Vol.2 ― スエ“赤ちゃんを初めてかわいいと思えたのは、結婚する時期になったということでしょうか”

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写真=キム・ジェチャン記者
内向的な性格だったスエがこのような冗談を言えるようになったのは、映画「あなたは遠いところに」を撮影する頃からだった。今は亡き映画会社のチョン・スンへ代表のアドバイスと激励、叱責のお陰だという。生まれて初めてのヨーロッパ旅行も信頼していたチョン代表の誘いがきっかけとなった。


負けず嫌いと意地で耐えた3ヶ月

「旅行が私を大きく変えてくれました。旅行って小さい感嘆符が心に刻まれるようなことだと誰かが言いましたよね。いつかスペインのサンティアゴにある聖地巡礼の道を歩いてみたい。近いうちにフランスのパリに行くつもりですが、カフェでココアを飲む私を想像すると今から胸がドキドキします」

今回のドラマで「自分自身のどの部分に驚いたか」という質問に対して、「意地」だと短いながらもインパクトのある答えを出した。「毒気というよりは負けず嫌い、意地という表現が適切だと思います」と話し、「人間は極限に達すると何でもできるという言葉を改めて実感した。家でシャワーだけ浴びてまた撮影現場に行かなければならない日も多くあったが、意地で耐えて何とかできた」と笑った。

「映画『深夜のFM』を撮影する時は、険しい山を何度も越えるような気持ちでしたが意地で耐えました。やっと一つの峠を越えたと思ったら、また大きな山が目の前に立ちはだかっているような状況の連続でした」

ドラマが後半に向かうにつれ悲しくも凄然とした演技が際立った理由に対しては、「いつも頭より先に心に聞いてみた」と微笑んだ。キャラクターとその感情を分析することを止めず、もし自分が100を見せることが可能なら、初めから100を見せようと全力を注いだという説明だった。

「イ・ジュンイク監督がこう言ってくれました。『スエ、100の力があるなら惜しまず100を注ぎなさい』と。結果を怖がらずに感情やエネルギーを完全に燃やしてこそ、新たなエネルギーが生まれるということをその時に学びました。

フィクションだと言っても、アルツハイマー病にかかった娘を見守る親の気持ちは如何なものだったのか。スエは「母は台本が出るたびに内容を気にしていました。既にドラマの筋は分かっているのに、観るたびに涙を拭いていました」と話した。「私の第一の視聴者はいつも親ですね。ただ、台本を読むのはいいんですが、読み終わったら元の場所に戻してほしいです(笑) いつもどこにあるのか探してしまいますからね」

今年33歳になったスエは「娘役の赤ちゃんを見て初めてかわいいと思った。自分自身に結婚する時期になったのかと自問してみた」とにっこりと笑った。ワーカホリックの面貌もあるが、36歳になる前には家庭を作りたいと話した。


結婚は遅くても36歳になる前に

「熾烈に生きている“女優のスエ”と、余裕のある安定的な暮らしを好む“自然体のパク・スエ”の人生を一緒に考えてみると、36歳になる前には結婚しなくちゃと思いますね。彼氏は今いないけど、私もいつかは運命の男にめぐり合えるでしょう」

ドラマが始まってまもなく、劇中でキャラクターに合わない高級ブランド品を着ていたと非難されたことについて聞いてみた。「私が考えても行き過ぎた部分はあったと思います。でも悔しいこともありました」と述べ、高価なコートを着たのは事実だが、エルメスのバックだと指摘されたバックは国産ブランドの品だったと説明。スエが持ったことで国産ブランドのバッグが海外の高級ブランド品のように見えたことは、むしろ良いことだと思いませんかと聞くと「そうですか?」と反問した。

「脚本家が高くない服を着たとしても、くすんで見えてしまうのは絶対ダメだと繰り返し強調していました。貧乏臭く、患者のように見えないよう、衣装やヘアスタイル、メイクまで細心の注意を払ってくれたのです。衣装の色もできるだけ明るい色に、髪の毛もきれいに伸ばすようにと。監督に「ソヨンは患者ですけど」と聞くと、「劇中では、もしソヨンの髪が乱れてもおばさんがきれいにしてあげるはずだし、服が汚れればすぐ新しい服に着替えさせるだろう」と説明してくれました。

ソヨンは今頃、天国で何をしていると思うかと聞いてみると、5秒くらい窓の外をじっと見詰めていたスエは「おそらく人生で最も楽な時間を過ごしていると思います。生きている間は人生の荷物をずっと背負っていた子でしたけど、今はね」と言葉尻を濁した。

「大切な人と一緒に過ごすことはできないけど、それでも今が最も安定した状態だと思います。最終話の台本を読んで、なぜソヨンは火葬して納骨堂に置かれる方法を選択せず墓に埋められたかと気になりました。きっとそこには脚本家の意図があったんでしょうけどね」

スエは「いい俳優はキャラクターに入り込むことより抜け出すことに際立っているといいます。そういう点では私はまだまだですね」と話し、「これまでソヨンを愛してくれた皆さんに感謝します」と晴れた笑顔を見せた。

記者 : キム・ボムソク