【Dr.アル】フォン殿下、私のそばを離れないで下さい

10asia |

好きだというレベルを超えて“アリ”(恋の病で寝込むような)の境地になる時がある。見ないと死にそうで見ていると会いたくなる、今日もどこかで苦しんでいる全国に数多くいる“アリ”患者のための「10asia」の相談コーナー「Dr.アル」。

今回の悩ましい“アリ”の対象は、「太陽を抱く月」でイ・フォン役を演じ、韓国中の女性の心を虜にしているキム・スヒョン。


QUESTION

これは全て“キム・スフォン”(「キム・スヒョン」と役名「イ・フォン」)中毒のせいだろう。最近ドラマを観ていると、眉間にしわを寄せて寝ている主人公に、自分でも気づかないうちに手を伸ばしています。隣にいる母親に変な目で見られても、どうしようもありません。MBC「太陽を抱く月」のイ・フォン病は、ヨ・ジングで終わりだと思っていました。いや、そうでなければならなかったのです。ところが初恋を守ることが出来ない傷ついた男性を見ていると、心が動かないわけにはいきませんでした。だから殿下、どうか私の前から遠ざからないで下さい!ファンです。(仁寺洞/ワン・モヤン)

Dr.アルの処方箋

私たち皆で一緒に一度叫ぶことから始めましょう。ジング君、お姉さんが悪かったと。嗚咽するヨ・ジングの頬に手を伸ばしたのがついこの間のことだったのに、あなたはそれからどれだけの時間で、他の男に手を伸ばすのですか?
もちろん患者様のお気持ちを理解できないわけではありません。キム・スヒョンが幼いヨヌ(キム・ユジョン)のことを考え「守ろうとしたのだが、守りきれなかった」とつぶやいた時、ヨ・ジングの「忘れようとしたのに、忘れられなかった」という台詞がオーバーラップされたことと思います。二人の違っているようで似たような告白に、患者様は悩まされたのでしょう。イ・フォンの子供時代を演じたヨ・ジングが悲しければ悲しいと言い、また泣きたい時には涙を流すフォンだったため、キム・スヒョンは一人でその傷に耐えられるフォンになったのです。臣下たちの前では威厳のある振る舞いをし、中殿(王妃)には冷たくあたるものの、夜簡単に寝つくことができずにヨヌの名前を呼ぶ姿を見ると、今すぐにでも行き慰めてあげたい気持ちになります。ヨヌはすでに過去の人となり、その間フォンは一国の王になったため、他の人からはヨヌへの気持ちはすでに冷めてしまったものだと思われていました。しかし、恋心というのはそのように簡単に消えてしまうものなのでしょうか。いつも涙を飲んできたフォンが護衛の武士のウン(ソン・ジェリム)に頼り、「私に温かく接してくれたあの子に私は、一言の優しい言葉もかけてあげられなかった」と嘆く時、私たちはこの男がこの間どのくらい一人で悩んだのかが分かります。

フォンの泣き声だけを聞いても胸が張り裂けそうになるのは、キム・スヒョンという俳優だからできた奇跡なのかもしれません。決して格好良く泣いているのではありません。しかし劇中の状況のために演技で泣いているということを忘れるほどなのです。本当に辛そうに、悲しそうに泣いています。
SBS「お父さんの家」で父親(チェ・ミンス)の胸に抱かれて「この間一回も泣くことはできませんでした。死ぬほど泣きたかったのに、声が出なかったのです」と話し、涙を見せるジェイルの姿は、本当に生まれて初めて声を出してわんわん泣いた子供のような感じでした。SBS「クリスマスに雪は降るの?」で、母親を嫌っていたガンジンも、SBS「ジャイアント」で幼い頃から家族を養わなければならなかったソンモも、KBS「ドリームハイ」で大切なステージに上がる前、耳が聞こえないにも関わらずそれを表に出さないサムドンも、すべて自身の心の傷は内に秘めたまま自分の愛する人を守る男でした。
彼は表は強く馬鹿正直に見えるけど、なぜかぎゅっと抱きしめたまま頭を撫でてあげたい気にさせる男性です。この難しい演技を、キム・スヒョンは一言の台詞も無しに目だけで表現しました。そうやってヨ・ジングに心を奪われた世のお姉様方のハートを、今度は即座に自分の方へ向けるのに成功したキム・スヒョン、彼のまるで農薬のような命令を断る自信があるのならば、患者様はまだ完治の可能性はあります。とてもじゃないけど無視できないですって?では彼を眺めるのをやめてみなさい。仕事をする男性は元々格好良く見えるものなのです。その上一国の王だとすれば、さらに素晴らしく見えるのは当たり前ですから。

Dr.アルのポイント:キム・スヒョンの「農薬のような命令」

『クリスマスに雪は降るの?』 ― 「今、君はどんな気持ちなの?」
一番大切なのは、今この瞬間の、自分が好きな女性の気持ちだ。ガンジン(キム・スヒョン)はジワン(ナム・ジヒョン)が復讐のために自分に近づいたという事実を知るものの、全く意に介さずに尋ねる。「今は、今はどうなの?今はどうなのって。今君の気持ちはどうなの?」あたかもジワンの心を見抜くような勢いで同じ言葉を繰り返し、威圧的なしゃべり方だがなぜか嫌ではない。だから、私の気持ちはね…。

『ドリームハイ』 ― 「行かなきゃいけないの?ただここにいて欲しいんだけどだめかな。」
サムドン(キム・スヒョン)は元々の夢だった声楽を勉強するためアメリカに行くヘミ(スジ)に自分の気持ちを伝える。その弱々しい告白は、アメリカに可愛い子牛が数百匹いたとしても行きたくない様な気持ちにさせる切実な声だ。「行かなきゃならないの?ただここにいて欲しいんだけどだめかな」は、「行かないで」というストレートな言葉よりもさらに相手の気持ちを揺さぶる。行くってどこに行くの。あなたの側にぴったりとくっついています。

『太陽を抱く月』 ― 「私の前から遠ざかるな」
その言葉だけを聞くと、まるで厳しく叱るようだけど、目を見ると「なぜ私から離れようとするのか」という切ない気持ちが込められている。自分の任務をすべて尽くしたため側を離れるとした巫女のウォル(ハン・ガイン)へフォンは「誰が君を、自分の思い通りに離れることを許したのか」と怒りを込め、「私がこの混乱を沈めるまで、この感情が何なのか分かるまで、どうか私の側から離れるな。命令だ」と泣き叫ぶ。殿下、離れるなって。さらに近くに行きます。どこにも行かず、殿下の側を徹夜でお守りします。

『太陽を抱く月』 ― 「顔も見たくないから当分背を向けていなさい」
実際、一途な人物と言えば、フォンではなく内侍のヒョンソン(チョン・ウンピョ)だ。フォンが倒れたとき、一番先に駆け寄った人もヒョンソンだった。そのような彼にフォンはとても冷酷だった。フォンの一挙手一投足を見守り些細な冗談を言っただけで、「顔も見たくないから背を向けていなさい」といきなり怒る。殿下、ヨヌのことを想う気持ちを数分でも良いから、ヒョンソンに注いでください。いつも数歩退いて歩くヒョンソンが可愛そうではありませんか。

記者 : イ・ガオン、翻訳 : 平川留里