だが、12話のラストシーンで「君の顔を見ていてやっとわかった。僕は君のことが好きだ」と自覚した気持ちを告白した。すれ違った気持ちをようやく確認するのは恋愛ドラマとして「屋根部屋のプリンス」にとって大事な瞬間だったが、これまで組み込んだ多くの設定を繰り広げていく過程と重なり、ストーリーは力を失ってしまった。

「屋根部屋のプリンス」は4人の男女の恋愛模様だけでなく、皇太子妃の死に絡んだ秘密を解いていくストーリーも非常に重要だ。加えて、テヨンの復帰に危機を感じたテム(イ・テソン)の計略とセナ(チョン・ユミ)の嘘、ジャン会長(ナ・ヨンヒ)の実の娘など、多くのサブプロット(物語の途中で入る、挿話的なストーリー)が、それぞれ企業ドラマやミステリーの性格を帯びながら、恋愛コメディと混在している。そして、同時に第ニ幕を向かえたこの数々のストーリーが有機的に絡むのではなく、“私10分、あなた10分”とバトンをつなぐように並べられてしまい、ドラマの内容の持つ集中力が分散された。

もちろん、ガツンと怒った挙句、涙を流しながら「僕は君に会いたかったんだ」と話すイ・ガクの純粋な告白とキスシーンだけでも、依然としてこのドラマを見る理由としては十分だ。しかし、90年代のトレンディードラマで大成功した脚本家イ・ヒミョンの持ち味に加えて、新しいストーリーで細かに作り上げようとした最初の試みを活かし、より衝撃的なドラマにするためには、散らばった玉をきれいにつなげる努力が必要なところだ。

記者 : キム・ヒジュ、翻訳:ハン・アルム