【PEOPLE】ハン・ガインを構成する5つのキーワード

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ハン・ガイン

美しかった。ただ美しく、そしてこれからも美しくあるだろう。しかし、大衆はこの美しい女優に、また次なるものを求めはじめた。


キム・ヒョンジュ

ハン・ガインの本名。
有名な話だが、彼女は高校生の頃にKBS「9時のニュース」とクイズ番組「挑戦ゴールデンベル」に出演して有名になった。少女マンガに登場しそうな目鼻立ちのくっきりとした少女が、知性すら感じさせる面持ちでインタビューに応じるその姿は、充分話題になり得るものだった。そしていくつかの芸能プロダクションから芸能界へのデビューを進められ、歌手のイ・サンウもハン・ガインへラブコールを送るほどだった。イ・サンウは“学年で5位以内”に入るほど成績優秀であったハン・ガインの芸能界デビューを、彼女の両親が反対すると、高校を卒業するまで1年間待ってスカウトした。ハン・ガインはデビュー当初、バスの中でしとやかに本を読んだり明るく笑う姿でコマーシャルに出演し“真面目な優等生”のイメージを強めた。比類なく古典的な、いかなる瞬間にも凜とした雰囲気をくずさない新人が登場したのである。


チソン

KBS「太陽の誘惑」「愛情の条件」で共演した俳優。
土日ドラマの「愛情の条件」で、結婚前に他の男と同棲していたハン・ガインを愛する男性役で出演した。CMで明るく古典的なイメージをアピールしたハン・ガインは、KBSの月曜日から金曜日に放送されたドラマ「黄色いハンカチ」や「愛情の条件」など、中高年層に人気の高い作品に出演している。そのためでトレンディーなイメージは足りなくとも、視聴率の高い土日ドラマに出演したハン・ガインの知名度は上がり、役者としては安定した地位を手に入れることとなった。ハン・ガインは「愛情の条件」で「結婚前の同棲でシングルマザーになってしまう役だが、これをどう表現したらいいのか分からなかった」と語ったが、物語が後半へ向かい彼女の役割が大きくなるにつれ、より注目されるようになった。彼女には劇的なストーリーによって涙を流したり感情を爆発させるシーンが多く、これは新人女優の演技力を示す有効な方法となった。特に演技力に優れているとは言われないまでも、すべての年齢層に好印象を与えることとなった。あとはこのまま、本格的に女優として走り出せばいいだけとなった。


オリヴィア・ハッセー

ハン・ガインが似ていると言われている女優。
“古典的な美女”の象徴とされている。ハン・ガインはオリヴィア・ハッセーと似ているという理由で映画「マルチュク青春通り」に出演した。イ・サンウがテレビのニュース番組でハン・ガインを見てキャスティングしたように、映画監督のユ・ハはハン・ガインのとあるニュース週刊誌でのインタビュー記事を見て、キャスティングをした。勉強のできる真面目で古典的な彼女のイメージは、1970年代を背景にした「マルチュク青春通り」で、男子生徒からの人気を集める優等生キャラクターとしてその魅力を最大限に発揮した。文字通り、眺めているだけで恋に落ちそうな“美女”であると同時に、土日ドラマで中高年層にも愛される役者。ひと言でいえば“中心勢力”への浮上だった。


ヨン・ジョンフン

韓国人男性の“共通の敵”となった男。
「黄色いハンカチ」でハン・ガインの相手役として出演した。あまりにも整った目鼻立ちをしていて「ハーフだと思った」と言い、ハン・ガインに一目惚れ。彼女のマネージャーまで誘った飲み会の席をいつも設けていた。新人だったヨン・ジョンフンは毎話17万ウォン(約1万2千円)だった出演料を全額食事や飲み会に費やし「黄色いハンカチ」がデビュー作であったハン・ガインは、俳優とはみんなで集まり飲み会をするものだとばかり思っていたと言う。そして、ヨン・ジョンフンはハン・ガインと結婚することとなる。人気がうなぎのぼりの女優が20代前半という若さで結婚するのは、キャリアに悪影響を及ぼすことが多い。しかし、真面目で古典的なイメージの女優が、デビュー直後に出会った恋人とそのまま結婚したことは、さほど否定的な影響はなかった。結婚前も後も私生活があまり知られていないことから、結婚後も未婚のキャラクターを演じるのが不自然にならないばかりか、CMでは魅力的な主婦の姿をも披露してくれた。ハン・ガインはその外見どおり、本当に聡明なようだ。


エリック(神話)

MBC「新入社員 Super Rookie」で共演した歌手兼俳優。
ハン・ガインは結婚前より結婚後に、より様々な役を演じている。「新入社員 Super Rookie」では眼鏡をかけた魅力のない女の役で出演し、何年も尽くした男に捨てられているし、MBC「Dr.ギャング」では時々過激な姿を見せる女医の役を演じた。それまでのハン・ガインが、真面目で純粋だが、どこか隔たりを感じさせる美しい女性のイメージであったとすれば「新入社員 Super Rookie」からは、賢くて純粋な姿は残しつつも、美しい外見の中に秘められた意外な性格を表現しはじめる。特に「Dr.ギャング」で自分の容姿を自慢する役は、他の女優が演じればブーイングを受けそうなものだが“客観的に”見てもきれいなハン・ガインが演じれば誰も非難はできず、それまでがあまりにも真面目なイメージの女優であったために意外性までも感じさせた。特別なヒット作はなくても、ほとんどの作品でよい成果を上げていたし、時折報じられる結婚生活ではいつも幸せそうに見える。誰からの非難も浴びることがなかった時期だ。


ジョン・ギサン

ハン・ガインが主演を務めたSBS「魔女ユヒ」のプロデューサー。
「魔女ユヒ」はハン・ガインの女優人生で重要な分岐点となった作品。題名からして彼女が中心であったし、社会的には成功した。けれど恋愛に関しては初心者のハン・ガインが演じるキャラクターは「新入社員Super Rookie」や「Dr.ギャング」よりユニークだった。黒のスーツに可愛げのない物言いで男性受けしない女性に見えても、少しずつ相手に心を開くと同時に輝くような美貌を放ちはじめる瞬間は、ハン・ガインだからこそできる“駆け引き”だった。しかし「魔女ユヒ」はドラマの中盤から無理な展開を繰り返したことで当初の人気を失ってしまう。そしてハン・ガインの所属事務所は、ドラマの終了後に報道媒体を通して「堂々と(同時間帯)視聴率1位の人気を得ていた『魔女ユヒ』がここまで視聴率が落ち込んだのは、当初の企画から逸脱したストーリー展開と放送直後から見えた演出力の問題」だと主張した。その真偽にかかわらず、女優の所属会社が報道媒体を通してまで製作者側を非難したのは前例のないことで、それまでシミひとつないといっても過言ではないキャリアを維持してきたハン・ガインにも大きなショックを与えた。ハン・ガインは渦中の人となり、様々な問題が重なったことで3年間女優活動を休止することとなる。


キム・ナムギル

ハン・ガインの復帰作、SBS「赤と黒」の相手役。
「魔女ユヒ」での議論や3年間のブランクはハン・ガインにとってもマイナスの要素であった。また「赤と黒」はFIFAワールドカップの開催期間と重なったことで、番組編成時間が不規則になってしまうなど、芳しくない結果にとどまった。しかし「赤と黒」は女優のハン・ガインにとっては注目に値する作品だった。一見するとスマートで真面目だが、その内面には出世への野望を秘めた複雑な性格を持った女性の役で「憎まれてもいいから、はっきりとした私が進むべき道への、確かな道しるべとなるようなものが欲しい」と述べていたハン・ガインが望んでいたものと一致していた。プロデューサーのイ・ヒョンミン監督は「賢いし、弁も立つ。今までは水晶のように美しく澄んだイメージがあったが、今回は演技に変化を与えるため、果敢に努力している。監督として大変満足しています」と語り、さらに「粗末な格好をしてまで、リアルさを追求する必要はないから」と言われるほど、すべてに気を配りながら出世を狙う貧しい女性役を演じた。撮影中、目頭を切る怪我をしても「腫れそうですから早く撮りましょう」と言ったほどだ。自分が持つイメージに頼らず、演技力で勝負する時が遂にきた。


キム・スヒョン

MBC「太陽を抱く月」の相手役。
ハン・ガインの演じるヨヌは、賢く純粋で、時には決断力もあるキャラクター。前作を立て続けに失敗した彼女が自分の強みである魅力的なイメージへ戻ったのは悪い選択ではなく、作品の視聴率も高かった。しかしハン・ガインは制作発表会で「(年が若くなくて)すみません、本当に申し訳なく思います」と述べている。制服を着てテレビに初出演していたハン・ガインも、すでに30代となり、相手役のキム・スヒョンは6歳も年下だ。マスコミは最初から好意的ではなかったし、初登場のシーンからネット上では演技力についての指摘が相次いだ。人間離れしているほど善人で利発的なヨヌというキャラクターでは、女優が持ち前の演技力を発揮することが決して容易ではない。それに加え、ハン・ガインは普段、抑揚のほとんどない声と似たような表情でセリフを言い、繊細な感情を伝えるということに難点がある。ハン・ガインが拷問を受けて苦しむ姿の演技で好評を博したのも、今のハン・ガインの問題を逆説的に表している。昔とはイメージが少し変わった。その反面、演技では絶えず可能性を試していた。しかし「太陽を抱く月」でまた過去に戻ってしまった。


オム・テウン

ハン・ガインの次回出演映画「建築学概論」の相手役。
彼女が再び現代モノへ舞い戻りながら選択した「建築学概論」はハン・ガインにとってこれから進んでゆくべき女優の道を示してくれる、新たな分岐点になるだろう。15年前、恋“だったかも”しれない関係を、再び思い出すことになった女性を演じるのは、ハン・ガインの現在をそのまま表していると言える。「太陽を抱く月」は、40%を越える高視聴率と共に人々の話題になっているが「建築学概論」はそうした人々の視線の中でハン・ガインという女優が内に多くを秘めていることを示すことになる舞台となる。「太陽を抱く月」を通じて、ハン・ガインはスタート地点に戻ったようだ。そして、これから30代の女優人生が幕を開ける。

記者 : カン・ミョンソク、翻訳:イム・ソヨン