パク・ヘイル、主演映画「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」が日本で公開決定!印象に残っているセリフは日本語で“納豆が好きです”

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映画「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」が、2019年6月8日(土)よりユーロスペース(東京)ほか、全国順次公開されることが決定した。今作は生と死が共存する古墳の町、慶州を舞台に、ある男女の不思議な出会いを描いた作品。今回主演をつとめたパク・ヘイルとシン・ミナの2人からオフィシャルインタビューが到着! 第一弾として、韓国映画界を代表する演技派俳優パク・ヘイルのインタビューをお届けする。

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【インタビュー】シン・ミナ、主演映画「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」が日本で公開決定!“今回の作品で成熟した姿をお見せしたい”

――映画のタイトルにもなっている慶州という街についての印象は?

パク・ヘイル:クランクインの前、チャン・リュル監督と一緒に慶州へ行って何日か過ごしたんですが、その経験がとても助けになりました。俳優によって作品に臨むスタイルは違うと思いますが、私はどんな作品でもまず、その場所に行くようにしています。慣れない部分を少しでも解消することでリラックスして作品に臨みたいんです。慶州という場所は、韓国では大部分の人が高校時代に修学旅行で訪れる土地でもあるのですが、それ以降何度も行く機会はあまりありません。私も慶州は、修学旅行で単に遊びに行っただけという感じでした。それが今回、仕事のために監督と訪れたことで、散策しながら街を味わう良い機会になりました。お墓が街中にあり、そのお墓の間に人々の家があって、お墓と人々が共存している日常の姿が心に残りました。監督も人々がお墓の下で横になって休んだりする様子が、最初は見慣れなくてとても印象に残ったとおっしゃっていました。

――監督から演技やキャラクターについてアドバイスされたことは?

パク・ヘイル:監督は俳優に多くのことを要求するタイプではありません。現場でも特に演出されないんですが、俳優のキャスティング自体がすでに演出に含まれているのだと思いました。撮影前にユニ役のシン・ミナさんと一緒にお茶を飲んだりしたのですが、監督はそういう場を設けて、2人の俳優がもっている情緒をお互いに感じさせようとしたのかもしれません。

――監督からはお2人の集中力がすごかったとお聞きしています。

パク・ヘイル:監督だけがもつテンポによって集中力が生まれた気がします。多くの俳優が自分なりの演技のテンポをもっているものですが、監督の独特な演出法により、正直で真実味のある姿が引き出されたような気がして、興味深いなと感じました。

――シン・ミナさんとは、映画「10億」以来の共演ですがいかがでしたか?

パク・ヘイル:そうですね、「10億」のときはミナさんが20代、私が30代。そして「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」ではミナさんが30代、私も30代で(笑)最初の共演から時間が経ってまたご一緒してみると、とても深みのある俳優さんになっていましたし、このコン・ユニというキャラクターにぴったりだと感じました。監督が私たちについて「この2人の中には老人がいる」と言ったんです。「熟練している」と。ミナさんも長いキャリアをもっている方なので演技が安定していますし、今回改めて彼女から学んだこともありました。私自身は、自分にはまだ子供っぽいところがあると思っているんですが(笑)。

――チェ・ヒョンもちょっといたずらっ子のような部分がありますよね。

パク・ヘイル:そうなんです。監督にもそういう部分があります。

――謎めいた感覚を受ける作品ですが、演じてみていかがでしたか?

パク・ヘイル:この映画は監督が過去に慶州に来て経験した出来事、その記憶を作品にしたくて作った映画だと聞きました。それで私という俳優が、監督の過去の記憶を代わりになぞってみたらどうかと考え、撮影中は監督に似るようにずっとそばにいました(笑)。映画の最初に出てくる話は、知人の葬式に参加したという監督の実体験をもとにしています。

――監督の作品を通して新たな自分を発見したことはありますか?

パク・ヘイル:チャン・リュル監督と仕事をすることで、自分の繊細な部分に気づいて、より自分という人間の感情を正直に表現できるようになりました。監督は私を含め、俳優に演じるキャラクターの色を多くつけたりはしません。そういう状態でシナリオを書いて撮影することで、俳優の正直な感情が引き出されるのではないでしょうか。簡単ではないですが、素晴らしい演出方法だと思います。その分、監督自身が繊細な方なのだと思いました。

――ご自身が演じられたチェ・ヒョンをはじめ、登場人物の行動に驚いたことは?

パク・ヘイル:ミナさんが演じたユニが、ヒョンのことを「変態みたい」というセリフがあります。ヒョンは大学教授ですがどこか突飛な面がある人間で、それは物語が進んでいくと後になって分かることですが、そういう色んな面がある人物だということがとても面白かったです。そういうキャラクターを私が楽しみながら演じたので面白い場面もできましたし、私がそう感じていることを監督がうまくキャッチしてくださいました。


印象に残っているシーン「日本語のセリフで…」

――「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」のヒョンだけでなく、それ以降の監督の作品でもユニークな人物を演じられていますが、ご自身の中にもそういう面はありますか?

パク・ヘイル:自分で自分のことを言うのは恥ずかしいですが……。私よりも監督のほうが、そういう面があると思います。監督とは会うたびに一緒にいて気楽だなと感じますし、本当に近所の人という感じがするんです。

――納豆のシーンは監督が好物ということでできたそうですね。

パク・ヘイル:私も納豆は好きです。そのシーンで記憶に残っているのは、ミナさんが話す日本語のセリフの部分です。最初シナリオでは私のセリフだったんですが、それではつまらないなと思い、現場で監督に「あまり面白味がないので、チェ・ヒョンらしいセリフとしてどんなものがあるか」と相談してみたんです。そしたら私のセリフをミナさんが日本語で言って、私が「納豆が好きです」と言うのはどうだろう、ということになって「それはいいんじゃないか、チェ・ヒョンならそう言いそうだ」と盛り上がり、あのようなシーンになりました。

――「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」以降も、チャン・リョル監督の3作品に出演されていますが、監督の作品には常に出たいというお気持ちでしょうか?

パク・ヘイル:「次はどんな作品を作るんだろう」といつも気になる監督です。最近何作も立て続けに出演して、自分ができることを全部やり尽くして、もう新鮮味がなくなってしまったのでは、という懸念があるので、次に出るまでには少し時間が必要かもしれません。まだ監督に言ったことはないですが(苦笑)いつも新鮮でいたいです(笑)。

――これまで多くの作品でたくさんの監督と組まれてこられましたが、チャン・リュル監督特有の魅力はなんだと思いますか?

パク・ヘイル:まず表面的にほかの監督と違うのは、話にもキャラクターにも、空間にも異邦人の視線を作品の中に盛り込んでいるところです。そういう部分から始まって、生きることのアイロニーを見せようとしている点にとても魅力を感じます。監督が初期に中国で撮っていた作品は明るい感じはありませんが、韓国で撮るようになってから作風も変わられた気がします。ご本人は歳をとったからとおっしゃっていますが、私はそれもあるけども、空間が変わったことが力になり、より複合的な作品が作れるようになって、さらに良くなったように思います。監督の新しい作品「福岡」の粗編集したものを見たんですが、とても面白いです! 私は出演していませんが、とても素敵な作品になっていると思います。チャン・リュル監督は本当に進化している方だなと思いました。

文:望月美寿

■作品情報
映画「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」
2019年6月8日(土)よりユーロスペース(東京)ほか全国順次公開

脚本・監督:チャン・リュル
出演:パク・ヘイル、シン・ミナ
配給:A PEOPLE CINEMA

■関連サイト
公式HP: http://apeople.world/gyeongju/

記者 : Kstyle編集部