授賞式の舞台比較“手の込んだ”INFINITEと“ボールで転んだ”2PM

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年末を総決算するK-POPの授賞式は、趣向を凝らした舞台演出のおかげで賞を抜きにしても楽しいものだ。しかし今年は楽しい演出よりも、事故の方が話題になってしまった。音響のトラブル、進行上のトラブル、カメラのトラブルなど数多くのトラブルが重なり、実際に歌手が被害をこうむるトラブルまで発生したことで主催者である放送局や歌手の双方に苦い思い出を残した。放送トラブルの嵐の中で何事もなかったグループ、被害を受けたグループを比較し、放送局の舞台演出が歌手たちにどういった影響を与えるのかを検証してみた。



“手の込んだ”INFINITE

INFINITEは、授賞式での舞台構成が普段のものとそう変わらないグループである。ほとんどの歌手が授賞式に向けてブレイクダンスなどを取り入れたリミックスを行うが、INFINITEの多くの曲には華麗なダンスやパッと目に付くポイントの振り付けが入っているので、それ自体すでに特別であった。彼らは今まで「パラダイス」や「僕のものになって」をリミックスしたステージを披露しており、曲の出だしにブレイクダンスを入れて本人たちの強みを強調する一方、導入部分を3つの放送局ごとにアレンジするなど、短いながらもダンスに目がいくように変化を加えている。

特に「2011 KBS歌謡大祝祭」では足踏みと手拍子のリズムに合わせて体を動かし、拍子一つに振り付け一つを入れてすっきりした“刀群舞”を完成させている。またLED電球の付いた衣装を着用し、それぞれの手の角度を変えたり、メンバーの動きによって光が横に広がる効果を与える振り付けで、シンプルでありながらも目に焼きつくようなパフォーマンスを披露し、INFINITEの“群舞ドール”としてのイメージを確かなものにした。KBSがINFINITEのために準備したのは、レーザー照明とLEDの衣装に必要な電源の供給だけだった。それだけに単調な舞台演出であったと言えるのだが、数多くのトラブルが相次いだ年末のK-POP番組を振り返れば、INFINITEは自分達さえ頑張れば充分素晴らしいステージを作れるという事を証明し、逆説的に言えば懸命な選択をしたのだと言えよう。余白の美という言い方があるが、出来ることだけをした方が目立つ場合がある。INFINITEのステージは、時にはシンプルな方が有る方よりも素晴らしいことを証明してくれたステージとして心に残るだろう。



“ボールで転んだ”2PM

2PMは年末のK-POPの舞台で期待されているグループであり、多くの歌手が元曲にブレイクダンスを取り入れた特別なステージを作る中で、2PMはすでに2009年の「Heartbeat」から3つの放送局ごとにステージの編曲を全て変えている。昨年の場合、「I'll be back」を「2011 SBS歌謡大祭典」ではロックバーションで、「2011 KBS歌謡大祝祭」では群舞とアクロバットな動きの目立つステージとして、「2011 MBC歌謡大祭典」ではサイバーを意識した扮装と新しい振り付けを入れるなど、放送局ごとにそれぞれ異なる雰囲気を演出していた。特に2PMは華麗なパフォーマンスに強みがあるので、彼らの準備したパフォーマンスに放送局が少し特殊効果を加えただけで長く語り継がれるようなステージを作ることが可能なはずだった。

2011年、2PMの年末の舞台で最たるものは「2011 MBC歌謡大祭典」であった。「Hands up」では彼らの特技であるアクロバットな動きやセクシーさの代わりに楽しく遊ぶようなステージに変えることで、SBSやKBSの授賞式でもその雰囲気をそのまま生かしてファンに応えた。しかし彼らは「2011 MBC歌謡大祭典」で、「Hands up」以外に「Back 2 U」を追加した。2PMの1stアルバムに入っている「Back 2 U」は、拍子ごとに腰を振る振り付けと滑らかなウェーブが混ざり合い、男らしさとセクシーさが自在に行き交う曲である。おそらくこの曲を選んだ理由としては、2PMの最も大きな武器である男性的なセクシーさを強調して、人々の視線を掴もうという目的があったに違いない。彼らは「Hands up」を通して皆が楽しめるステージを、そして「Back 2 U」では見る楽しみを与える事が出来るステージを用意した。しかし、製作者側は観客の雰囲気をボールという小道具で盛り上げようとし、2PMが入念に準備したステージはそのボールに阻まれまともに見る事も出来ない状態となってしまったのである。何者かがわざと2PMのステージにボールを投入したのではないかと疑りたくなった程である。放送局からの支援が多ければ多いほどステージで様々なことを試すことも出来るが、韓国の年末のステージでは時に放送局頼みをしてはいけない事もあるのだ。一生懸命準備したのなら尚更である。皮肉だが、これは事実なのである。

記者 : パク・ソジョン、翻訳者 : イム・ソヨン