「光と影」ショーガールのうごめく欲望

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「光と影」第10話 MBC 月-火 夜 9時 55分
作家チェ・ワンギュの作品で、遊び人のギテ(アン・ジェウク)が、成功に向けて野望を抱く姿を描く「光と影」は、典型的なチェ・ワンギュスタイルの男のサクセスストーリーである。しかしこのドラマは同時に、ジョンヘ(ナム・サンミ)とチェヨン(ソン・ダムビ)という“ショーガール”たちの物語でもある。それはショービジネスという特別な世界で、一番ドラマチックに“光と影”の物語を繰り広げる存在が、まさに女性だからだ。ショー団を導く団長、劇場のオーナーも、彼らを後から支配する絶対権力者もみんな男性であるこの世界は、独裁政権の時代の雰囲気をそのまま圧縮している暴力的で家父長制の社会だ。また、その下で男たちの道具として、または人形扱いされる“ショーガール”たちの悲しみや喜び、そして、うごめく欲望はこのドラマを描く上で、重要な役割になるに違いない。

「光と影」の第10話でそれが明らかになっている。ドラマはサンテック(アン・ギルガン)の前で「私は団長のアクセサリーでも、おもちゃでもない」と叫ぶチェヨンの姿で始まり、宮井洞安家(70年代の独裁政権の時代、政治家向けの有名な宴会場)に行くことを決心する。その後、チョルファン(チョン・グァンリョル)のテーブルの前に立つジョンヘの姿で10話を締め括る。彼女たちは舞台で一番脚光を浴びるが、彼女たちが裏でいつも出くわしていることは、9話で一時触れたジョン・インスク事件のように、男性たちの権力構造の犠牲者となり、暗いスキャンダルの主人公を辿る運命だ。このような抑圧の中でも“ショーのように楽しい人生はない”と知りつつも舞台の主演でありたいと頑張る女たちの欲望は、男たち野望の物語に勝るとも劣らない。もちろん積極的なチェヨンに比べて、スターになろうとする動機が古臭くて受動的なジョンヘの欲望はまだ顕著に表れてはいないが、これからのジョンヘの変化は重要だ。それは目を覚ました彼女の欲望とジレンマが、これからの男物語、そして女性たちの物語をどうか変えていくかを握る鍵だからだ。

記者 : キム・ソンヨン