イ・スンギ「僕には一生懸命に頑張るという才能がある」

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イ・スンギ(30)が本物の男になって帰ってきた。「俺の女だから」を切ない声で歌った初々しい少年が、青年になってしっかりした俳優として育つのを我々は見てきた。欲張りなこの青年は歌手と俳優にとどまらず、人間イ・スンギが放つ爽やかな魅力を見せつけ、バラエティ番組でも活躍した。テレビで大活躍したイ・スンギは軍隊に入隊し、模範的な特戦士生活で軍生活を終えた。久しぶりに会ったイ・スンギの顔には、筋肉が鮮明に刻み込まれており、思考は一層しっかりとしたものになっていた。

―――除隊して1週間になるんですね。

イ・スンギ:すごく忙しかったです。2日間休んですぐにスケジュールをこなしています。tvNドラマ「花遊記」準備のため、運動しながら体重を調整しています。日課がほぼ練習生並みです。日常に適応するというのも特にありません。最近一緒に暮らしていた戦友たちのことをたくさん思い出します。だから生活館に頻繁に電話しています。

――10歳も年下の人々と暮らすのは大変ではなかったんですか?

イ・スンギ:世代差をあまり感じませんでした。人々から町の知り合いの兄貴みたいだと言われるほどです。体力的にはトップでしたけど、後任たちに聞いてみると分かると思います(笑)僕は負けず嫌いです。「この人たちに勝ちたい」ではなく、「僕がちゃんとしないと、信頼してついてこれない」という自分自身との勝負です。先任になって命令するばかりで、いざ自分はできないと、それはあんまりじゃないですか。軍生活をしてみたら、最高のリーダーシップは率先することでした。先任を信頼して、リスペクトできないと、後任たちもちゃんと動いてくれません。だから体力的に頑張らなきゃと思いました。その代わり、同じ時間、同じ強度で訓練しても、次の日になると、他の人たちより僕のほうがあちこちが痛いのはありました(笑)

――軍隊でも模範的だと聞きました。なぜそんなに熱心だったんですか?

イ・スンギ:1ヶ月間千里行軍をしながら考えました。兵士たちが敢えてしなくても良い行軍を全部しました。最初はこういうふうに考えていました。「僕は特戦士で来たから、除隊するとみんなからどうだったか、何をしたか聞かれるはずだから、何かしなければならないんじゃないか?」と。そう思うと特戦士として負けん気が湧いてきました。部隊じゃないと、一人では絶対にできない訓練です。ここでできる経験は全部してみようと思って、意欲で溢れていた時に大隊長に僕の抱負を語りました。せっかく来たのだから、できることは全部やってみたいと。大隊長が普段から兵士たちに思い出をたくさん作ってあげたいと言っていましたから。「そう? 君が望む本物の思い出を作ってあげる」として、本当にたくさんの訓練を受けました。ハハハ。

――その多くの訓練は思い出になったんですか?

イ・スンギ:一生の思い出です。芸能活動をすると、行動範囲が決まっているんですけど、それを破りましたから。本当に運良く特戦士で行くことができて、社会より多くのことを学びました。やったことのないことに対する挑戦、そして自分の限界に挑戦し続けました。

――人々に忘れられるんじゃないかという怖さはなかったんですか?

イ・スンギ:全然ありませんでした。自由を統制されて、その状況自体が大変ではあったんですけど、それが回復の時間になりました。11年間芸能生活をしている間、いつも何かを考えて、人の視線を気にして、「これってうまくいくんだろうか」「どうすればいいんだろう」と心配事が多かったんですが、軍隊ではそういうことを考える必要が全くありませんでした。例外なくすべての訓練を同じく受けなければなりません。悩みというものがありません。ただ「今日の夕ご飯はなんだろう」「今日はなんでこんなにまずいものが出たんだろう。明日のご飯はおいしくなければいけないのに……」それが一番の考え事でした。

――軍生活にガールズグループも欠かせませんね。

イ・スンギ:軍隊はトレンドに一番敏感な集団だと思います。放送を観る時も軍人たちの感触がすごく速くて敏感です。軍人たちが人気を得るはずだと言う新人ガールズグループは、3ヶ月以内にとにかく人気を得ます。JTBC「知ってるお兄さん」も初放送から「これすごい面白い」と思ったら、本当に人気を得ました。

――軍隊に骨を埋めるという噂が立つほどでした。周りでもイ・スンギの軍隊での時間は本当にゆっくり過ぎていると言っていました。

イ・スンギ:除隊6ヶ月前からなぜ除隊しないのかと聞かれました。休暇をもらって出ていくと「もう軍生活は後少しですね?」と言われたりもしました。言うのも恥ずかしいほど軍生活がたくさん残っているのに、出る時になったと思われて、軍隊に骨を埋める説、中佐除隊説などが出回りました。ふふ。その分、僕に会いたがっているという意味で、特に関心を表してくださったので、心底嬉しかったです。除隊して多くの歓迎を受けて、感謝もしました。

――軍隊生活が楽しかったみたいですね。入隊する前より顔色が良いです。

イ・スンギ:終盤に体重管理をしました。入隊前より少し痩せたんですけど、まだ放送にすぐに復帰できるほどではありません。食事を抜くことなく、運動をたくさんしています。

――除隊する時にファンたちの前に久しぶりに立って、感慨深かったんじゃないでしょうか。

イ・スンギ:人数は重要ではありませんでした。除隊した時の姿をずっとイメージしていました。これまで数々の訓練を受けながら思ったことや、表情みたいなものが全部表れてほしいと思いました。僕が訓練を受ける写真や訓練の内容がインターネットに出回っているのをみましたが、コメントがすごかったですね。「うわっ、大変。期待感高すぎ」と思いました。だから除隊を控えてたくさん運動しました。

――どのフォトウォールよりも気を使ったんでしょうね。

イ・スンギ:そうですね。除隊する日に朝早く起きて、みんな寝ていたんですけど、1人でストレッチして、外に行って縄跳びを500個ほどしました。だから血色が良く見えたかもしれません。

――自身で書いた除隊の心境も印象的でした。

イ・スンギ:除隊後に悩みながら一文字一文字書き上げました。久しぶりに出たので、話したいことが多くて、少し長くなりました。そして何をしたのかファンたちは分からないので、たくさんの質問を受けました。特戦士として何をしたかを書きました。

――休息なしにすぐに仕事ですね。

イ・スンギ:ありがたいことに、ドラマの台本、映画のシナリオ、バラエティ番組などさまざまなオファーが入りました。実は除隊して3週間ほど休みながら、アメリカでスカイダイビングの免許を取りたくてたくさん調べてみました。しかし、こんなにたくさんの場所で僕を呼んでくださることが嬉しくもあり、また休んだからといってエネルギーが湧いてくるとは思いませんでした。仕事ができるエネルギーを軍隊で着実に積んできました。エネルギーが有り余ると思って、ドラマをすることにしました。

――復帰作として、tvN「花遊記」を選択した理由はなんですか?

イ・スンギ:とにかく、台本が面白かったです。うまくやりこなせると思いました。脚本家のホン姉妹とSBS「僕の彼女は九尾狐<クミホ>」の時に一緒に仕事をさせていただいているので、信頼がありました。僕について十分知っている方々です。そしてパク・ホンギュン監督ともぜひ一度作品をしてみたいと思っていました。

――「花遊記」はどんなドラマですか?

イ・スンギ:古典の「西遊記」をモチーフにした退魔ドラマです。仙人だった孫悟空が大きな罪を犯して妖力を封印され、人間世界に追い出されます。善行ポイントを積まないと、仙人世界に戻れません。白牛妖怪の牛魔王(チャ・スンウォン)と三蔵チン・ソンミ(オ・ヨンソ)と奇妙な悪縁で出会い、悪鬼を罰する旅程を描くドラマです。

――入隊前に撮影した映画「ときめき♡プリンセス婚活記」も公開を控えています。

イ・スンギ:来年1月中旬頃に公開される予定です。実は、軍隊にいる時に公開すると思って入隊前にPR資料をすべて撮影しました。でも主人公がいなかったから。映画の編集が見事に出来上がったらしいです。期待しています。

――アルバムとバラエティを期待しているファンも多いです。

イ・スンギ:アルバムは当分計画がありません。バラエティはします。良いバラエティ番組があればいつでも良いです。最近のバラエティ番組はカラーが多様化していると思いました。僕にぴったりの、自分に上手にできそうなバラエティ番組があれば十分やってみたいです。

――デビューした時から今まで、特に浮き沈みなく活躍を続けてきた。模範生というイメージにプレッシャーがありそうですが、一度くらいその枠を超えたいとは思いませんでしたか?

イ・スンギ:そんなのはありません。芸能人なら並外れた才能がなければならないと言われすぎて、軍隊に行く前まで「自分は才能があんまりない」と思っていました。しかし芸能界生活13年を振り返ると、人々が除隊するイ・スンギに期待を抱いているのは、勤勉に自身の時間を積み重ねてきたためではないかと思います。僕には一生懸命に頑張るという才能があることに気づきました。自由に遊ぶことだけが才能ではありません。自分の強みは何か、自分は何をする時に一番自然かを探さなければなりません。

――2018年の目標は何ですか?

イ・スンギ:イ・スンギのアイデンティティを探さなければならないと思います。「自分は誰だろう。芸能人イ・スンギは何だろう?」と自分自身に投げる質問に対する答えです。「ベテランになりたくて1つの分野だけ掘り下げます!」ではありません。できることは全部やってみたいです。そして上手にできると思います。「僕は歌手もして、俳優もして、バラエティもした。自分がやりたいし、また上手にやった分野は辺り構わず挑戦してきたんだなぁ」と思いました。韓国にこんなキャラクターが1人くらいいても悪くないんじゃないでしょうか。

――イ・スンギがもう32歳です。30代のイ・スンギが20代に言ってあげたいことはありますか?

イ・スンギ:軍隊で会った20代たちは考え事が多すぎると思います。考えが多過ぎて、行動ができない人が多かったです。怖がらずに悩む時間を少しだけ減らしても、ずっと異なるエネルギーが出てくると思います。今この瞬間に集中するようにと言ってあげたいです。毎日、将来をイメージするからといって、明るい未来がやってくるわけではありません。「今日は何をするか」と考えて、1日の日課をこなすだけでも、いつかは道が開くはずです。



エディター:キム・ドゥリ、インタビュー:チョン・スミ、フォトグラファー:イ・ジョンホ、ビハインド・フォトグラファー:チョン・ユジン、スタイリスト:ヨン・シウ、ヘア&メイク:イム・ヘギョン

記者 : チョン・スミ