【PEOPLE】チャ・スンウォンを構成する5つのキーワード

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チャ・スンウォン

幼い頃から家族を養わなければならなかった。安易な道を進むより、いっその事奮闘して倒れようといった心情で仕事をした。その結果、韓国で一番かっこいい男性と呼ばれるようになった。モデルとして仕事をし、俳優としての経験も積んだ。そして、40代に入った。彼は今、どこへ向かっているのだろうか。


コ・ウンギョン

チャ・スンウォンにモデルの教育をした、モデル養成者。
当時高校生であった彼を見て、“オーラがある”と言ったほど、強い印象を受けたそうだ。しかし、チャ・スンウォンは“ただ”モデルの仕事をしただけだ。しかし、その“ただ”の仕事をする間に、結婚もして子供も生まれた。しかし、IMFの時、モデルの仕事が激減した。家族と共に半地下の部屋に住んだこともあった。その時出会ったマネージャーに、TV出演の仕事を提案された。


イ・スンヨン

チャ・スンウォンは、イ・スンヨンが司会を務めるSBS「セイセイセイ」の後続番組である「キムヘスのプラスユー」でMCとして出演。
数名のゲストがソファーに座り気軽に話をするトークショーの第2部に出演した彼は、かっこいい服を着てモデルとしての自身を強調するのではなく、楽なファッションで男女間の愛情問題や人生について自由なトークをした。当然ドラマや映画からは出演のオファーが入り、彼は“ただ”俳優としての生活をスタートさせたわけだ。


コ・ソヨン

ただ俳優としての生活を始めたとは言ったものの、チャ・スンウォンが選択できる作品の幅は少なかった。コ・ソヨンと共演した映画「日が西から昇れば」では、コ・ソヨンに好意を抱くかっこいい会社経営者を演じ、映画「愛のゴースト」では、プレイボーイのゴーストを演じた。“モデル出身の俳優に対しての先入観が酷かった”当時、モデル出身でありバラエティで有名になった彼へ与えられた役は、決まりきったものだった。
自ら「その当時話題になりそうな男性をキャスティングして誤った用途で使い、うまくいかなければ“才能がない”と言われ、使い捨てとして扱われるようになった」時期だったと話す。このためか、チャ・スンウォンは映画「戦火の中へ」で共演したBIGBANGのメンバーT.O.Pについて、「私も異業種から俳優を始め、最初は大変だった。彼に対しては壁を作らないようにしようと思った」と語る。


ソン・ヌンハン

チャ・スンウォンが「私と近い部分がとても多い」と話す、大学講師を演じた映画「世紀末」の監督だ。
チャ・スンウォンはモデルという偏見を無くそうと、自身の姿を壊すコメディ映画や、真面目な演技を見せることができる作品に出演した。「世紀末」ではスリムなスタイルで、あらゆる世俗の欲望を吐き出す大学講師を熱演し、彼が多様な役を演じることができることを証明した。


キム・サンジン

チャ・スンウォン主演の映画「風林高」「ジェイル・ブレーカー」「幽霊が棲む」の監督。
3作は全てヒットし、チャ・スンウォンは映画界のトップスターとなった。「風林高」でジャージを着て歩き回る彼は、韓国の映画界には存在しない、有名なコメディ俳優だ。しかし、「ジェイル・ブレーカー」では「風林高」と似通っているようにも見え、「幽霊が棲む」では彼のワンマンショーに近いコミカルな演技が印象的だった。
彼は「少しでもモデルのイメージが出てはいけないと思いコメディ作品を選んだのだが、連続したコメディ映画の撮影は“自然を装った不自然の連続”な状態だった」という。しかし、とある人物の話を総体的に演じ、当時のチャ・スンウォンの持つ感情的な演技を試したと言っても過言ではない映画「先生、キム・ボンドゥ」は、彼の演技力にこれ以上の疑問を与えなかった。しかしその後「幽霊が棲む」や「里長と郡守」は“良くない記憶”として残り、チャ・スンウォンは「劇中でウィットさを与えるものなら良いのだが、ジャンル自体がコメディである作品には出演しない」と語った。


アン・パンソク

チャ・スンウォンが“私の作品リストにあるというのがとても嬉しい”と語った「国境の南側」の監督。
映画界では認められた存在であるチャ・スンウォンは、演技に対し積極的に自分の発言をし始めた。「国境の南側」の撮影当時、アン・パンソク監督の自宅へ押し寄せ演技に対して討論し、KBS「ボディガード」の撮影当時も、夜作家のいる作業室へ行き、作品に対して話をした。このような過程を経て、チャ・スンウォンは自身の演技を“順番に変えていく作業”と言い、出演作品のキャラクターも変えていったのである。


ユ・ヘジン

MBC「日曜 日曜の夜に」の「チャ・スンウォンのヘルスクラブ」で共演した俳優。
この番組は、「国境の南側」の公開前に彼がアイデアを出して8週ほど放送した。“男性俳優は、あごのラインだけでも演技以上の表情が出る”ため、体系維持には気を付けると話す彼がトレーナーになったこの番組は、同時間帯の視聴率1位を記録した。「物欲よりも名誉に対する欲の方がある」と話し、「違うことについては違うとはっきり言うことが正しい」と考え、「映画を撮影する切実感と方向性が薄れたら終わり」という彼。
また、「今は100%の力で頑張っているのだが、なぜ未だに全てを叶えられていないのかという負けん気と根性」を持ってると話した。笑わせることにも一生懸命、プロとして笑わせる。仕事に対する価値観がはっきりすればするほど、さらに頑張ろうとし、頑張ってやった分、思ったことを全うとしようとした。人々から、チャ・スンウォンは“とても緊張している”と言われ始めたのはこの時期だ。


チャン・ジン

映画「拍手する時立ち去れ」「息子」で、チャ・スンウォンと一緒に仕事をした監督。
映画「血の涙」が彼の緊張感を映画全体に押し出すように制作されたとしたら、「拍手する時立ち去れ」は、彼の緊張感にリズムを加え、ユーモアと真剣さを絶妙に行き来させた作品である。
彼が “自分を捨てようと” した「国境の南側」の興行不振は、「消そうとしても消えるものでもなく、自分ができる事をするのが一番楽だ」と思うことにした。相変わらず彼はコメディ俳優のイメージが強いが、徐々に牙のような本性を剝き出し始めていたのである。


ハン・ソッキュ

映画「目には目を、歯には歯を」で共演した俳優。
「モデルのチャ・スンウォンから俳優のチャ・スンウォンへと変化する過程に、コメディ映画が存在する」というチャ・スンウォンは、意図的に“不自然な演技”をしたがり、楽さの代わりに緊張感を選んだ。「目には目を、歯には歯を」は、彼が「今までの映画の中で、一番カッコ良く出演した映画」というほど自身のビジュアルを積極的に表現し、いかなる状況でも自身の独特な存在感を見せつけた。
「放火の中に」の人民軍の将校であったり、「雲から抜けた月のように」の剣客であったり、彼は周囲にシリアスな空気を吹き込むほど、緊張感に溢れていた。


キム・ソナ

SBS「シティーホール」で共演した俳優。
チャ・スンウォンは自身のビジュアルを積極的にアピールし、スクリーンの中でどんどん自身を確立していった。しかし彼はその分、他の人と交わりにくそうな、人を圧倒する存在感を持つ。「雲から抜けた月のように」では、乱世に自身の意味を広げようとする劇中の配役とよく合っていたが、「シークレット」で妻を救うため努力する刑事の姿とは合っていなかったようだ。どんどん格好良くなっていくものの、それとは裏腹に演技の幅は狭くなっていた。「シティーホール」でも、彼の役どころは自身の持つ主観が強く、大衆の前ではカリスマ的な演説をする政治家であった。しかし、キム・ソナとの恋愛が混ざり、彼の演技にはリズムが生まれ、コメディのために誇張された演技をしなくても、リズムと状況のみで笑いを作ることができた。“ライオンとねずみの顔を一度に持つ”人だとしたら、彼にとって「シティホール」は、二つを一度に持つ方法に対する解決策だったのである。


コン・ヒョジン

MBC「最高の愛」で共演した俳優。
自らを“人に対して穏やかに近付くタイプの人間ではない”と言った彼は「最高の愛」で独占欲の強い神経質なトップスター、トッコ・ジンを熱演した。彼はトッコ・ジンを演じながら、過去のように自身のビジュアルを消すため、コミカルな演技だけに没頭したり、自身の存在感を表すために緊張感を漂わすこともしない。彼は、いつでも格好の良いトップスターだが、状況によってはその場に合った行動をするし、同時に食事をしている時も相手を圧迫するぐらいの威圧感を持つ。
“ゆったりと生き、自身を客観的に見ることができる50代”になりたいと語る彼は、自身の外見や雰囲気をキープし、それらから自身の身の置き方を知っているようだ。そして、チャ・スンウォンは今演技を“好きで”やっている。

記者 : カン・ミョンソク