「沈黙」チェ・ミンシクが明かす#父性愛 #50代の恋愛 #後輩たち

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※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
写真=CJエンターテインメント

11月2日韓国で公開される映画「沈黙」(監督:チョン・ジウ) に出演したチェ・ミンシクが、26日ソウル八判洞(パルバンドン) のカフェで、映画に対する話から俳優としてのアイデンティティ、後輩たちについて率直に打ち明けた。ぞんざいな言い方だが、“大物俳優”らしく率直で親近感のあるインタビューだった。特に、後輩たちに対する愛情を感じることができる場だった。

――映画はどうでしたか?

チェ・ミンシク:チョン・ジウ監督の意図通りに出来上がったと思います。

――初稿と結末が違うんでしょうか?

チェ・ミンシク:そんなことはありません。最初から完成版みたいに行こうと話しました。親と子供の情、そしてせわしなく生きてきた中年男性イム・テサンの遅れた愛を表現したいと思いました。ミステリアスながらも法定映画のような要素やスリラー特有の映画的な楽しさは不十分なのかもしれませんが、この映画が投げかける基本的なヒューマニティーは敷かれていると思います。

――父親と娘の関係がすごく劇的です。

チェ・ミンシク:そうです。父親と娘の関係が劇的ではありますが、制作陣と俳優たちの間で劇中の人物が向かう方向をどのような決めていくかに対する意見は違いませんでした。

――チョン・ジウ監督が好きな理由は何ですか?

チェ・ミンシク:今回の作品をしながらチョン監督がもっと好きになりました。チョン監督は50代ではありますが、本当に学生みたいにかわいい顔なんですよ。本当に勉強ができそうな顔をしています(笑) 自身の論理とカラーを打ち立てて巧みに映画を作る監督だと思います。映画に対する態度から、自身だけの方法論を持って映画で交流しようとする態度がはっきりとしています。

――チョン・ジウ監督が「沈黙」で見せたものは何でしょうか。

チェ・ミンシク:今まで見せてきた姿とは違って、「沈黙」を通じて変わったものがあると思います。時間の経過と共に固くなり、また柔軟にもなりました。変わらない人が良いこともありますが、過去とは違って柔軟な態度を持っている点が、もっと監督として良いなと感じました。この映画は感性的な流れに帰結すると思います。距離感を置いてアプローチするよりは、ダイレクトにすっと入るのが正しかったと思います。

――作品ごとにイメージチェンジしなければならないというプレッシャーはありますか?

チェ・ミンシク:私は見かけにおいてもキャラクターにおいても、イメージチェンジしなければならないという強迫観念は感じていません。それにこだわるよりは、作品ごとに違うストーリーに集中すべきだと思います。これは以前から別の手段で示さなければならないという観念はなく、外見上の変化に集中しようとしたこともありませんでした。

――今回演じたイム・テサンはどんな人物ですか?

チェ・ミンシク:企業の会長として金に集中する一面が強調されていて、一見俗物みたいに思うかもしれません。しかし、それなりのフェイク(ギミック) があります。その都度、状況によって違う服を着るように心がけました。

――キャラクターのために準備した部分はありますか?

チェ・ミンシク:撮影をしながら監督と懲り懲りするほどたくさん話しました(笑) その過程でイム・テサンは感情に偏った、動物的な人物だと思いました。娘が容疑者に指名された殺人事件を解決していく姿から彼の性格が分かります。はっきりとしているのは、布団をかけて悶々とするような人間ではないということです。グループを立ち上げた会長として周到で、無数の難しい決定をくだした瞬間が多かったため、感性的な部分のほかに判断力もあると思います。

――タイを背景とするシーンでイム・テサンの活躍が際立ちました。

チェ・ミンシク:イム・テサンがこれまでの人生を捨てて、新しい人生が始まる場所です。重大な決定を下して、波止場に座って悩みながら「自分のせいで起きたことだから、自分で収拾しよう」という結論にたどり着きます。一方では、娘のための決定だったという点で「良かった」と思っていると想定して演技しました。

――50代後半での恋愛演技となりましたが、どうでしたか?

チェ・ミンシク:もちろん良かったです。僕も俳優として新しい演技(新しいキャラクター) をしてみたいと思いました。アフリカに住むライオンが獲物を探すみたいに、俳優が新しい作品を探すのは当然のことです。だからチョン・ジウ監督、製作会社の代表とタッグを組んで、作品に対して話す時にもっと“ヒューマニズムについて取り扱おう”と合意しました。

――検察官役を務めたパク・ヘジュンさんとの共演はどうでしたか?

チェ・ミンシク:唯一イム・テサンと激しく喧嘩をした人物はトン・ソンシク(パク・ヘジュン) です。その設定について最初にたくさん話し合いました。結果的に2人は生まれながらの天敵だという設定にしました。例えば、トン検察官の父親の友だちとイム・テシクが事業的に絡み合い、トン検察官が今度こそイム・テサン会長に一発食らわすと思ったはずだと想定しました。そこでコンビニでのシーンが誕生しました。

――「ザ・メイヤー」で共演したシム・ウンギョン、「沈黙」でのパク・シネはどうでしたか?

チェ・ミンシク:私は後輩たちを比較しません。ウンギョンとシネを比較したことはありません。ただ違うからです。しかし同じ女優に作品の中で再び会えば、過去の残像が残っていて比較することができるかもしれませんが、今回は完全に違う人なので、比較そのものをしませんでした。シム・ウンギョンとパク・シネという女優が持つアイデンティティが愛らしいと思います。

――リュ・ジュンヨルの演技についてはどのように評価しますか?

チェ・ミンシク:リュ・ジュンヨルは私に「先生、このようにしても良いんですか」と聞かずに、自分がやりたい通りにします(笑) それが悪く見えないし、かえって良いと思います。しかし、(感情が) 過度になっていると思ったら正してあげるし、足りないと思ったらもっと演技が出るように引っ張ってあげます。私はそういうのが行儀悪いとは思っていません。逆に良いと思います。素晴らしい後輩です(笑)

――映画の興行を期待していますか?

チェ・ミンシク:私は投資配給会社がどこであるかに関係なく、創作物がどれほど充実していて、完成度があるかによって観客が選択してくださると思います。企画映画、ジャンル映画だけが成功すると考えたことはありません。

記者 : キム・ボラ