「無垢なる証人」チョン・ウソン“久しぶりの温かいキャラクター、感情表現に自由があった”

OSEN |

写真=ロッテエンターテインメント
俳優チョン・ウソンが心温まる映画で戻ってきた。

映画「無垢なる証人」(監督:イ・ハン)は、有力な殺人容疑者の無罪を証明しなければならない弁護士スンホ(チョン・ウソン)が、事件現場の唯一の目撃者である自閉症の少女ジウ(キム・ヒャンギ)に出会い、繰り広げられる物語を描いた映画だ。

チョン・ウソンは殺人容疑者の弁護士スンホ役を務めて、これまで「ザ・キング」「鋼鉄の雨」などで披露した強烈なカリスマ性を脱ぎ捨てて、人間的で素朴なキャラクターに変身して新しい魅力をアピールする。

チョン・ウソンは最近、ソウル昭格洞(ソギョクドン)のカフェで行われたインタビューで、久しぶりに強いキャラクターではなく、日常的な演技を披露したことに対して「不自然ではなかった。そんな日常の豊かさ、日常の中での感情がずっと自由で豊潤だ。ジャンル物では相手に本音を気づかれまいとする緊張感があるが、日常ではそうする必要はない。もっと豊かな表現や自由があった」と明らかにした。

日常には存在しなそうな現実離れしたイケメンぶりにも、チョン・ウソンはスンホという人物に完璧に入り込んだ。彼は「スンホを準備する時に、いろいろとコンセプトを考えたけれど、スタッフや監督がどうすればチョン・ウソンのように見えないんだろうとさまざまな工夫をした。そんな工夫を止めさせるのが僕の最初の作業だったと思う。衣装チームは『何を着せてもチョン・ウソンだ』と言ったけれど(笑)、なぜそんな工夫をするんだろうと思った。チョン・ウソンがどのようにスンホの感情を表現するかが重要だと思った。スタッフたちにただ僕がスンホだということを証明するのが悩みだった。最初の撮影をして、スタッフたちに余計な心配だったと言われた」とし、スンホというキャラクターを作っていく過程を説明した。

映画「無垢なる証人」はそれこそ優しい映画だ。映画の中でジウがスンホに聞く「あなたは良い人ですか?」という問いは、見る人々に自身を振り返らせる。チョン・ウソンは「人間が愚かなまで優しい必要はない。しかし、関係の中でのマナー、社会と関係の中での自身の居場所、職群の中での意識みたいなものがあると思う。ある瞬間から『優しかったら損する。魅力がない』という雰囲気が形成されたが、怖い話だ。作品の中でも突然悪いキャラクターの魅力が際立つ時がある。実は優しくなるのは難しい。つまらなくて、寂しいかもしれない。それを黙々としっかりと守っていくことができれば、その仄かな光は美しく穏やかものになると思う」と伝えた。

映画の中でスンホは、自身が正しいと信じている信念のために多くのものを諦めなければならなかった。俳優チョン・ウソンもスンホのように諦められるかという質問に、彼は「スンホの職業と俳優という職業には差別点があると思う。しかし、大きな決定である必要はないと思う。僕に商業映画のシナリオがたくさん入ってくるけれど、全部自分がやらなければならないと掴むのではなく、他の俳優たちがやってもいいんじゃないかと手放すのも、その選択の中に入ると思う。低予算の映画でも、自分より経験がない新しい映画人たちが新しい試みをした時、自分の経験を分かち合う試みが、全般の雰囲気に影響を及ぼすを思う。大きな選択だけがすべてを変えるとは思っていない」と率直に話した。

また、彼は「例えば『ビート』は僕にたくさんのものをくれたけれど、映画が持つ影響力、1人の俳優が社会に及ぼす影響を大きく意識した映画だった。映画を軽くやってはいけないと思った。暴力の美化、そういうことを自ら避けるようになった。目立たないけど、自身の小さな決定に対する基準が所信になるものであって、そういうものが積み重なっていったら、自分や彼が所属している集団の雰囲気にも小さい影響力として出てくるんじゃないかと思う」と自身の考えを語った。

しかし、彼は過度な責任感については警戒した。彼は「責任感の重さに押しつぶされてはならない。適正な距離をおいて見なければならないと思う。自身に与えられた責任感、25年以上の経歴者として、映画人としての意識に距離をおいて、客観的に見た時、責任感と重さに押しつぶされることなく、客観的に自分のものとして引っ張っていく能力が出てくるんじゃないかと思う」と打ち明けた。

記者 : チ・ミンギョン