「ダンシング・クィーン」オム・ジョンファ“仕上がりがとても気になった”

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写真=イ・セロム
「今日の私の衣装、少し目立ってますよね?最近流行っているんです(笑) 昨日は大人しいブラックでした」

女優オム・ジョンファ(43)は、ブランケットを膝にかけて椅子をテーブルに近づけながら話を始めた。歌手出身の女優の中で、ナンバーワンの成功モデルとして挙げられるオム・ジョンファは「私が20年以上も演技をするとは思っていませんでした」と明るく笑った。


仕上がった映画を見てホッとしました

オム・ジョンファが、歌も演技もこなす“マルチプレイヤー”になったきっかけは、20年前にMBC合唱団出身の歌手として抜擢された彼女がレコーディングをしているとき、突然訪れた。ユ・ハ監督の初映画「風吹く日なら狎鴎亭洞に行かねば」(92)のオーディションを受けないかと提案があった。歌手と演技を並行していたチョン・ヨンロクに続いて、女優としては第1号だった。今はチョン・リョウォン、ユン・ウネなどがオム・ジョンファの道を歩んでいる。

「『やった』という達成感もありましたが、頼れるところがなく、心細かったのも事実です。私をモデルにして映画『ダンシング・クィーン』を企画するとおっしゃったユン・ジェギュン監督の話を聞いて、『信じられない』と感激したのもそのためでした。私、今までの歳月を無駄にはしていなかったんだという安堵とともに、心が癒されるような感じがしました。ファン・ジョンミンさんも出演してくれるなんて、私さえちゃんとしていれば問題ないと思いました(笑)」

オム・ジョンファは「ダンシング・クィーン」(イ・ソクフン監督、JKフィルム製作)で、8回の挑戦の末やっと司法試験に合格した人権派の弁護士ジョンミンを支えるエアロビクスインストラクターを演じる。勇気を出して参加した「スーパースターK」から落ちた後、夫のジョンミンに叱られるも、奮闘してダンスグループのメンバーになる40代の主婦を生き生きと演じた。

彼女は「タイトルは『ダンシング・クィーン』ですが、ファン・ジョンミンさんの役が私よりも大きいです」と謙遜した後、「40代のおばさんが孤軍奮闘して歌手になるというストーリーですが、夢を忘れた人々に向けた希望の応援歌になれたらと思います」と付け加えた。

オム・ジョンファが最も力を注いだのは、様々なダンスの練習だ。もともとリズム感覚は優れているが、エアロビクスや70~80年代のディスコ、ガールズグループBrown Eyed Girlsの「アブラカダブラ」、歌手キム・ワンソンの「リズムの中のそのダンスを」など7~8種類のダンスを身につける必要があった。プレイボタンを押してどんな曲が流れても、それに合ったダンスが自動販売機のように出てくるよう、訓練を重ねた。

「私は仕上がった映画を見に行くことはあまりないのですが、今回は別でした。ダンスシーンとエンディングのステージがどんな風に映されているんだろうと、もしかしてバッサリと切られているのではないかと心配半分、期待半分で見に行きました。もちろんいくつかのシーンは時間の関係上、編集されていましたが、私が丁寧に演じたシーンはほとんど残っていて、すごく嬉しかったです」

映画「私の生涯で最も美しい一週間」以来、再会したファン・ジョンミンとは「再び化学反応が起きたような共演だった」と話した。ピリピリすることもなく、「互いに不満があれば『タイム!』と叫ぼう」「良いアイデアがあれば早速提案しよう」など事前に決めていたためだという。


どんな演技をしても、受け止めてくれるファン・ジョンミンの柔軟さ

「ジョンミンさんは、私がボールをどう投げてもキャッチしてくれそうな俳優です。台本を少し変えただけでも焦ってしまう俳優もいますが、ジョンミンさんは私のように不規則なバウンドを楽しむ俳優で、楽しく演じることができました。家で夫婦喧嘩をするシーンで、「じゃあ、牛は誰が飼うの?」のようなジョンミンさんの台詞は、台本にはないものです。また、夫を責めながら私がジョンミンさんのおでこを叩いたのも、アドリブでした」

オム・ジョンファは「演技者の責任感」のような重い話をしている時も、謙遜しながらも自信を隠したりはしなかった。彼女は「私一人で引っ張っていく映画だったら、もちろんプレッシャーを感じたでしょう。でも、ジョンミンさんが一緒でしたので」と同意を求めるような笑顔を見せた。

「頼もしかったです。『ダンシング・クィーン』のように歌とダンスを披露する映画に、オム・ジョンファより相応しい女優がいますか? 早く『いない』と答えてください(笑) 観客の方々も、このようなところを楽しみにしているのではないでしょうか」

MBC合唱団から歌手、演技者に抜擢されなかったら、今は何をしていると思いますかという質問には「それでも、なんとかエンターテイメント関係の仕事をしているでしょう」とニッコリと笑った。「音楽が好きなので、舞台音楽関係の仕事をしたり、楽曲のデモ歌唱をする仕事をしたり(笑) あるいはレコードショップを経営したりですね。私、家計の大黒柱なので、こんな想像は少し怖いですけど(笑)」

過去に戻ることができるタイムマシーンの搭乗券が一枚あるとしたら、いつに戻りたいですかという質問に、彼女は「すごく幼かった頃」と答えた。「父が生きていた時です。あまりにも早く亡くなって、全然覚えていません。近くで父にもう一度会いたいです。母は私とテウン(弟の俳優オム・テウン)を育てるために、とても苦労をしました」

冬至に転んでしまって骨折したという母の心配、映画「シルミド」で一人前のスターになったオム・テウンへの感謝の気持ち。弟が誇らしいというオム・ジョンファは「今は毎日が大切で、感謝する気持ちでいっぱいです」と話した。2年前に受けた甲状腺がんの手術は、彼女の世界観の角度や視野を変えたという。

「あまり欲張らないで、余裕を持って生きていきたいと思っています。今日一日を大事にするのが重要ですし、価値もあります。これまでは何かに追われるように生きてきたので、趣味も特技もありません。最近は一人で過ごす時間を有効に活用しようと思っています。朝起きて本を読む時間も、とても幸せです」

彼女は最後に笑顔で「物欲と貪欲は限りがないと思います。死ぬ直前まで『もう少し』を叫び続けるのはもったいないですよ。幸せは近くにあるんです。すぐ側にまで来ている幸せを発見できるかはその人次第です」と言った。まるで何かを悟ったかのような余裕と観照が感じられた。デビュー以来、少しでも早く前に進もうと、とりあえず飛ばす“弾丸タクシー”を利用していたとしたら、今からは少し遅くなっても安全な“デラックスタクシー”に乗って目的地に向かうという話に聞こえた。

記者 : キム・ボムソク