「きみはペット」キム・ハヌル「関節技をかける時、正気ではなかった」

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写真=キム・ジェチャン
ラブコメディの女王、キム・ハヌルが、映画「きみはペット」(監督キム・ビョンゴン、製作プロダクションルデンス)で、もう一度ラブコメブームを巻き起こしそうだ。

映画「ブラインド」で、デビュー以来初の主演女優賞を第48回大鍾賞映画祭で受賞した彼女は、暗くて閉鎖的だった「ブラインド」から、顔・スタイル・能力の三拍子が揃っているものの恋愛だけは苦手な「きみはペット」のジ・ウニとなった。同じようで違う、また違うようで同じウニとキム・ハヌル。その組み合わせがかなり面白い。


「ウニと私は一心同体」

―“プラチナ・ミス”と呼ばれるバリバリ働くキャリアウーマン。仕事でも認められる完璧な女性に見えるが、家ではとことんルーズなウニ。そんなウニは何だかキム・ハヌルに似ている。1978年生まれ。女優でなくともある程度の成功を収めそうな完璧さ。女優歴15年のキム・ハヌルの出演作を見てもウニに似たような感じがする。そんな予感は当たっていた。彼女はウニに見事にハマっていた。

キム・ハヌル:ウニは私にすごく似ていました。撮影しながらも“私と同じだ”と感じることが多かったです。私は普段、作品に出演する際、監督が創造したキャラクターに完全に感情移入して演じるタイプです。
これまではキャラクターの中で悩み、そのキャラクターに近づこうと努力するのですが、ウニの場合はほとんど、私、キム・ハヌルそのものでした。他人から見るイメージ、仕事における悩み、自分だけの空間にいる時のイメージがかなり似ていました。

―そのためだろうか。どんなシーンでもウニは本物の彼女のようだった、演技が演技に見えないほどに。ペットのカン・イノ(チャン・グンソク)とのツーショットではさらにそうだった。特に、イノに関節技をかけるシーンや、仕事のストレスを解消するためイノをいじめるウニの姿は、女性観客を大きく笑わせた。

キム・ハヌル:関節技をかける時、私はほぼ正気ではありませんでした(笑) 現場で教えてもらって、私が直接グンソクさんに技をかけたんですけど、本当に面白くて。痛くなさそうな姿勢だったのに本当に痛がるグンソクさんが笑えてしまって、面白かったです。一人で顔を赤くして大きな声でゲラゲラと笑いました。
それから、髪の毛をゴシゴシ強く洗うシーンはグンソクさんの要望でそうなりました。面白くするためにもっと強くして欲しいと言われたので、本当に強く洗いました。


「ラブコメディに戻る?ふるさとに戻ったわけではない」

―ホラー映画「ブラインド」で目の不自由なキャラクター、スアを演じた彼女は、その次の作品に「きみはペット」を選んだ。彼女が「きみはペット」に出演すると言った時、マスコミでは「キム・ハヌルがふるさとに戻った」と表現した。それは彼女の出演作に数多くのラブコメディが並んでいるからであろう。しかし彼女は淡々としていた。楽そうな姿も、慣れているような姿も、同じような役をやったことがあるからそう見えるのではなく、ただそういった演技の一部分であるだけだった。

キム・ハヌル:私には私の考えがあって、私の中で自由に考えている人間です。作品や未来に対して限界を決めたり線を引いたりしない女優なんです。できるだけシンプルな人生を生きるように、演技をする時もそうです。
私は作品に大きく影響される方なので、『ブラインド』を撮影する時は本当に辛くて大変でした。撮影の後半にライトで柔らかい『きみはペット』に出会い、“早くそちらに行きたい”と思ったんです。俳優は作品を通じて一皮むけ、成長していくと思います。

―実はキム・ハヌルは「きみはペット」の出演を6年前にも誘われたという。ただし、6年前に読んだストーリーと今回出演を決めた1年前に読んだストーリーの印象は異なっていた。前作に暗い映画を撮った彼女は明るい映画を撮りたかった。フワフワな恋愛ストーリーに心を奪われた。だから彼女はペットとの戦い、あるいは愛を宣言し、「きみはペット」に飛び込んだ。

キム・ハヌル:作品の第一印象は“これってありえる?”でした。原作の漫画は読まず、どんな感じなのかを参考にするためにTVドラマだけ少し観ました。
実はこの映画はかなり前から企画が進められていましたが、6年前とは全く違う印象です。その時のコンディションや印象によって作品を選択する基準が変わります。

―それならば次期作もラブコメディを選ぶのか?という質問の答えは予想外のものだった。

キム・ハヌル:次期作ですか?多分ラブコメディではないと思います。きっと新しい何かがあるでしょう、どこかに。

記者 : チェ・ミンジ