「ミスティ」キム・ナムジュ&チ・ジニ対談インタビュー“日本のドラマも映画も面白い…これから見てみたい作品もたくさんあります”

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写真提供:The Queen AMC

上半期、韓国でもっとも面白いと評される大人の極上ミステリー「ミスティ」が、CS放送局・衛星劇場にて、5月31日(木)より日本初放送スタート!

物語は、ナンバーワン・アナウンサーの主人公ヘランが、殺人事件の重要参考人となってしまったことから始まり、事件の真実が次々と明かされていくミステリードラマ。「逆転の女王」「棚ぼたのあなた」など、数々のドラマをヒットさせた女優キム・ナムジュと、ベテラン俳優のチ・ジニが緊迫感のある展開で韓国の視聴者を虜にした本作。

今回、日本初放送を記念して、キム・ナムジュとチ・ジニの対談インタビューが到着。韓国の視聴者を熱狂させた演技、撮影の裏側やよく来るという日本についても語ってくれた。

――「ミスティ」クランクアップ後、どのように過ごされてらっしゃいますか?

チ・ジニ:このドラマが好評だったので仕事の幅が広がり、バラエティー番組に出る機会にも恵まれました。バラエティはイメージに合わないので、できるならやりたくなかったんですが。(キム・ナムジュ:そんなことないのに!)いろんないきさつがあり、出ることになりました。今回は幸いなことに、僕が好きなタイプの探検ものの番組だったので、挑戦してみました。暇を見つけてはゴルフをしているので、腕が上達してどんどんハンデが低くなっていってます。

キム・ナムジュ:最近では1日の半分をコ・ヘランとして、その他をキム・ナムジュとして生活しています。

――先日の「百想芸術大賞』にて最優秀演技賞受賞、おめでとうございます。日本のファンの皆さんも喜ばれていると思うのですが、受賞されたお気持ちはいかがですか?

チ・ジニ:おめでとうございます。

キム・ナムジュ:今回は、チームを代表して私が受賞したものだと思っています。こうして賞を頂けたことを光栄に思っております。

――「ミスティ」はどんなドラマでしょうか?

キム・ナムジュ:韓国で信頼度ナンバーワンのニュースキャスターが突然、殺人事件の容疑者となってしまうのですが、彼女の弁護を担当する夫との忘れられた愛、その愛の真実を描いたミステリーロマンスです。このドラマの見どころは、2人が信じていた愛、愛の真実を描いた、ミステリー要素を含んだロマンスドラマ、という点です。そのポイントが分かってないと、結末が非常に残念なものに思えてしまうかもしれませんが、私たちとしてはこのテーマにぴったりの最高の結末だったと思っています。

――ナムジュさんは6年ぶりの復帰作となる今作で、コ・ヘランという役柄で完璧な変貌を遂げたと話題になりましたが、役作りのために準備された点はありますか?

キム・ナムジュ:今まで演じたことがない役柄だったので、イメージチェンジに苦労しました。最初から最後まで全てを作り上げるような気持ちで臨みましたが、本当につらかったです。具体的にいうと、私の今までのイメージは明るい主婦でしたが、この役柄は勝ち気で冷たいイメージだったので、頭のてっぺんから爪先まで総入れ替えする気持ちで役作りをしました。

――チ・ジニさんは、コ・ヘランという1人の女性を見つめながらも、気持ちとは異なる行動を取る、複雑な心境を抱えるカン・テウクを演じました。役のために特別に準備された点はありますか?

チ・ジニ:彼の行動はヘランを愛しているがゆえのものだと思いました。彼がそれまで生きてきた環境や経験によって培われた彼なりの愛し方なんです。他の人から見ると到底理解できないものだと思います。でもカン・テウクはそれが正しい愛し方だと信じている。それが正しいかどうかについては、ご覧になる皆さんが判断することですが、彼は正しいとひたすら信じていたんです。

――キム・ナムジュさんは韓国最高のニュースキャスター役、ジニさんは検事出身の弁護士役と、専門的な職業を持つ役柄を演じる上で、努力されたことはありますか?

キム・ナムジュ:JTBCの8時のニュースを担当しているアン・ナギョンさんにお会いして、アドバイスを頂きました。あと、韓国の有名キャスターに関する資料を見て役作りをしました。

チ・ジニ:僕は以前、映画「パラレルライフ」で判事役を演じたことがあります。その時に役作りのために、最年少の判事と会ったことがあり、それがきっかけで時々、連絡を取り合う仲になりました。判事や検事などの人間模様や法廷の様子についていろいろ聞いていたので、今回の役作りに生かしましたが、今作では法廷シーンはそれほど多くなかったんです。ヘランへの愛を描いたシーンが多かったため、その辺のディテールを細かく演じたいと思いました。普通じゃありえない、と感じるシーンも多かったと思いますが、単にありえない話として演じるのではなく、見る人を説得するようなつもりで悩みながら演じました。


2人がすべてを犠牲にしてでも守りたいものは…?

写真提供:The Queen AMC
――「ミスティ」は夫婦間の葛藤や、不倫、殺人事件等、暗いテーマを扱った作品ですが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

チ・ジニ:現場の雰囲気は、明るいコメディの現場じゃないかと思えるくらい明るくて楽しい現場でした。ナムジュさんを始めとして、皆さんベテランばかりだったので、ふだんはふざけ合っていても、本番に入ると雰囲気がガラッと変わりました。ですので、ケビン・リー役のコ・ジュンさんや新人俳優たちは、面食らっていましたが、僕はすごく楽しかったです。

キム・ナムジュ:チ・ジニさんは、キューで撮影に入った時とカットの声がかかった時に別人のようになって現場を楽しく盛り上げてくれました。時々、ダンスを踊ってくれたり……。(チ・ジニ:そうだっけ?)ステップを踏んでくれました。現場は雰囲気がよかったので、楽しく撮影できました。

――ある番組で、ハ・ミョンウ役のイム・テギョンさんが、「チ・ジニさんはすごく“お話好き”だ」とおっしゃってましたが……。

チ・ジニ:あいつめ!(笑)

キム・ナムジュ:チ・ジニさんは知識が豊富な方なんですよ。だから話題も豊富なんです。私が思うに、イム・テギョンさんはドラマが初めてだったので、緊張をほぐすためにジニさんが気を使ってたくさん話しかけてたようです。先輩として兄貴分としての気遣いだと思います。現場の盛り上げ役だったので、そう感じたのでしょう。

チ・ジニ:さすが、キム・ナムジュさん!よく分かってらっしゃる。彼はドラマが初めてで、すごく苦労していたので、緊張をほぐしてあげるために、たくさん話しかけることにしたんです。僕にはお礼を言ってたのに、番組でそんなことを言ってたとは、あいつめ!許さない!!(笑)。最近も連絡を取り合うのですが、今はイギリスにいるとか。帰国したら会う約束をしましたよ。

――「ミスティ」では、仮面夫婦となってしまうも、実は愛し合っているという事実を伝えられない2人の姿を見て、もどかしく感じる視聴者も多かったと思うのですが、お2人は結婚生活に一番重要なものは何だと思われますか?

チ・ジニ:僕は会話が一番大切だと思います。今は。以前は信頼、望み、愛、かなと思っていましたが、最近では会話が一番大切だと思います。単純なおしゃべりではなく、深い会話です。夫婦と言っても、深い会話をしたことがあるかと思い返してみると、あまりないんですよね。だから、深い会話をすることで夫婦仲がよくなった気がしましたし、思っていた以上のことを知ることができました。会話の効果は絶大でした。

キム・ナムジュ:私もジニさんと似ていますが、意思の疎通が大事だと思います。夫婦だけではなく、親子や兄弟同士もそうですし、俳優も視聴者の方と意思の疎通をする必要がありますし、意思の疎通が人間関係の要だと思っています。夫婦と言っても口に出さないと分からない面はありますし、愛し合っている関係でも気持ちを伝え合わないと、関係は行き詰まってしまうと思います。人間関係において一番大切なものは意思の疎通です。

――コ・ヘランは“ニュースキャスターの座”、カン・テウクは“コ・ヘラン”を守ろうとする姿に、胸を熱くする視聴者の皆さんも多かったと思うのですが、お2人が、すべてを犠牲にしてでも守りたいものはありますか?

キム・ナムジュ:すべてを犠牲にしてでも守りたいもの……ありますか?

チ・ジニ:家族です。何と言っても家族です。

キム・ナムジュ:ジニさんが「家族です」と言ったのを聞いて、ドキッとしました。私は「子供たちです」と答えようと思ってたのに。そうなると、夫のキム・スンウさんは守らなくていいということになっちゃう。だから私も「家族」ということにします!ごめんなさいね(笑)。

チ・ジニ:僕もあえて優先順位をつけるなら、順位はありますよね。

キム・ナムジュ:私は子供たちだと思うんですよね。

チ・ジニ:それはそうだと思います。人それぞれですし。僕は1番が妻で2番が子供で3番が両親です。

キム・ナムジュ:そのとおりです。私は夫が2番目ですが、それは私が母親だからでしょうね。ジニさんの奥様も、多分私と同じだと思いますよ。私は1番が子供たちで2番は夫、3番は両親ですね。

チ・ジニ:僕は小さい頃から、両親に「お前の1番守るべき人は妻だ」と教わってきたんです。大人になってから納得しました。母は「私の1番はお父さんでお前は2番目だ」と言われてきて、少し残念に思っていましたが、今では分かります。年を取ってきて母の言うことが理解できるようになりました。だから僕の1番は妻です。テウクとしてなら、コ・ヘランが1番でしたけど。


「女優としての欲をかきたてるような作品でした」

写真提供:The Queen AMC
――記憶に残る、シーンやセリフを一つずつ挙げてください。

キム・ナムジュ:すごく気に入っていて、“こう生きていきたい!”と思ったセリフがあります。「今まで何度もこんな局面にぶち当たった。前進も後退もできない状況」このセリフが一番気に入ってます。「そして私は一度も負けたことはない」も気に入っています。私も負けたくないですから。後輩を地方に追いやって、復帰することになった時のシーンのセリフですが、そこが一番の名シーンだと思っています。

チ・ジニ:このドラマの名シーンはすごく多いです。さっき、ナムジュさんがおっしゃっていたセリフですが、僕もすごく気に入っています。ヘランはすごく強い女性ですが、1人ひそかに泣くシーンがあるんです。ニュースルームに1人でいたり、1人リビングでお酒を飲むシーンや1人で廊下の隅に座ってるシーンもあります。彼女の苦しみや悲しみが伝わってくるようでした。このドラマの名シーンはヘランが1人でいるところです。激情型のドラマなので、感情を爆発させるシーンもありますが、静かで奥行きのあるシーンも多いです。僕がカン・テウクのセリフの中で気に入ってるものはそんなに多くなく、数ヶ所しかありません。「僕は君を愛してる」。このセリフはテウクをよく表しているセリフだと思います。このセリフだけ抜き出すとカッコいいと思うかもしれませんが、テウクの性格をよく表したセリフだと思います。

キム・ナムジュ:ロマンチックなセリフだと思われるかもしれませんね。ドラマをご覧になれば分かりますが、なんて自分勝手なんだ、と感じるかも知れません。

チ・ジニ:そうなんです。だんだん怖く感じてくるはずです。ヘランの噂話をしている男を1発殴って「悪口は僕が受け止める」というセリフも印象深いです。

キム・ナムジュ:「悪口は僕が受け止める。自分の妻は僕が守る。」だったかしら。そのシーンを見た女性たちはシビれると思いますよ。それで外に出て、電話するんです。「記者を探しだせ!」と。

チ・ジニ:悪意のある記事を書いた記者に……。女性が好きそうなシーンです。

キム・ナムジュ:そう、女性が好きそうなシーン。そこでカン・テウク人気がバーッと高まること、間違いなしですね。

――キム・ナムジュさん、チ・ジニさんにとって「ミスティ」はどのような作品になりましたか?

チ・ジニ:僕にとって出演作は全て大切なものです。「ミスティ」に出るまでにもいろいろな作品に出演しました。今まで出演した作品のおかげで「ミスティ」のカン・テウクを演じることができたんだと思います。僕が年を取るにつれて、演じる役も変わってきたのですが、このような役を頂くことになって、「次に同じような役を頂くのはいつだろうか」と考えるほどに、今作は貴重な経験でした。そのぐらい思い入れのある作品のため、逆にこの「ミスティ」という作品について重く考えないようにしています。すごく楽しかったし、作品自体も面白い作品でした。

キム・ナムジュ:女優としての欲をかきたてるような作品だったと言えます。この年になってやっと演じられたメロドラマですね。今までのお母さん役とか主婦役の限界を超えて、女優の可能性を示してくれた作品だと思います。自分の枠を越えた役に挑戦しよう、という勇気をくれた作品でした。

――「ミスティ」をご覧になる日本の皆さんに見どころを教えてください。

キム・ナムジュ:先ほども言いましたが、夫婦の愛の真実を描く、ミステリーラブロマンスです。韓国の視聴者はテウクとヘランの愛の行方を応援しつつも、私たちの制作意図とは違う意見で盛り上がりました。見どころは、ヘランという成功のためなら手段を選ばない女性の愛の形だと思います。どう愛するのか、じゃなくてどう愛し抜くか、ということでしょうか。この競争社会を生き抜く私たちが、愛するとは何かというのを立ち止まって考えてみるきっかけとなる、そんなドラマです。単純な激情型のミステリーメロドラマとしてではなく、ヘランの姿を見て、自分の大切なものや自分の人生などを振り返って考えていただけると、うれしいです。


「日本へ行ってきたばかり…暇を見つけては行っています」

写真提供:The Queen AMC
――日本のドラマや映画はご覧になられたことがありますか?

キム・ナムジュ:やっぱり、私たちの世代では「お元気ですか(日本語)」でしょうか。日本の作品の……。

チ・ジニ:映画「Love Letter」ですよね。

キム・ナムジュ:「ミスティ」の撮影が終わったあとに「ナミヤ雑貨店の奇蹟」という映画を見ました。本も読みましたが、「ミスティ」の撮影中にこの映画が封切られたので、私は見られなかったのですが、家族が見に行ったんです。本を読んでいたのでどうしても見たくて、家でVODで見ました。

チ・ジニ:もちろん、日本の作品も見ますよ。ドラマも映画も面白いし、ジャンルの数も多く、いい作品が多いですから。日本のドラマや映画はバラエティに富んでいるので羨ましいです。これから見てみたい作品もたくさんあります。僕が本当に好きな映画は……対極にある作品ですが、「シコふんじゃった。」が最高に面白かったです。あともう1つは「楢山節考」です。昔の作品ですが、この映画を見て涙が止まりませんでした。韓国では1週間くらいしか公開されなく、多分単館上映だったと思います。6~7回くらい繰り返し見ました。毎日のように、朝見て泣いて……そんな記憶があります。これまで見た中で一番好きなのはその2つです。

――チ・ジニさんは日韓共同制作ドラマや日本のドラマのリメイク作に出演されるなど、日本と縁が深く感じられるのですが、日本にはよく行かれますか?

チ・ジニ:はい。この間も、日本へ行ってきたばかりです。2~3週間後くらいにまた行くかもしれません。唐突に、「うどんでも食べに行こう」と家族を誘って1泊2日で行ってくることもあります。近いですし、ビザも要りませんし。暇を見つけては行っていますね。東京ならすぐに行けるし、ショッピングもできて、おいしい物も食べられる。福岡にもよく行きましたね。

――記事で読んだのですが、「ミスティ」の撮影中、ナムジュさんの旦那様のキム・スンウさんがお子さんたちを連れて、日本旅行に行かれたそうですが……。

チ・ジニ:そうです。僕も聞きました。

キム・ナムジュ:そうそう、USJに行ってきたらしいです。実はスンウさんは日本が大好きなんですよ。ですので、インターネットで情報を集めて、夫婦で鹿児島に温泉旅行をしに行ったこともあるんです。昔からおいしいと聞いていた店をネットで調べて訪ねたのですが、食べすぎて太ってしまって(笑)。妊娠した時に、戻すのが大変でした。東京にも行ったことがあるし、新婚当時は1泊2日で旅行したこともあります。ジニさんの言うとおり、近いですしね。

――最後に「ミスティ」を楽しみにしている日本の皆さんへメッセージをお願いします。

チ・ジニ:ついに5月31日から衛星劇場で「ミスティ」が放送されます。韓国のドラマが日本で放送されるということは、「すごく面白い」ということだと思うので、ぜひ楽しみにしてください。果たして犯人が誰なのか、想像するのも面白いと思います。なぜ犯人は人を殺してしまったのかについて考えてみるのも面白いでしょう。罪を犯すしかない状況に置かれたら、自分ならどうするだろうか……と想像するのもお勧めです。そして、ご自分の愛は本当に愛と言えるのかについて考えるのもいいかと思います。5月31日衛星劇場での放送をぜひ、お楽しみに!ありがとうございます。

キム・ナムジュ:久しぶりにドラマに出演することになりました。韓国で人気が出たように、日本でもたくさんの方々に見て頂けたらうれしいです。ドラマをご覧になると、犯人が気になりますが、知りたい気持ちをぐっとこらえてくださいね。私たち出演者やスタッフ、関係者もネタバレだけは絶対するな、家族や親戚にも秘密にするよう言われていたんです。なぜなら、犯人を知らないほうが最後まで楽しく観られますからね。5月31日から日本で放送されると聞いて、本当にうれしいです。皆さんがこのドラマを気に入ってくださるとすごくうれしいです。

「ミスティ(原題)」
CS放送局・衛星劇場にて、5月31日(木)放送スタート!
毎週(木)午後11:00~深夜1:30 ※2話連続放送

2018年/韓国JTBC/全16話
演出:モ・ワニル
脚本:ジェイン
出演:キム・ナムジュ、チ・ジニ、チョン・ヘジン、イム・テギョン、コ・ジュン

【ストーリー】
7年もの間、夜9時のニュース番組の司会の座を死守しているナンバーワン・キャスターのヘラン。持って生まれた美貌と輝くような知性を兼ね備え、成功してやるという執念だけで疾走してきたヘランだったが、ある日殺人事件の有力容疑者として警察に召還されてしまう。そして、ヘランの夫が彼女の弁護人となるのだが……。

衛星劇場HP: http://www.eigeki.com/topics?action=detail&topic_id=2290

記者 : Kstyle編集部