映画「残酷な怪物たち」イ・ウォングン“校内暴力シーンに苦労…毎日悪夢を見た”

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写真=リトル・ビッグ・ピクチャーズ
「今まで作品をしながら辛いことはあまりなかったけれど、映画『残酷な怪物たち』は本当に大変でした。毎日が苦痛で、悪夢もずっと見続けました。たくさんの大人がこの映画を見て、校内暴力に合う子供たちに対する責任感を感じてもらいたいです」

最近韓国で公開された、キム・ベクジュン監督の映画「残酷な怪物たち」で校内暴力の被害者ジェヨン役を演じたイ・ウォングンの言葉だ。

ジェヨンは学校で、一陣(イルチン:校内暴力サークル)たちにいじめられる人物だ。彼らが命令すれば、1分以内にパンを買って来なければならず、理由なく殴られることも日常茶飯事だ。タバコの火を体になすりつけられたり、全身を落書きで埋め尽くされる。苦痛で寂しいが、頼る場所はなく、大人たちはただ我慢しなさいとだけ言う。そんな中、段々怪物になっていくジェヨンの姿を描いた映画だ。

「校内暴力が段々ひどくなっていくのは大人たちのせいだと思っています。私たちが先に手を差し伸べて近づき、力になってあげるべきなのに大人は皆、傍観しています。子供たちに何が間違ったことなのかを教えずに、無条件で叱ったり、ただ眺めているだけです」

イ・ウォングンはジェヨン役をよりリアルに表現するために、体重を4kgも落としたという。大したことないと思うかもしれないが、187㎝の身長に63㎏は深刻な低体重だ。彼は「あばら骨が見える位痩せて、ジェヨンのひ弱さを上手く表現したかったです」と話した。

「加害者役のイ・イギョンよりも背が高いので、自分が被害者の学生に見えないかもしれないと思いました。だから体重を落とすことを決めました。元々低体重だったのに、そこからさらに痩せるのは大変でしたが、他の人々が10㎏を減量する位に努力しました」

映画で殴られ、いじめられたイ・ウォングンは「タバコの火を体になすりつけるシーンが一番大変でした」と話した。彼は「撮影の時に自分がどうやったのか覚えていません」と話し「気持ちが苦しくて、撮影が終わったら疲れ果てて寝てしまいました」と記憶をたどった。

「残酷な怪物たち」が“15歳以上観覧可”ではなく“青少年観覧不可”という等級を得たことには、残念さを表した。そして「この映画を見た大人たちが、不良学生たちや事件に触れた時に、一度でも手を差し伸べたり、話しかける勇気を持ってもらえたらいいなと思っています」と話した。

イ・ウォングンは、映画「残酷な怪物たち」をはじめに「季節の変わり目」「女教師」などで校内暴力被害者、同性愛者、先生と恋に落ちた学生など、表現しにくいキャラクターや疎外された人物たちを演じてきた。彼は「多様な人の人生やそこから生まれる感情に自然に惹かれるようです」と話した。

一方でイ・ウォングンは、TVでは違う色のキャラクターを披露してきた。ドラマ「ジャグラス」をはじめに「推理の女王」「グッドワイフ~彼女の決断~」「不躾にゴーゴー」などを通しては、大衆的なキャラクターを演じたのに比べ、スクリーンでは大衆の中で少数者の立場にいる人々のストーリーを扱った、小さな多様性映画に多く出演してきている。

「戦略的ではありません。商業性のある映画でも多様性映画でも何でもやってみたいです。様々なキャラクターを演じて、何でもよく似合う無彩色のような俳優になりたいです」

記者 : パク・スルギ、翻訳 : 浅野わかな