映画の中で歴史を描く“チキン屋”―チキン屋がストーリーを盛り上げる!? ―

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写真=映画「パーフェクト・ゲーム」「ペースメーカー」に出演したマ・ドンソクとキム・ミョンミン

映画「パーフェクト・ゲーム」の“チキン屋”

21日に韓国で公開される映画「パーフェクト・ゲーム」(パク・ヒゴン監督)。ヘテタイガーズのパク・マンス(マ・ドンソク)の妻(イ・ソンジン)がやっとの思いで切り盛りしている狭くて古いフライドチキン屋で釜山の社稷(サジク)野球場さながらの感動が生まれる。

パク・マンスは20年の経歴を持つヘテの選手だが、試合には一度も出場できなかった万年補欠のキャッチャーだ。のし上がってくる後輩たちに追い越され、いつ戦力外通告されるか分からない、選手というよりは荷物持ちに近い人物だ。しかし、いつか打席に立つ“その日”のため、誰よりも熱心に練習に取り組んでいる。そんな中、よく出来る後輩ソン・ドンヨル(ヤン・ドングン)の球を受け、奇跡を予感する。

ロッテジャイアンツのチェ・ドンウォン(チョ・スンウ)とソン・ドンヨルの投手対決3回戦が行われた1986年5月。ヘテのキム・ウンリョン監督は負けが見えてきた試合の後半でパク・マンスを出場させるという驚きの作戦に出た。「記録がまったくない選手」「キム・ウンリョンの痛恨のミスとして記録されるはず」とキャスターや解説者が皮肉を言う中、パク・マンスは打席に入る。

ヘテの控えでこの姿を見守っていたソン・ドンヨルや他の選手たちは、試合感覚のないパク・マンスのあわてる姿を見て、唖然とし、頭を落とす。ツーストライクになり、勝利を予感したマウンドのチェ・ドンウォンは会心の笑みをもらし、3球目にストレートを投げるが、その瞬間、誰にも予測できなかった大事件が起きる。

「パパじゃなくて、ソン・ドンヨルみたいな野球選手になる」という息子、「働いてくれないと食べていけない!野球をやめて、配達でも手伝って」という妻は9回に登場したマンスの姿を見て、熱い涙を流す。


映画「ペースメーカー」の“チキン屋”

来月1月19日に韓国で公開される映画「ペースメーカー」(キム・ダルジュン監督)でもチキン屋で感動が花咲く。選手時代に負ったケガのため、マラソン選手としての夢を諦めたマンホ(キム・ミョンミン)の職業はチキンの配達員。高校時代、一緒にマラソンをやっていた友達(チョ・ヒボン)夫婦が営むチキン屋の狭い部屋で寝泊りする、落ちぶれた生活を送っている。

おかしな鶏のトサカのついたヘルメットをかぶったマンホは、ワンドゥクがそうだったように、疲れを知らないスピードと持久力独特のジェスチャーで一生懸命チキンを配達する。そんな中、マラソンの韓国代表監督(アン・ソンギ)がチキン屋を訪れ、マンホは韓国代表に選ばれる。しかし彼に与えられたミッションは完走ではなく“ペースメーカー”だった。性格の悪い韓国代表後輩の記録向上のために、30km地点まで前を走り、向い風を防ぐ役割を提案される。

敗北主義を克服し、周りの心配もものともせず、マンホは大胆にもロンドン五輪でのマラソン完走に挑戦する。チキン屋の狭い部屋で見ていた夢は、果たして実現できるのか。

ある映画関係者は「映画の中のチキン屋は、庶民の苦しい人生を映し出す、一種のメタフォーのような空間」「みすぼらしいけれど、主人公のドラマチックな変身と成功のストーリーを描くにはこれほど対照的な場所もない」と話した。

記者 : キム・ボムソク