「人狼」ハン・ヒョジュ“一目惚れをしたことはない…徐々に染まっていくタイプだ”

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写真=ワーナー・ブラザーズ・コリア

2004年シチュエーションコメディ「ノンストップ5」でデビューしたハン・ヒョジュは、女優14年目だ。主演経験も多く、ヒット作もいくつもある。そんな彼女が映画「人狼 JIN-ROH」を撮り、「難しい演技だった」と吐露した。「人狼」で彼女が演じた“イ・ユンヒ”は複雑で微妙な状況に置かれ、葛藤する人物だ。韓国のSFを掲げるブロックバスター級の映画の中で、メロ演技をしなければならなかった。キム・ジウン監督はハン・ヒョジュの新しい顔を望んだ。ハン・ヒョジュ自身も、今まで囲っていた“枠組み”を破りたかった。「人狼」はさまざまな面で新しい挑戦だった。結果的に「私を一皮剥かせた」と満足感を表したハン・ヒョジュに、三清洞(サムチョンドン)のカフェで話を聞いた。

――公開初日「ミッション:インポシブル/フォールアウト」に続き、ボックスオフィス2位を獲得しましたが、予想していましたか?

ハン・ヒョジュ:韓国映画ではボックスオフィス1位です(笑)。夏の市場では簡単ではない対決です。観客の皆さんが力をくれないといけないんです。長い間、多くの方々が苦労して作った作品です。私もまた、新しい覚悟を持って熱心に撮影に臨みました。たくさん応援して下さると嬉しいです。

――評論家や観客の反応を見ると、好き嫌いが分かれます。映画に対する評価は調べましたか?

ハン・ヒョジュ:「新しい」という反応が多かったです。アクションが観る価値があるという評価もありました。肯定的な評価はありがたく思います。

――試写会の時“イ・ユンヒ”役に対する困難があったと吐露しました。結果を見た時、どうでしたか?

ハン・ヒョジュ:撮影に入る前、女優として違う姿をお見せするべきだと覚悟しました。新しい一面をお見せすることができるという期待もありました。でも、持っている枠組みを破ることは容易ではありませんでした。絶えず挑戦をしなければいけませんでした。難しい挑戦でしたが、結果的には初めに覚悟したとおり、新しい顔をお見せできて満足です。

――破ろうとした“枠組み”は、具体的に何ですか?

ハン・ヒョジュ:「必ずこのようにしなければならない」という、計算された演技をしたくありませんでした。現場で感じるまま、動物的な感覚でやりたかったんです。私を柔軟にさせなくては、という考えがまずありました。監督が染めようとするカラーがよく馴染むように、私の土台自体を白くさせることが重要だと思いました。絶えず努力して、監督を信じて私を委ねました。

――キム・ジウン監督の“イ・ユンヒ”役に対するカラーは明確でしたか?

ハン・ヒョジュ:“女優ハン・ヒョジュ”の新しい顔を取り出したいという欲を持っていました。撮影前からそれを感じました。私をずっと刺激してきました。監督は“セクシー”なイ・ユンヒを求めました。“セクシー”というのは多様に考えることができる部分です。「すべてのキャラクターがセクシーだったらいいのに」という感じです。そのようなところが足りなかったというのも事実です。いつも悩んで考えました。

写真=ワーナー・ブラザーズ・コリア
――イム・ジュンギョン(カン・ドンウォン)のそばで横になっているシーンと、一緒に逃げようと言ったシーンで、“イ・ユンヒ”が置かれた状況が明確に表れます。撮影時はどうでしたか?

ハン・ヒョジュ:一般的に体験することができる状況ではないので、没頭するのに大変でした。撮影前日、眠れないほどプレッシャーがありました。2日間にかけて撮影したのですが、最初の日より2日目がもっと入り込みました。シーンを撮り、イ・ユンヒにより一層同情を感じ、さらに近く感じられました。もっと深く理解することができました。何よりとても寒くて大変だったんです(笑)。でも、没頭してからは寒さも忘れて撮影しました。

――原作を見ましたか? 演じるのに参考にしましたか?

ハン・ヒョジュ:原作の情緒があまりにも良いですね。セリフを直接使ってはいませんが、雰囲気を参考にしました。感情の演技をする時に詰まったら、原作を見て「このように表現したんだな」って再確認しました。

――劇中のイ・ユンヒが見るイム・ジュンギョンはどんな人ですか? どんな部分に魅かれましたか?

ハン・ヒョジュ:イム・ジュンギョンは群れの中にいるけど、孤独な人です。ユンヒはそのような部分が自分と似ていると思ったと思います。

――イ・ユンヒはイム・ジュンギョンに一目惚れします。実際にはどうですか? 異性に一目惚れしたことがありますか?

ハン・ヒョジュ:一目惚れをしたことはないですね。徐々に染まっていく方です。私はそうではないけど、(他の人たちは)十分可能だと思います。一目惚れしてみたいな(笑)。

――作品を選ぶ基準は何ですか?

ハン・ヒョジュ:役より映画全体を見ます。観客に面白さを与えるのか、感動を与えるのか、メッセージを伝えるのかなど、どれか1つ良い点があれば選択します。特に第一印象が重要です。初めて見た時、この映画が観客にどのように見えるかを考えます。

――「人狼」の第一印象はどうでしたか?

ハン・ヒョジュ:どのように作られていくか、とだけ考えました。

――引き受けた役が難しいと思ったにもかかわらず「人狼」を選択した理由は何ですか?

ハン・ヒョジュ:キム・ジウン監督とやってみたかったんです。躊躇なしに選択しました。シナリオを見て、どのように作り出すのか過程が気になりました。機会が与えられたという事実がとても嬉しかったです。結果や評価に関係なく、過程を一緒にすることが良かったです。撮影現場でワクワクする時が多かったです。「久しぶりに映画を撮っているんだ」というときめきと、過程を見守る楽しみがありました。後悔もなく、満足です。

写真=ワーナー・ブラザーズ・コリア
――公開前、カン・ドンウォンさんと熱愛説がありましたね?

ハン・ヒョジュ:お互いに美味しい店を共有する、とても親しい間柄です。その時も海外スケジュールがあって、おいしい食べ物を一緒に食べただけなのに、熱愛説が出たんです。

――熱愛説のように、意外な状況で発生する問題のせいで、とても疲れる時がありますよね? 女優として、そのような部分をどのように受け入れていますか?

ハン・ヒョジュ:女優なので耐えなければならず、ついてくる部分でもあります。“有名税”だと考えます。有名になるまで多くの方々の愛情をもらいました。持っているものより多い愛情を頂いたので、感謝する時が多かったです。(有名税も)耐えなければならない部分です。でも、時々耐え難い時があります。そんな時はその時その時、方法を探そうとします。友達や周りの人に集中します。

――チョン・ウソンとは「監視者たち」、カン・ドンウォンとは「ゴールデンスランバー」、キム・ムヨルとはドラマ「イルジメ」以後、再び会いました。3人の俳優に対して語るとしたら?

ハン・ヒョジュ:まず顔が整っています。性格も立派で(笑)。カン・ドンウォン先輩とは多くの場面を一緒にしたので、たくさん頼りました。チョン・ウソン先輩は作品でもプライベートでも、いつ会ってもうれしい人です。キム・ムヨルオッパ(兄さん)は久しぶりに共演したのですが、やはり演技が上手で、以前より良い方向に変わっているのを見て良かったです。この中でチョン・ウソン先輩が一番よく話すんです(笑)。いつも親切に教えてくれて、安らかな雰囲気を作ってくれます。現場でも常に元気で、皆が頑張れるんです。

――観客の立場で、どんなジャンルの映画が好きですか? カン・ドンウォンさんはホラーが好きだと言ってました。

ハン・ヒョジュ:ホラーは見れません。残像が長く残って大変です。メロやヒューマニズムのある作品が好きです。最近では「アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング」という作品を楽しく見ました。自尊心を高める愉快な映画です。自尊心が落ちた方々に推薦します。

――映画「ビューティー・インサイド」が続編を考えていると言われています。ドラマ制作も確定しました。続編に出演する気持ちはありますか?

ハン・ヒョジュ:続編の制作に対する話は初めて聞きました。連絡はなかったです。主人公が変わるようです。気に入らなかったのかな?(笑)私からお願いしなければならない状況ですね。「どうして私は呼んでくれないのですか? おもしろいと思うのに」って。

――「初恋」を思い出す清純なイメージとして人々の心に刻み込まれています。そこから脱したいと思いますか?

ハン・ヒョジュ:そんなイメージがあるとは知らなかった!(笑)いいイメージで見ていただいて感謝します。初恋って大切じゃないですか。絶対忘れられないし。

――今この瞬間、女優としてどんな考えをしているのか気になります。

ハン・ヒョジュ:幼かった時、人に良い影響を及ぼして、善良な気運を与える人であるのが俳優(女優)だと思っていました。今は、どうしたら望むようにできるかを悩みます。他人に元気を与えようと努力するより、自ら変わらなくてはならないという気がします。変わっていく過程にあります。自分自身がしっかりして準備ができた時、多くの方々に良い影響を与えることができると思います。誰かにとって良い人、良い女優でありたいです。欲かもしれませんが。

――「人狼」を通じて得たものがあるとしたら?

ハン・ヒョジュ:私を一皮剥かせました。良い挑戦をしたと思います。次の作品で一層成熟した姿をお見せすることができるきっかけになったと思います。演技のターニングポイントになった作品です。

――自身にとってのソファッケン(小確幸:小さくて些細なことでも確かな幸せを感じること)とは?

ハン・ヒョジュ:夏だから平壌(ピョンヤン)冷麺ですね。平壌冷麺を食べることを考えるだけでワクワクします。

記者 : ノ・キュミン、翻訳 : 藤本くみ子