「きみはペット」チャン・グンソク “マニアをターゲットにした映画ではない”

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写真=イ・セロム
色白の肌に高い身長、たっぷりの愛嬌まで備えたペットのモモ。ご主人様さえも惚れてしまったこのキャラクターをチャン・グンソク以外に誰が演じられるのだろうか。

映画「きみはペット」(キム・ビョンゴン監督、Production LUDENS製作)はチャン・グンソクによる、チャン・グンソクのための“チャン・グンソクの詰め合わせ”と言っても過言ではない映画だ。

人々の期待を集める舞踊界の新星で、世界的なミュージカルの振付師に成長したカン・イノ(チャン・グンソク)。しかし、行くところがないと自らジウン(キム・ハヌル)のペットになる。「こうして二人は末永く幸せに暮らしました」で終わるの童話のように、ハッピーエンドを迎える典型的なラブコメディではあるが、チャン・グンソクの描いたモモは一味違う。


「僕の演技、見てるほうが恥ずかしいって?」

―この映画を見ていると、にやけてしまいそうなシーンが多い。ジウンの家の前に置かれているダンボールの中で、イノが両足を揃えて子犬のような格好で寝ているシーンや、寝ているジウンの側にそっと近づいてベッドで一緒に寝てしまうずる賢さ、時にはおやつを持って会社に現れる頼もしさまで。ジウンの行動に一々反応して、彼女の機嫌をとろうと頑張っている姿は、パーフェクトなペットそのものだ。なんだか、見ている方が恥ずかしくなる。

チャン・グンソク:俳優は、観客がどんな反応を見せようと最後まで堂々としていなければなりません。じゃないと、怖がっていたら思い通りに表現できない。演技をしている俳優はみんな、カメラの前では主人公なんです。小さい役でも、大きな役でも同じです。カメラの前では俳優が主人公なんだから、何をどう演じようと、堂々としているべきです。

―この作品は、チャン・グンソクによって作られたと言っても過言ではない。チャン・グンソクが出演するという条件付きで、日本から投資があった。2012年1月に日本でも公開される予定だ。それ故か、彼の眼差しはキラリと輝いていた。それだけ映画に対する確信と自信があるという意味だろう。しかし彼はまた別の悩みを打ち明けた。

チャン・グンソク:二つの課題があるんです。2年ぶりに韓国で映画を撮ったので、不安もあって、焦っている気持ちもあります。もう一つは、日本での公開です。キム・ハヌル姉さんもいますし、助演の方々やキム監督もいらっしゃるのですが、どうしても“チャン・グンソクの映画”と言われてしまうんですね。上映する映画館も配給会社も、韓国で出演した他の映画とは比べ物にならないほどスケールが大きいです。その分期待も大きいですが、結果は誰も分からないじゃないですか。それで、少し緊張しています。

―日本では、映画の公開に先立って「きみはペット展」が開催される。

チャン・グンソク:重要なのは、映画というのは一部のファンだけを狙って作ったりはしないということです。多くの観客に冷静に評価されるものなので、日本人の心にどれだけ訴えかけることができるか、日本の方々の評価をどれだけ得ることができるかというのが鍵になってくると思います。


「話題のキスシーン」

―映画のエンディングを飾る夕焼けのキスシーンは有名だ。チャン・グンソクの暴露によると、キム・ハヌルの要請でどんどん激しさが増し、6回も取り直したという。女優イ・ミンジョンと“水中キス”を、ムン・グニョンとは“獣キス”をしたチャン・グンソク。だからだろうか? 彼は「僕は、先輩俳優にもう一度と言われたら、やります」と、キム・ハヌルの要請をクールに受け止める能力(?)まで備えていた。

チャン・グンソク:劇中、イノは雨でびしょ濡れになって、強引にジウンの家に住み始めるんです。ホームレスのペットからジウンと遊んであげる可愛いペットになって、その後はベッドにまで忍び込む雄のペットから男になります。最後のキスシーンがピークでしたね。ハヌル姉さんの主導もあって(笑) もうキスシーンの話はこの辺にしましょう。

―二人が仲の良さを見せるのは、キスシーンだけではない。二人は公の場でもプライベートでも変わらない仲の良さで、依然としてペットと御主人様の関係を保っている。チャン・グンソクは自費でキム・ハヌルをもてなし、飛行機のチケットや電車の移動、買い物にまで気を遣った。ゲームで勝ってもらった1万円も、そのままご主人様に返した。

チャン・グンソク:撮影が終わったばかりだったので、ファイト!という意味で招待しました。姉さんが僕のことを『ペット』としてしか見てくれないので、『僕はグンちゃんだ!』というのも見てほしかったんです。映画を撮る前は、姉さんのことをあまり知らなかったのですが、こんなに仲良くなりました。多分、姉さんは僕のことが好きなんでしょうね。オフの時はたまに立場が逆転することもありますが、気が付いたらまた僕がペットになっているんです。ハヌル姉さんは義理に厚く、僕のいたずらにも応じてくれる素敵な先輩です。

自信に満ちているこの男、さすが自他ともに認める“アジアのプリンス”だ。時には子供のようで、時には大人のような彼からは良い香りがする。デビューして20年、人生の半分以上を俳優として歩んできたチャン・グンソク。彼をここまで導いたのは「目標」だった。

チャン・グンソク:こんなにもたくさんの方々に愛されるとは思ってもいませんでした。確信といえば傲慢ですが、実現したい目標や夢、自信がありました。また、僕には誰にも負けないポジティブな性格があります。そして今の僕にはもう一つ、大切な『きみはペット』があります。

記者 : チェ・ミンジ