チュ・ジンモ「命がけの恋愛が上手そうに見えますか?」

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「多くの監督が『ジンモ、あなたには引き出せるものがたくさんある』とおっしゃいますが、口だけでシナリオは送ってくれません。または投資の段階でなくなるとか。残念でならないのですが、仕方ないです。早く興行成績の良い俳優になるしかありませんね(笑)」

いつの間にか芸歴15年を超えたチュ・ジンモは「台本が入ってこないというわけではなく、あまりにも偏ったシナリオだけが入ってくるので悩んでいる」とため息をついた。すでに何回も行き慣れた所よりは、経験したことのない新世界に入ってみたいという俳優としての本能や宿命を感じた。

「ソヨンに映画で徹夜はないと言ったのに」

チュ・ジンモは「あえて言うならば映画『カンナさん大成功です!』のサンジュンのような役だが、もう少し観客に親しみのある人物。不器用なところもあり、真っ直ぐなキャラクターを演じてみたい。誰よりも上手くできる自信がある」と話した。

「GABI / ガビ-国境の愛-」に出演したのも、映画「ライアー」の制作者だったチャン・ユンヒョン監督から頼まれたということもあったが、二重スパイという演じたことのないキャラクターに強く惹かれたという。ターニャの父から「娘を守ってくれ」という遺言を聞き、韓国のロシア大使館にターニャと潜入して高宗暗殺作戦に巻き込まれる悲運の人物、イルリッチ。女性を守るために国籍を二度も変える男だ。

「今回も一人の女性を命がけで愛します。僕って命がけの恋愛が上手に出来そうな顔ですかね?(笑) 監督たちが僕をそんなイメージでしか捉えていないようで残念ですが、じっくり考えてみると反省してしまいます。とりあえず僕の演技の幅が広くないということでしょう」

彼は「GABI / ガビ-国境の愛-」が高宗やキム・ソヨンという女優を再発見出来るということだけでも意味のある映画だと話した。パク・ヒスンやキム・ソヨンなど共演した俳優を褒め称えようとする形式的な口調ではなかった。

「これまで僕たちが知らなかった高宗の真実を描きました。ソヨンはとても優しくて演技も上手な女優です。だけど、なんと言いますか、すごくプレッシャーを感じていました。このままではダメだと思い、撮影の前に先輩づらをして『映画はドラマと違って徹夜もしないし、役者の体調を配慮してくれる。だから、あまり心配するな』と話しましたが、なんと撮影初日から徹夜でした(笑)」

予算が100億ウォン(約7.4億円)から50億ウォン(約3.7億ウォン)に半減して、撮影期間が短くなり制作環境が厳しくなったという。チュ・ジンモはキム・ソヨンと目が合う度に「兄さん、何ですかこれ」と恨まれているような気がしてならなかったと打ち明けた。

「制作費が減るなんて思ってもいなかったです。とりあえずソヨンと目が合う度に、悪いのは僕ではないのにちゃんと目を合わせられなくて。高宗を演じたパク・ヒスンさんとも初めて共演しましたが、すべてのシーンをパク・ヒスンのスタイルに変えて演じる素晴らしい“置き換え能力”に何度も圧倒されました」

“エース”カン・ソラのおかげで、会社の経営も頑張れる

彼は「これまで高宗のことを無能な王様だとしか思っていなかったが、大韓帝国の建国のために血の滲むような努力をした方だった。この事実だけ知ってもらえれば、すでに『GABI / ガビ-国境の愛-』は成功した映画」だと話した。「国が痛いと、恋愛も痛い」という監督の一言に惹かれ、出演を決めたという彼は「撮影現場で僕がターニャの名台詞を提案し、監督からOKをもらったこともある」と話した。

一見大胆に見えるが、MBCのバラエティ番組「黄金漁場-ヒザ打ち導師」の出演後に瞬発力が足りないと気付き、「バラエティ番組が怖い」と怖がっている姿を見ると、意外と小心者で怖がり屋な面もあるようだ。自身が考えるチュ・ジンモとは何かと聞くと「知れば知るほど“本物”の男」と答え、本人も恥ずかしくなったのか、手の平を振って見せた。

「チャン・ドンゴンさんが結婚して幸せな生活を送っているのを見ると、僕も早く結婚したいと思いますが、一人で家に帰るとどうせ人生は孤独なものではないかという気もします。何でも切実でないと進まないんですね。人の真似をするのは、人生を無駄にする近道という言葉もあるでしょう?」

映画「霜花店(サンファジョム)-運命、その愛」で高麗時代の王様を演じたチュ・ジンモ。高宗役のパク・ヒスンとは親しくなったかと聞くと「王様同士だから、『王様ゲーム』でもやろうかと面白くない冗談ばかり言い合った」と笑った。

チュ・ジンモは「ヒスンさんとは序盤から激しく対立するシーンが多かったが、そこでヒスンさんの底力を感じた。偉大な相手だという気がしてそれがまた嬉しかった。人格も素晴らしい人で、アンチもほとんどいない」と話した。

俳優がスタッフの前で監督に意見を述べると、抗議と見なされ後からあれこれと言われがちだが、パク・ヒスンはそのような提案の過程すら必要とせず、全てを自分のスタイルに変えて演じる凄まじい包容力を見せたとチュ・ジンモは羨ましがっていた。

KMカルチャーからJMエンターテインメントという会社を立ち上げて独立したチュ・ジンモだが、メリットとデメリットは何だろうか。「一人でやっているので、気持ちは楽ですが情報が十分ではありません。気付いていなかった諸経費があちらこちらから出てきて、精算をする度にストレスが溜まります。売上から見ると完全にマイナスですが、“エース”の女優カン・ソラちゃんが埋めてくれてなんとか頑張っています。ソラちゃん、初心を忘れずにこれからも宜しく(笑)」

記者 : キム・ボムソク、写真:ソン・ヒョジン