イ・スンギ「ストレスは現場で解消します。そうしないと病気になるから」

10asia |

“イ・スンギ 40-40達成”イ・スンギが出演するKBS「ハッピーサンデー」のコーナー「1泊2日」の視聴率が40%を超えた翌日、いくつかのマスコミではまるでイ・スンギが野球選手のような記録を出したかのように表現した。1年間、2つの分野で40%の視聴率を記録し、音楽チャートでもトップの座を射止めた歌手である。しかし、私たちがイ・スンギに関して話せることは、単なる数字にすぎないのだろうか?10代から今までずっと成功し続け、23才で韓国のほとんど全ての人が知っているスターとして生きる人生は、どんなものだろうか?バラエティでも、ドラマでも、音楽でもない、イ・スンギ自身の生き方についてインタビューしてみた。

―カメラマンが、イ・スンギさんの表情がとても良く、状況を仮定して演技をしているようだと言っていました。写真を撮りながら何を考えていたんですか?

イ・スンギ:写真を撮る時、他の先輩方は様々な状況を演出されているようでした。表情というものは、よく考えないと出てこないものなので。多様な演技をしていると考えながら撮影に臨んでいます。


「メインMCは本当に難しいです」

―いつも準備して考えるタイプですか?

イ・スンギ:社長が厳しくて(笑) 僕が怠けていても周りが協力してくれるから、あらかじめ準備しておくことができるんです。そしてアドリブも練習して行くとやっぱり違います。SBS「強心臓(カンシムジャン)」もしっかりと台本を読んでいると、何十個ものアドリブが思い浮かびます。その中の1つを言わなければならないので、何が最も適切なのか、シミュレーションしてみます。

―SBS「強心臓(カンシムジャン)」で少女時代のソヒョンさんがお金の管理を徹底していると言っていました。その時「国税庁から調査を受けて見ないと」と言って雰囲気を変えていましたね。やっぱり徹底した準備の結果でしたか?

イ・スンギ:だから結構頭が痛いんです。カン・ホドン兄さんはメインMCだから台本の構成どおりに進めて、僕は出来ることを考えながら、ホドン兄さんが質問してゲストが話したあとで僕がまとめれば、番組がキレイになると思います。編集される部分もありますが、キム・ヨンチョル兄さんが笑わせる時「ヨンチョルさん、今日はギャグの祝日ですね」と言えば、あの人が今日うまくやっていると一言で表現できて、雰囲気も整理できるからです。だけど、それはあらかじめ準備しないとできないことだから、難しいんです。

―SBS「強心臓(カンシムジャン)」のパク・サンヒョクプロデューサーは、なぜイ・スンギさんをメインMCとして選んだのか、話してくれましたか?

イ・スンギ:そういうことは聞きません。それを聞いたら、僕が意識してしまって、その枠に合わせるようになりそうです。今後どうするかが、もっと重要なことです。

―カン・ホドンさんはイ・スンギさんにアドバイスしてくれますか?

イ・スンギ:ホドン兄さんは出演者に負担をかけないスタイルです。たとえば、ある人が番組に出演するということは、本人がうまくやっていると信じているので、自分の考えを押し付けることはあまりしません。

―イ・スンギさんから見たカン・ホドンさんはどうですか?

イ・スンギ:「1等と2等の差は天と地」です。「1泊2日」の収録をする時は僕が番組の進行をしていなかったので、6人が一緒に作り上ることだと思っていました。だけど、MCになってみたら、本当に大変な仕事でした。20人を越えるゲストの話を聞いて、関係を把握して、役割を与える。ホドン兄さんのようにメインに立って面白い番組を作らなければならない人と隣で見守る人とは次元が違いますね。

―99を目標とした時は余裕があったけど、そこに1を加える時は全く違うと話していましたね。

イ・スンギ:僕も元々99でいいやと思っていました。99まで行けば、何とかなると思っていましたが、99と100での心構えは200や300の差があるみたいでした。

―そのような姿勢はどうやって持つようになりましたか? デビューして人気を集めた後、こんなにたくさんのお金を儲けても良いのかと思って、肉体労働をしたという話も聞きました。

イ・スンギ:周囲から「君は今まで何の問題もなく育ってきたから、ハングリー精神がない」と言われて、その時は幼かったので、それなら無理にでもその状況を作ってみようと考えました。今考えたら、そんなことで感じることではありませんでした。人には十分にうまくいっているように見えても、僕には難しいことかもしれないですから。良い状況をそのまま受け入れられれば楽だけど、僕の頭の中や周囲から、まだ楽になってはいけないと言われた時、それをコントロールすることがとても大変です。答えはありませんから。


「『1泊2日』で兄さんたちと遊びに行けて、本当に幸せです」

―調整しながら成長することが生まれつきの性格ですか?(笑)

イ・スンギ:僕って怖がりなんです。問題が起きるのが嫌なので、家でもそういうことをしてはいけない、ひどい目に遭うと教育を受けました。

―インターネットでイ・スンギさんがご両親と距離を置かなくても、礼儀正しいと書いた文章を見ました。ご両親はどんな教育をしましたか?

イ・スンギ:特にこうしなさい、ああしなさいとは干渉されませんでした。やりたいことは自由にやるようにしてくれました。基本的にあまり自由にしてもらっても、僕自身が悪いと思うから(笑) 生まれつきと言えば生まれつきですね。

―けれど、選択をする面ではかえって大胆だと思います。KBS「噂のチル姫」で性格の悪い男を演じたり、SBS「強心臓(カンシムジャン)」に出演したことは冒険だったと思います。

イ・スンギ:僕一人では決められないですね。怖くて(笑) 逆に、事務所が大胆な決断をしてくれれば、どうせ決まったことだからやってみようと決心するんです。

―決定は事務所がしても、決定に対する反応は本人にあると思います。大変ではないですか?

イ・スンギ:僕もSBS「強心臓(カンシムジャン)」はすごいストレスになりました。どうせやるんだったら、飾りとして立っているのではなく、僕の役割を果たすため十分に勉強しなければならないと思ったのですが、本当にうまくできるかどうか何百回も悩みました。それに、僕がこの仕事を始めてまだ5~6年しか経ってないから、失敗と成功を十分に経験したわけでもないです。仕事が上手くいけば傲慢になると言いますが、こうすれば上手くいくと分かる時があります。僕はその時が一番危ないと思います。今の経験だけで思いのままに行動してはダメだと思っています。

―そんな性格ですが、「1泊2日」ではとても大胆ですね。島に一人でいる時も戻ってくるようにもっと本能的で、感情的でもありました。

イ・スンギ:そうですね。私は感情的な面が多いです。番組では役に立たないと思って表には出さなかったのですが、番組のために良い意味での執拗さは見せても良いと思っているので、現場で解消するんです(笑) そうしないと、病気になりますから。

―仕事をする時、自分の姿を見せていますね。

イ・スンギ:番組では番組という枠がありますから楽しくできます。番組というのは問題を起こすことではなく、誤解が起きても、本意ではないということを理解してくれます。それに、ベテランの先輩方と一緒に仕事をしているから、前に出すぎることもないし、ちゃんとすれば、面白くするためのイタズラは全部理解してくれます。それに僕は知り合いの芸能人があまりいません。高校の時も友達と遊びに行ったことがないんです。だけど、「1泊2日」で兄さんたちと一緒に遊びに行けるから本当に幸せです。早く次の収録があったら良いなと思ったり、何か話したことで笑いを誘えたら、それもいいし。

―「1泊2日」に出演しながらイ・スンギさんは同じ年頃の芸能人とはまた違う感じでした。年末の音楽番組でも、他のアイドルは1つの分類でまとめられるのに、イ・スンギさんはそこにはいなかったですね。

イ・スンギ:はい。年末にそういう雰囲気を感じました。歌手が集まっているのに、僕がそこに入り込むことは何か違和感があるようでした。アイドルの隙間でもなんだし、誰かと格別に親しいわけでもなかったので。それにアイドルは踊るから、同じ舞台に立つことも大変でした。


「今後10年は一所懸命努力しなければなりません」

―一人で努力して、同じ年頃の人々と離れて活動することが今の仕事に影響を与えていますか? SBSドラマ「華麗なる遺産」でイ・スンギさんが一人で状況を主導する時に比べて、相手のセリフに反応した時は、まだそのような状況に慣れていないようでした。

イ・スンギ:基本的に演技力が足りなかったんです。僕はたくさん練習するタイプだから、台本をたくさん読み込みました。僕はまだ力不足だから、助詞1つまで間違えないように準備しますが、現場ではそうもできないこともあるでしょう? だけど、僕はそれを計算できず、一方的に吐き出したから、相手役の方は大変だったと思います。あの人、何かをもっとやるべきなのに、なぜあんなことしているんだろうって。なぜなら、以前練習でそうしたから(笑) だから、不自然だったんだと思います。それに、6時半にはホダン(少し抜けている姿がかわいいこと)な姿を見せたのに、10時には財閥の息子だったから、視聴者たちが簡単に没頭できなかったようです。

―色々な活動を同時にすることに対して負担はないですか?

イ・スンギ:自然なのが好きです。みんなは僕をイ・スンギとして見ているから、演技をする時も「華麗なる遺産」に出演する時も、無条件に悪い男を演じるのではなく、自然に僕自身の姿が映っているようです。みんなは僕のことを6時半に見ているから。僕が勝手に演技は演技じゃないかと押しつけたら、視聴者と距離ができてしまうみたいです。

―しかし、イ・スンギさんが活動するあらゆる分野の成功と失敗により、色んな反応が出ました。ドラマがうまくいっても、リリースした曲がダメだったら失敗という記事も出ましたね。

イ・スンギ:正直4枚目のアルバムはうまくいくと思ったのに、満足できる結果が出ませんでした。だけど、以前の「結婚してくれる?」は思ったよりいい反響をいただきました。思ったよりうまくいく時もあって、うまくいかない時もあると思います。最初はいい話を聞くと嬉しくなったり、良くない話を聞くと傷ついたりしました。でも、そこに一喜一憂してはいけないと思います。

―昨年、本当に人気がありましたね。その状況は負担にならないですか?

イ・スンギ:僕はいつも同じです。僕は初心を失わないように「華麗なる遺産」の後にも「1泊2日」に熱心に挑みました。だけど、「人気があって、何もかも独り占めしようとしている」という視線もあったようです(笑) 以前は深刻に思われなかったことも、今は拡大解釈されるので、僕ももっと気を付けるようになりました。今の僕があるのはデビュー前から準備した結果だと思っているけど、みんなは結果が良かったものの方が記憶してくれるみたいだし、それを否定するつもりはないです。僕は恥ずかしくないように最善を尽くせばいいんですから。

―調整して、たくさんのスケジュールをこなしながらも、いつも準備する生活を6年間しています。そのように生きられる力の源は何ですか?

イ・スンギ:とても簡単なことですよ。僕は認められるのが好きなんです。歌手をしても、バラエティをしても、結果が良かったから、認めて下さる方々もできて。多くの人々が好きになってくれて、認めてくれるから頑張れるんです。

―未来の自分に描いている姿はありますか?

イ・スンギ:ホドン兄さんやパク・チャンホ選手のような方々は、引退して伝説として残るより、できる限り何かを見せてあげたいと言っていました。拍手された時に、物足りなさがなくなる時までやりたいと思います。そして僕はその方々の年齢になるまでまだ10年以上残っているので、とりあえず一生懸命頑張りたいです。

記者 : カン・ミョンソク、写真 : チェ・ギウォン、編集 : イ・ジヘ