KARA ― 全力疾走する少女たち

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世の中には色んな種類の少女がいる。すらりとした身体と妖艶な表情で、きわどい境界線を楽しむ少女がいるかと思えば、弾けんばかりの若さの象徴になる少女もいる。「Rock your body I say」という歌詞に合わせてぴょんぴょん跳ねたり、「どこでも堂々と歩くこと」と叫びながら歩くKARAは、セクシー路線ではなく天真爛漫さを選んだ少女たちだ。あどけない顔とキュートな衣装、そして愛らしい雰囲気は、切ない歌詞の「Honey」にも明るさを吹き込むほどだ。


「『Rock you』がリリースされてから、まともに休んだのはたったの一週間です」

セットの人形のようにお揃いの服を着て踊る、あどけなくて可愛い少女たちも、ステージから降りると本来の自分に戻る。笑顔がキュートで何でも聞きたがる末っ子ジヨンは、さらにハツラツとした姿になる。近寄りがたい印象とは違い、気さくで素直なハラは、他のメンバーのインタビューを静かに見守る寡黙な少女に変身する。ステージだけでなく、バラエティ番組でも、突拍子のないことを言うニコルは、早口なのは相変わらずだが、メンバーのいいところを探して褒めてあげる姿から、実年齢以上の大人っぽさがにじみ出る。また、二十歳になったばかりのリーダーのギュリからは“大学では3年生の先輩”と呼ばれるという本人の説明通り、年長者としてのカリスマが伺える。童顔で“小学生”というニックネームで呼ばれるスンヨンは、「メールを送る時でも、文法に注意して顔文字はできるだけ使わない」と言うほど徹底した完璧主義者である。

年齢も性格も違う彼女たちだが、不思議なほどにバランスが取れている。途中から新しいメンバーが入った時は「この世界は辛い思いをすることも多いし、大変だから、傷ついたりしないかな。軽い気持ちで入ったんじゃないかな」と心配したというスンヨン。「芸能人になったら、ご飯もちゃんと食べれないし、大変だという話をよく聞いていたけど、実際はちゃんとご飯は食べているし、辛いことより楽しいことの方が多いです」と楽しげに話す末っ子ジヨン。この二人は血のつながった本当の姉妹のように仲がいい。なぜなら、それぞれの出発点は違っても、同じ目標に向かっているからである。

歌手になるために米国でオーディションを受けたニコルと、光州(クァンジュ)から上京して色々なオーディションを受けたハラはもちろん、CDの販売不振やメンバーの交替で、いつまた活動を再開できるかも分からず、ただひたすら練習に打ち込んだギュリとスンヨンは、今はプライベートな時間もとれない多忙な日々の連続だが、「走れるときに走る」楽しさを満喫したいと話す。特にそれまで一人でオンラインゲーム番組からケーブルテレビのリアリティーショーに至るまで、様々な番組に出演し、活動再開を待ち望んでいたスンヨンとっては、喜びもひとしおだ。

「そんなにハードなスケジュールでもなかったのに、時間のやりくりがうまくできず、学校に行けなかった時期もありました。その時の経験があったから、今のきついスケジュールをこなすことができるのだと思います。『Rock you』がリリースされてから、まともに休んだのはたったの一週間です」


全力を尽くしたその瞬間、少女たちは目覚める

そしてステージに復帰したKARAは「Honey」で音楽番組の1位を獲得した。最初は嬉しさのあまりにただ泣いていたが、次からは放送が終わるまで泣くまいと頑張った。「酷い泣き顔をクローズアップした写真がインターネットに出回っていたんです」と、困ったように話すスンヨン。しかしその顔は嬉しそうだ。「“本当に”困ってます」という真剣な顔からは、喜びを隠せない本心が透けて見える。こんな笑顔はステージでしか見られないと思っていたが、そうではなかったようだ。等身大の少女の姿そのもの。それが本来のKARAの姿だろう。

記者 : ユン・ヒソン、写真:チェ・ギウォン、編集:イ・ジヘ