「それだけが、僕の世界」パク・ジョンミン“イ・ビョンホン先輩がもっと好きになりました”

10asia |

写真=10asia

よくても嫌でも答えは「はい~」。幾つかある他の台詞もあまり長くはない。2時間の間、一つのキャラクターを表現するのには多少辛い条件だ。俳優パク・ジョンミンは映画「それだけが、僕の世界」でサヴァン症候群のジンテ役を演じ、悩みまた悩んだ。専門書籍を読み、サヴァン症候群の正確な名称を把握し、関連するボランティア活動に参加しながら、心構えを変えた。短い台詞一言にも悩みを込めた。

そのように誕生したジンテは、オーバーでも不足でもない。ストーリーにただ溶け込み、観客たちを笑わせ、そして泣かせた。「やはりパク・ジョンミン」という反応には手を横に振った。華やかな修飾語が羅列されると、「事務所が手を使ったようだ」と冗談を飛ばした。安住しないのでより期待できるパク・ジョンミンに出会った。

――サヴァン症候群のジンテ役を演じましたが、難しい役だったと思います。どんな気持ちで配役にアプローチしましたか?

パク・ジョンミン:正確な名称は自閉症スペクトラム障害です。でもこの障害を持った方の中で一つの要素に天才的な才能を見せるサヴァン症候群の患者は10%位に過ぎないんです。僕がこの映画に参加して最も重要に考えた原則は「障害を持つ人々と家族、社会福祉士の方々が不便に思って欲しくない」ということでした。昔は自分も知らずに彼らに同情していました。でも今回の映画を通して気持ちが変わりました。尊重するようになりました。

――映画の中では映画的な表現が必要です。キャラクターを演じながら、たくさん悩んだと思いますが。

パク・ジョンミン:線を超えてはいけないと思いました。行き過ぎた表現をすれば戯画化されてしまうかもしれないし、あまりにも力を抜きすぎれば、観客に明確に説明することが出来なくなります。だから各シーンの台詞を徹底的に設計しました。一番よく出てくる台詞は「はい~」ですが、これは「イエス」という意味ではないかもしれない。だから以前の状況と相手の台詞を分析して、ジンテがどんな気持ちなのかを考えました。社会的弱者として表現するよりは、自分だけの世界で幸せそうな人物の姿を見せようと思って演じました。

――関連したボランティア活動にも参加し、専門書籍もたくさん探して読んだと聞きましたが。

パク・ジョンミン:自閉症スペクトラム障害を研究した本だけでも10冊以上あります。障害を持った人が直接書いた本も読みました。その本に「なぜ人々は自分にボケている70歳のおばあさんに話すように話すの?」と書いてありました。「あちゃー」と思いました。僕もやはりボランティア活動に行った時に障がい者の方に「今日は気分はどう?」と言いながら発音をはっきりと大きな声で話しかけていました。本を読んだ後に彼らに会って、より楽に対するようになりました。

――今回の映画ではたくさんのピアノ曲を直接演奏されていましたね。大変ではありませんでしたか?

パク・ジョンミン:監督と最初のミーティングで、自分が練習して弾きますと宣言しました(笑)。当時「ラ・ラ・ランド」が人気だったのですが、自分も出来ると思いました。でも楽譜を読むことすらできなかったので、時間をたくさん投資するしかありませんでした。6ヶ月位ピアノと奮闘して、ある程度弾けるようになりました。

――オーケストラと一緒にされたピアノ演奏が圧巻でした。どのように準備しましたか?

パク・ジョンミン:あの曲はとても長い間準備をしたので少し自信がありました。演奏に自信が生まれたので、演技設計もできるようになりました。いつお尻を上げるのか、いつ笑うべきなのかなど他の演技にも神経を使うことができました。

――この機会にピアノを趣味にするのはどうですか?

パク・ジョンミン:撮影当時に監督がピアノも買ってくれました。ピアノを一生懸命練習している時は見るのも嫌だったけど、最近は家でたまに弾いたりします。チョン・ジョンイルの「抱きしめて」など、数曲練習しました。

――イ・ビョンホンさんと兄弟のケミ(ケミストリー、相手との相性)を見せてくれましたが、彼との演技の呼吸はどうでしたか?

パク・ジョンミン:序盤には、僕が設計した演技をするのに固まっていました。でもビョンホン先輩が先に新しいアイディアを提案してくれて、テイク毎に違う演技を見せてくれて僕の緊張を解いてくれました。僕も悩んできたことを注意深く投げかけて見ると、先輩がしっかりと受け止めてくれました。そうしている内に自分が表現できる幅がより広がりました。先輩がより好きになりました(笑)。

――今回の作品で、“次世代の演技の神”という修飾語をもう一度立証したようですが、華やかな修飾語についてどう思いますか?

パク・ジョンミン:全く耳に入りませんでした。所属事務所で僕のために手を使ってくれたんじゃないかと思います(笑)。褒められるのは嬉しいけれど、僕は自分に「安心しちゃいけない、いつかは実力が明るみに出てしまうんだ」とむちを打ちます。見つけてくれる人がいるので幸せだし、仕事を続けることができるので嬉しいです。定着したとは思いません。続けて定着できるように努力中です。

――今年公開を控えている映画だけでも5作品ですが、現在作業中の映画が2作品ありますね。疲れませんか?

パク・ジョンミン:2017年は休む暇なく、仕事だけしていました。そうしていると中間で辛い時もありました。でもその峠を越えると考えが変わりました。今は「休んでどうする、仕事しないと!」という気持ちです。特にファン・ジョンミン先輩が「僕は君の年にデビューしたんだ。君は早いんだ。焦る必要はない。休みたければ休んで、やりたい時は仕事をしながら、楽しく演技をしなさい」というアドバイスを下さいました。少しは楽しむ方法を知ることができたと思います。

記者 : ヒョン・ジミン、翻訳 : 浅野わかな、写真 : チョ・ジュンウォン