Vol.1 ― 「千日の約束」スエ“最近、ソヨンと別れるために頑張っています”

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写真=キム・ジェチャン
1月末に予定されていたインタビューを繰り上げたのはスエだった。4日にソウルの長忠洞で会ったスエは、SBSドラマ「千日の約束」のキャラクター“ソヨン”を一日も早く忘れたいと述べ、「今日こそ、これまで自分の生活でメインだった『千日の約束』を捨て去ろうと心を決めてきた」と話を切り出した。


運命のようにやってきた「勿忘草」の台本

「ドラマが終わったらその余韻で心が苦しくなると思ったけど、ドラマが終わっても2、3日は全然平気でした。『あれ、どうして?』と思って、オム・テウンさんと電話で話したら、彼は『それは多分スエがソヨンというキャラクターを演じることに完全燃焼したからだろう』と慰めてくれました。ところが4日後から突然胸に穴が空いたように、虚ろな気持ちになってしまいました。無気力になってよく眠れなかったり。予想していたことがついにやってきたんです(笑) もう、こんな気持ちを捨て去りたくて、こうしてインタビューをしながらソヨンとお別れしたいと思いました」

スエは「現場でいつも私を守ってくれたキム・レウォンさん、チョン・ウルヨン監督などスタッフが私だけを残してどこかに消えたような気がして不安で寂しかった」と話し、「覚悟はしてたけど、やっぱりドラマの後遺症が長引きそう」と笑った。

「私よりもっとドラマチックなキャラクターを演じた方もいれば、100部作のドラマに出演した方もいるのにこのような話をするのは恐縮です。でも、第2話からアルツハイマー病だという診断を受けたソヨンが、最終話まで病気と死闘を繰り返したことはすごく辛かったし、エゴや自己愛が特別強いキャラクターが現実の私に似ていてより演技に没頭できたと思います」

普段は登山や水泳で健康を維持してきた彼女だが、今は体力が底をついているという。彼女は「昨年夏、バングラディッシュに向う飛行機の中で、1~2話の台本を読んで震えたことをはっきりと覚えている」と述べた。海外ボランティアのために出国しようとした空港で、所属事務所の代表がバイク便で送ってくれた「千日の約束」の仮タイトルだった「勿忘草」の台本を受け取ったのだ。

「もしかしたら運命だったのかもしれません。飛行機で台本を読むと、第2話からヒロインの病名が明かされていました。次のストーリーをどのように展開していくのかとても気になった私は、帰国してすぐチョン・ウルヨン監督とミーティングをしました。既に私は、その時点でソヨンになっていたのかもしれません。ところが、最初のリーディングを終えて追加台本を受け取ってから再び自信がなくなりました。『ごめんなさい。私、できません』と後ずさりする私を、監督が最後まで励ましてくれました。『私にも心配はあるけど一緒にやってみよう。スエさんが必要だ』という監督の言葉に勇気をもらいました。


「私、実物よりテレビの方がきれいでしょう?」

リーディングの時、脚本家であるキム・スヒョンからよく聞いた言葉は“激しく”だった。「スエさん、ここではもっと激しくお願い」「もっと激しく戦って、ぶつかってほしいの」

「2ページを超える長文で、キム・スヒョンさん特有の“速射砲のセリフ”も厳しかったが、キム・スヒョンさんと監督が求めている感情がしっかり表現できているのか不安で途方に暮れた時も多かった」と謙遜した彼女は、「でもなぜか第3話からは不思議なぐらい自信と活力が出始めました。貴重な経験だった」と述べた。彼女は当時の気持ちを窮鼠猫を噛むような気持ちに例えた。

「窮すれば通じるという言葉がありますよね。第3話から集中力もよくなり、悲劇の真ん中を歩いて行くような状況でも、撮影する日を楽しみに待てるようになりました。知らないうちに楽しめるようになったんです。それは一種のカタルシス(解放感)、あるいは超人の力だと言えますかね。何があっても最後までやってみようという負けず嫌いな気持ちが、自分の中に生まれたんです(笑)」

一緒に撮影するシーンは少なかったものの、先輩であるイ・ミスク、キム・ヘスクの激励と応援、そして鎮痛剤の力を借りてまで腰の痛みと戦ったキム・レウォンの強い意志も、スエのモチベーションを高めた。特に相手役のキム・レウォンとの関係設定が「近づく男とその気持ちを突き返すしかない女」だったので、わざと距離を置く時もあったと告白。「そこはキム・レウォンさんに悪かったなと思います。感情のこもった彼の演技にリアクションしながらも、彼のことを配慮しなきゃいけなかったのに当時の私にはそんな心の余裕はありませんでした」

反応が早いドラマの特性上、現実のスエを心配してくれるファンが多かったという。午前中、家の近くのスーパーに行くと「こんなにかわいいお嬢さんが病気だなんて……」と気の毒に思ってくれる視聴者のおばさんのお陰で元気を出すことができたという。

「お母さんたちに人気がありました。内心『映画よりドラマの方がいいかな』と考えた時もあったんです(笑) かわいいという言葉を嫌う女はいませんからね(笑) でも私、実物より画面の方がかわいいと思いませんか? どうしよう。撮影現場のように照明と反射板をいつも持ち歩くわけにはいかないですしね」

記者 : キム・ボムソク