BIGBANGのローテーションシステムの元祖、神話はファンの気持ちをもてあそばなかった

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感動的な神話復活、長寿の秘訣三つは?

人間なら、愚直なものよりは華麗なものに目がいってしまうのが当たり前。盗塁やヒットよりホームランに熱狂するのと同じように。

しかし、本当の感動は、目の前の派手なプレーよりは、 一途な姿から得られるものではないだろうか。メジャーリーグ、シンシナティ・レッズのピート・ローズが3562試合出場の新記録を出した時、野球ファンが畏敬の念を抱いたように。このような観点からみれば、韓国のアイドルグループには感動を呼ぶような地道・愚直さがない。まず長く続かない。

■当時としては画期的な歌唱力、BIGBANGのローテーションシステムの元祖
そういった意味で、デビュー14周年目となる「長寿アイドル」神話の復活(SHINHWA)のニュースは、それ自体で感動である。数多くのアイドルが短い時間で出てきてはすぐ消えてしまう韓国のK-POP界で、「持続可能なアイドル」が可能であることを身をもって示しているためだ。彼らと同じような時期にデビューしたgod、S.E.S.、FIN.K.Lが事実上解散状態であることを考えると、神話がどれだけ長い期間を生き残ってファンの支持を受けているかが分かる。

神話の根強い人気の秘訣は、メンバーそれぞれの優れた歌唱力とスター性にある。基本的で一般論的な話じゃないかというかもしれないが、それもそう簡単な話ではない。

メンバー全員がソロアルバムを制作できるような歌唱力を備えているのは、当時としてはかなり画期的なことだった。当時のほとんどのアイドルグループは、歌唱力のあるリード・ボーカルに音楽ほとんどを担当させる傾向が強かったためだ。歌が上手いメンバーがリード・ボーカルをやって、そうでないメンバーがラップとサブ・ボーカルを担当するのが一般的な時代だった。

そのため、神話は既存のグループとは違って、メンバーがそれぞれソロアルバムやユニットで活動し、最終的にグループアルバムを発表するといった方法のマーケティングが可能だった。 サッカーでいうと、「ローテーションシステム」が可能になったわけだ。今のBIGBANGのように。

神話のローテーション戦略は、アルバム活動が終われば活動を中止する当時の業界の慣行をやぶった。他のミュージシャンが活動を休止している間を利用して人気を集め始めたのだった。実際にメンバー全員が2枚以上のソロアルバムを出したキャリアがある。特に、ヘソンとミヌは、それぞれ6枚以上のアルバムをリリースして、継続的に人気を得ていた。

また、アルバム活動をしない期間には、特有のタレント性を発揮してバラエティ番組に出演し、演技にも挑戦して人気を集め続けた。チョンジンは「無限に挑戦」というバラエティ番組の第7のメンバーで、アンディは「私たち結婚しました」で活躍して好評を得た。演技に挑戦したエリックは、2004年のドラマ「火の鳥」で成功裏にデビューし、その後「新入社員Super Rookie」 「スパイミョンウォル」等で主演級役者として定着した。

■解散の危機を克服した発想の転換、そして「ファンダム」
革新的なマーケティングやメンバーの卓越な実力が今日の神話の礎と言うのであれば、神話のメンバーとファンとの堅い信頼は、彼らがロングランできた秘訣である。

2003年所属事務所との契約が満了した当時、神話の一部メンバーとの再契約を提案した事務所と、契約の提案を受け入れないメンバーとの対立で、チームは解散の危機にまで追い込まれた。危機の瞬間、彼らは事務所との契約内容で争うよりは、メンバー6人全員が新しい事務所に移る方法と選択した。

その後、彼らは、2011年神話カンパニーという共同事務所を設立して、神話の活動を続けていくことにする。グット・エンターテインメントとの契約終了後、他の事務所とそれぞれ再契約を結んだ神話のメンバーが、グループ解散を防ぐために、メンバーが出資した別の事務所を設立したのである。こうすることで、彼らは神話を守るというファンとの約束を守った。そして、ファンからの絶対的な信頼というお金では買えない資産を得た。

4年ぶりに復活する神話を見ていると、自然と目が向いてしまうところがある。曖昧に活動を休止して、事実上解散の状態にあるアイドルグループである。彼らは所属事務所がそれぞれ違って、再結成は事実上不可能か、再結成の動きすらないまま、解散の発表もせず、ファンを手放さないでいる。

■ファンの気持ちをもてあそんではいけないという大切な「基本」モデル
以前と同じメンバーでなくても、グループ時代の姿を相変わらず応援するファンは必ずいる。グループのファンにとって、メンバー各自の活動だけを見ながら、グループとして活動を待っているのは過酷なものなのかもしれない。メンバー個人個人ではなく、グループとして好きだったファンにとっては、それ自体が一種の希望拷問なわけだ。

そういう観点からみると、神話の復活は示唆することが多い。ファンとの約束を守りたいという気持ちがきっちり実現されるとき、ミュージシャンとファンとの関係がどれだけ堅いものになれるかをよく示しているためである。飲食業で食材をもっていたずらをしてはいけないのと同じように、音楽界ではファンの気持ちをもてあそんではいけないことを教えているのである。

記者 : パク・ジョンウォン