「私も花!」 抜け目ない“ヒーリングコメディ”の可能性 ― 見る?見ない?

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写真提供=MBC

主な出演者

イ・ジア(チャ・ボンソン役)、ユン・シユン(ソ・ジェヒ役)、ハン・ゴウン(パク・ファヨン役)、ソ・ヒョリム(キム・ダル役)、チョ・ミンギ(パク・テファ役)、イ・ギグァン(BEAST、チョ・マル役)

ストーリー

両親が家を出て一人で育ったボンソンは婦人警官になる。しかし、わざとらしく偽善に満ちたものは、それが人間関係であれ、不正な状況であれ、すべて我慢できずに爆発してしまう性格の持ち主だ。そのため彼女は友達もおらず、同僚の警官たちにも嫌われる。不正なことには我慢出来ない彼女だが、実は心にうつ病を患っている。ある日偶然出会った貧しい駐車係のジェヒ(ユン・シユン)と恋に落ちるが、彼が数百億ウォン規模の大資産家だと知って、振ってしまう。

プレビュー

「私も花!」は苦労して育った女性主人公と、富と名声を手に入れた後、大らかな女性に惹かれる男性主人公の恋愛という、小学校の教科書に載りそうなほど、時代遅れな体裁を整えているが、ここに“健やかな関係作り”を織り交ぜた。

不正を我慢できず、偽善的な世の中で声をあげるボンソンと、“必要な人が愛”という信念のもと、見栄がぎっしりつまった世界で堂々と最高の“テンジャンニョ(金持ちぶって生活している女)”になろうとするダル(ソ・ヒョリム)は、規格化された社会で後ろ指をさされるような人物だ。しかし、社会が作り上げた構成員であり、同時に、誰もが内面に持っていそうな一面がクローズアップされた人物でもある。

そうやって“とんでもなく無作法な”人物たちは、様々な女性に愛されながらも自由な男ジェヒと、抜け目のないCEOファヨン(ハン・ゴウン)、資産家だが人を見下すことはしないテファ(チョ・ミンギ)と絡んで、健やかで楽しい人生を探していく。

「私も花!」で一番重要なことは、大げさに見えても抜け目ない、どこか足りない人々が、他人と出会って新しい自分を見つけ、お互いに手を差し出す過程そのものだ。「私も花!」は、はたして普通のラブコメディから抜け出して、見る人に希望を与えられる“ヒーリングコメディ”になることができるだろうか。

見る?見ない?

写真提供=MBC
見る?
「私も花!」はドラマの内容やキャラクターより、出演するイ・ジアとユン・シユンで注目された作品でもある。「実際それほど長期間休んでいたわけではないのに、すごく長い時間が経ったように感じる」というイ・ジアの言葉通り、「私も花!」は心ならずも一人の女優生命が問われる場となった。さらに、当初キャスティングされた俳優が負傷してユン・シユンが抜擢されたため、それがどういった結果をもたらすのか、さらに注目が集まっている。

しかし、イ・ジアは「ボンソンはあまりにも素直で純粋なので、生きていくには苦労が多い人物だ。そんな弱くて優しいボンソンが気の毒になる」とキャラクターへの愛を語った。ユン・シユンも「後から入ったため、さらにうまくやらなければという責任感もあるが、このようにステキなキャラクターを一度演じてみたかった」とときめきを隠さなかった。俳優としてではなく、作品の中のキャラクターに注目してほしいという意味だ。

イ・ジアとユン・シユンが演じる、気性が短い婦人警官チャ・ボンソンと、自信満々なソ・ジェヒのコンビを見守るのも、ドラマを見る楽しみになりそうだ。

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見ない?
抜け目ないドラマにするには、視聴者を満足させるくらいしっかりと抜け目なく作らなければならない。“偽善と虚栄の時代に偽悪でケンカを売る強い女性”というコンセプトは、それだけで目立つかも知れないが、乱暴な行動を理解してもらうには、人物の心理や内面の表現をきちんと裏付ける必要がある。幼いころ多くの痛みを経験したが、自分の力で生計を立ててきたジェヒもまた、リアルな人物になってこそ視聴者の目を引くことができるのだ。

不正行為に我慢できない女性主人公や3人の女性に愛されるクールな男性主人公は、すでにとても多くのラブコメディで複製されてきたし、キャラクターの個性にそれ以上のものを見せられなかった作品は、自然に忘れられてきた。不意打ちを食わされるほど奇抜で“ハッ!”とするほど抜け目なくても、視聴者たちが予想できない部分を作ることができなければ、「私も花!」は数多くのラブコメディのひとつになるほかない。

記者 : ハン・ヨウル、翻訳 : ハン・アルム