アイドル“完全体”に進化しなければ生き残れない

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容貌が優れている。ダンスが上手い。アイドルを修飾する時にいつも付きまとう言葉だ。これはアイドルの外見やダンスを目立たせる意味としても使われるが、同時にアイドルがビジュアル的な面だけに重点を置くことを批判する時に強調される部分でもある。しかし、最近のアイドルはかつての先輩たちとはまた違った姿を見せている。主力分野だとも言える歌、ダンス、演技だけでなく、その他の分野においても頭角を表しているのだ。今までは優れたビジュアルとダンスなどでスター性を見せてくれたとすれば、最近は多様な才能で何一つ欠点の無いアイドル、いわゆる“完全体”アイドルに進化しつつあるのだ。

その代表例がBIGBANGのG-DRAGONとSOL。二人は成功したBIGBANGだけでなく、ソロとしても素晴らしい活動をしたのはもちろん、自分たちの曲を自ら作曲できるシンガーソングライターでもある。G-DRAGONはBIGBANGの「嘘」を始め、ソロとしての1stアルバムである「Heart breaker」、BIGBANGの仲間T.O.Pと共に結成したユニットGD&TOPの「knock out」などを作曲、また昨年リリースされたBIGBANGのアルバム収録曲全てを作曲した。SOLもソロ曲「Where u at」を始め、自分のソロ・アルバムの収録曲のうち、多くの作曲と作詞に参加した。SOLの前ソロ・アルバムは、Deez、JinboといったアンダーグラウンドR&Bミュージシャンらのアルバムと共に、2010年韓国大衆音楽賞のR&B部門にノミネートされるなど、音楽性を認められた。また、G-DRAGONはMnet「SUPER STAR K3」にスタイルディレクターとして出るほど、ファッションセンスも認められている。音楽とファッションを自ら決めることができるG-DRAGONとSOLの力量は、BIGBANGが他のアイドルと差別化するイメージ作りに重要な要素となる。


音楽に集中するか、趣味を表すか

「良い日」でセンセーションを巻き起こしたIUと、グループ2AMのジヌンも従来のアイドルの特性に“音楽性”という“プラスアルファ”を加えた。IUは「良い日」でいわゆる“3段高音”(3オクターブの高音)で歌唱力のあるアイドルのイメージを確保し「私だけ知らなかった話」で1990年代最高のミュージシャンの一人であるユン・サンとの作業で、音楽性が期待されるアイドルとしての足場を固めた。ジヌンも歌唱力を打ち出したグループ2AMのメンバーにとどまらず、ギターを始めとする様々な楽器を演奏できる。また、最近2AMのプロデューサーであるバン・シヒョクはTwitterで、ジヌンのソロ・アルバムをジャウリム(紫雨林)と一緒に作業する可能性もあると暗示した。彼のソロ・アルバムは、アイドルである前に音楽性を強調する方向で行くという意味を表しているように見える。

アイドルや歌手の領域に入らない分野で頭角を表すアイドルもいる。SHINeeのキーは、最近自分が描いた絵で展示会を開いた。予め準備した15作品に加えて、展示会場で即興で描いた絵を含めて合計16作品を出す程だ。PRというよりは普段の趣味活動で描いていた絵で、自分の親戚と一緒に展示会を開くことになったという。また、RAINBOWのウリとMBLAQのイ・ジュンはアイドルグループに入る前、舞踊を専攻していた。ウリがRAINBOWの歌「To me」でバレエ動作に類似した、いわゆる“ブラック・スワン”ダンスを披露し、イ・ジュンもMBLAQの中でぐんぐん伸びていく動きを使った華麗な踊りを披露。アイドルにとってダンスはほぼ基本的な要素ではあるが、彼らは舞踊専攻という経歴により、さらに特化したイメージを得ることができた。

最近、アイドルが様々な才能で実力を発揮しながらビジュアル、ダンス、音楽性、芸術的な才能などを全て揃えた“完全体”に進化するのは自然な流れだと見られる。ある歌謡関係者は、「意図的にこんなアイドルを企画するのではなく、人々の要求がこのようなアイドルに注目させるのだと思う。人々がただダンスや歌だけでなく、ファッション、美術といった様々な分野に興味を持つ状況で、こうしたアイドルに注目するのも当たり前だ」と述べた。それに、既に“レッドオーシャン(競争の激しい既存市場)になって久しいアイドル市場で注目されるには、一つでも多くの才能を持っていた方が有利だ。昔のように優れた外見を持っているだけでは競争力が落ちるのは必至だ。現在テレビでMBC「私たちの日晩」の「私は歌手だ」が放送されるなど、最近歌唱力のある歌手への関心が集まっている中、アイドルが外見とダンスだけを打ち出すわけにはいかなくなってきたのも一つの理由だ。アイドルとして頂上に立つには、ビジュアルはもちろん内面までぎっしり充実させてこそ、競争力が持てるということだ。“オムチナ(親が考える何でもできる完璧で理想的な男の子)”、“終結者(極めた人の意)”のような言葉が流行るほど、“最強者”または“全てを持っている人”が注目されているこの時代だが、アイドルにとってさらに強い競争力を求められる時代が近づいているのだ。

記者 : パク・ソジョン、翻訳:ハン・アルム