「SKYキャッスル」キム・ソヒョン“演技に対する不安ともどかしさに現場で泣いた事も”

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写真=flyupエンターテインメント
最近、大好評のうちに韓国で放送終了したJTBC金土ドラマ「SKYキャッスル」。途中、サッカー中継により一度放送休止になったことがあるが、そのニュースを大韓サッカー協会が伝えると、あるネットユーザーは「手に負えますか(ドラマの台詞のパロディー)」と書き込みを掲載した。これに対しサッカー協会は「全面的に信じてくださらなければなりません(ドラマの台詞のパロディー)」と答えた。このような協会担当者の機転のきいた対応のおかげで、放送休止を残念がる視聴者たちの雰囲気が和らいだ。この台詞はいずれも「SKYキャッスル」でキム・ジュヨン役を演じたキム・ソヒョンの台詞だ。

ドラマの熱い人気に支えられ、さまざまな流行語と“キム・ジュヨン先生”という愛称を得たキム・ソヒョンと最近、ソウル論硯洞(ノンヒョンドン)のある喫茶店で対談した。彼女は「それなりにうまくいくかなと思っていましたが、これほど人気を得るとは思わなかったです」と微笑んだ。

昨年11月23日に初放送された「SKYキャッスル」は、上位0.1%が暮らすSKYキャッスルを背景に、名門家出身の奥様たちの欲望を描いた。第1話は1%台(ニールセン・コリア全国基準)の視聴率で始まったが、第19話の放送は23.2%まで高騰し、非地上波ドラマの中で最高の視聴率を記録した。

「視聴率が良く、プレッシャーが大きくなりました(笑)。演技に力も入り、多分すべての俳優たちがそうでした。人気が出るほど、より穏やかになろうと努力しました」

キム・ソヒョンが演じたキム・ジュヨンは、ごく少数の人々だけが知っている入試コーディネーターで、ソウル大学入試成功率100%を誇る。ミステリアスな人物で、ドラマに緊張感を吹き込む役だ。

「第2話を見て刺激を受けました。映像美に惚れて『私もこんなによく映るの?』と思いました。監督との初めての作品でしたが、映画を見る気分で楽しみです」

キム・ジュヨンを作るために頭から足の先まで気合を入れた彼女は「キム・ジュヨンとして暮らしている間、敏感になり周りに気を使えませんでした」と話した。「演技をしながら難しく、寂しかったです」と打ち明けた。これまで経験したことのない役であるうえに、過去と現在、ケイ(チョ・ミニョ)との関係など全ての支点を念頭に置いて演技しなければならなかったからだ。

「第10話と第11話を撮影していた時、日程上第14話のワンシーンを先に撮らなければならなかったんです。キム・ジュヨンのペントハウスで撮影しましたが、ハン・ソジン(ヨム・ジョンア)と話をする重要な場面でした。感情のつながりなしに撮ったので『どう映るんだろう?』と心配しました。放送を見たら、キム・ソヒョンはいなくてキム・ジュヨンだけがいました。そのシーンを見て少し驚きました。自分を失ったんだなと、自分自身でも怖かったです。だから家でも苦しかったんだなと思いました」

「実は私の分量は多くありませんでした。毎回、最初のシーンと最後のシーンを主に担当しますが、皆大騷ぎが起こったあと私を訪ねて来るじゃないですか(笑)。彼らの間にあったことを私は台本と以降の放送を通じて見るんです。その前にヨム・ジョンア(ハン・ソジン役)さん、イ・テラン(イ・スイム役)さんがどんな演技をしたか分からないまま出会うんですよ。もどかしいです。その息苦しくて寂しい状態、それがキム・ジュヨンです」

彼女は自ら「過大評価された」と言ったが、視聴者はキム・ジュヨンに熱狂した。髪の毛一本の誤差も許さないヘアスタイルに、相手を凍らせる険しい表情まで、キム・ソヒョンはキム・ジュヨンのオーダーメイド服を着ていたようだった。

「『これが正しいのかな?』と思って監督に尋ねると『ソヒョンさんが考えて感じるのが正しいと思います』と言われました。そんな曖昧な返事がどこにありますか。監督と作家に『私を過大評価してます』と言った位です。私よりずっと上にいる女性であるキム・ジュヨンがよくわからなかったんです。耐えながらも噴き出し、そのような掌握力は私キム・ソヒョンでも追いつくのが大変でした」

キム・ジュヨンが本格的に登場する前、キム・ソヒョンの不安は最高潮だった。そんな彼女にチョ・ヒョンタク監督は「200%頑張っている」と励ましたという。ドラマ序盤には自分の姿がどう映っているか気になり、ヘナ(キム・ボラ)がイェソ(キム・ヘユン)の家に入ってからは何もできない状態になった。

「つらいのではなく、どうすればいいか分からなかったんです。すべてが終わったようでした。その後はまた踏襲なんです。キム・ジュヨンがハン・ソジンに会い、チョ先生(イ・ヒョンジン)と行ったり来たりして……前と似た状況なのに、緊張と呼吸を維持するのが簡単ではなかったです。繰り返しなので、面白みも見つかりません。しかし、カメラが回ると、また演技をしているんです。一度はもどかしさに撮影現場で泣いたりもしました。監督をはじめ、多くのスタッフが私を待ってくれました」

実際、ユ・ヒョンミ作家もヘナがイェソの家に入ってから執筆が難しかったという。キム・ソヒョンは「打ち上げの時、作家に『本当に辛かった』と言ったら『自分もそうだったけど、キム・ソヒョンさんはもっと大変だったでしょう。でも信じてました』って言うんです。だからまた『過大評価だ』と言いました(笑)」

声を出して豪快に笑うキム・ソヒョンが、感情を表に出さないキム・ジュヨンになるまでは外見的な努力も必要だった。現在のキム・ジュヨンは、数多くの悩みと相談の末に誕生した。

「撮影前にスタイリストと会議した時、私はとても華やかな姿を考えていました。でもスタイリストは、今のキム・ジュヨンのスタイルを勧めてきました。何よりキャッスルに住む女性と確実に対比になったらいいと言っていました。服を選ぶ時、5時間ずつ着てみて、生地まで考えて決めるんです。ただ黒い色を選ぶのではなく、感情と状況、すべての状態を考慮して細かく決めました」

キム・ソヒョンはドラマ「妻の誘惑」でのシン・エリに続き、もう一度視聴者に強烈な印象を残した。都会的な雰囲気を漂わせ、悪役またはカリスマ性溢れる役柄がたくさん入ってくる。「そのお陰で今の時間もありますが、あえて押し出す必要はないです」と語りながらも「キム・ソヒョンが見せられるものが多い」と力強く話した。

「キャラクター運はあると思います。あと私が賢くよくできたのもあります(笑)。私も先輩と後輩の間で生きなければならないでしょう」

1994年、KBSの公開採用16期タレントでデビューし女優としてデビューしてから25年が経ったが、演技は依然として難しい課題だ。

「演技はすればするほど難しいです。恐ろしさまではいかないですが、うまくやらないとという責任感があります。それでも熱心にやれば、多くの人々に認めてもらえ力になります。それでも新しい作品を始める時は必ず怖くなります。踏襲するのが嫌いで前作と似たようにならないよう努力しています。キム・ジュヨンが笑う時、キム・ソヒョンのようにしてはいけないからです。普段は最大限自然にいようとしています。エネルギーを0に合わせてキャラクターを作り、演技をする時は80から100まであげています。周囲の期待によるエネルギー消費が大きいんです」

挑戦が好きだというキム・ソヒョン。「妻の誘惑」で注目されて以来、約1年ぶりに選んだドラマは「ジャイアント」だった。役へのプレッシャーで不安だったが、シン・エリを乗り越えるために正面から挑戦を選んだ。

「私は挑戦が好きです。提案に他のものを取り出せる役割をします。大変でも良くやったという話を聞くと私は運があると思います。自分でも『自分の中にまた何があるかな』と気になりますが、周囲の人が早く見つけてくれてありがたいです(笑)」

記者 : キム・ハジン、翻訳 : 浅野わかな