イ・ジェフン「『金子文子と朴烈』のイ・ジュンイク監督といると、子供になった感じがする」

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写真=Megabox Plus M

映画「建築学概論」や、ドラマ「明日、キミと」などを通じて、純粋でロマンチックなイメージのある俳優イ・ジェフン。彼は嘲弄の目で思ったのは、行動に移そうとする情熱的な青年朴烈になった。

ぎこちなくはないかと心配していたのとは裏腹に、映画「金子文子と朴烈」中のイ・ジェフンは朴烈そのものだった。筋が通っている反面すっとぼけていて強烈だ。危機の前で笑う余裕もあった。イ・ジェフンは、実在の人物を歪曲なく表現しなければならないという負担に、涙を流したこともあると告白した。彼の涙と努力は完璧だった。

10年目の俳優イ・ジェフンは「今でも成長中だ」と新人俳優のような情熱を見せた。既に成熟したが、もっと成熟するであろうイ・ジェフンのストーリーである。

――ポスターが公開された時、話題となった。「イ・ジェフンとは違う」という反応が多かった。

イ・ジェフン:メイクの後、鏡を見て、僕じゃない気がした。撮影現場のスタッフたちも別人みたいだと言った。困惑したりもしたが、僕がキャラクターに集中する事に期待もできた。今考えてみると、本当に乞食のようだった(笑)

――イ・ジェフンの新しい顔という評価だ。

イ・ジェフン:僕も目新しい。今後俳優活動をしながら、こんなに強烈な演技をまたできるだろうかと思うほどだ。俳優として僕のフィルモグラフィーに「金子文子と朴烈」という作品を残すことができる事に感謝している。

――演技力より映画が与えるメッセージに心が動いたとか。

イ・ジェフン:最初にシナリオをもらった時は、ただ感激のみだった。イ・ジュンイク監督との仕事を夢見ていて、やっと実現するんだなと思った。シナリオを読んだ後、ちょっと深く考えた。実在の人物の上に、伝えようとするメッセージが正確だ。演技をうまくやれるかどうか心配になった。撮影中ずっと懸念と心配が消えなかった。歪曲のない人物のストーリーを伝えるために、自分を抑圧して演技した。

――心配の連続…完成した作品によく表れていたと思う?

イ・ジェフン:前作は完成作品を見ながら沢山物足りなさを吐露した。「こんな風に演じるべきだった」とか「今だったらもっと上手くやれるはずなのに」とよく思った。演技力の物足りなさは今も同じだが、僕の器の中でできる全てを注ぎ込んだ作品なので、僕の演技を評価できなかった。いつか僕の子供に見せても恥ずかしくない作品になりそうだ。

――実在の人物を演技するという負担は大きかったはず。

イ・ジェフン:3.1運動(朝鮮で起こった日本からの独立運動) が起きた頃、朴烈は高校2年生だった。彼が積極的に抗日運動をしていた歴史を見て驚いた。結局、22年2ヶ月の間投獄されていた方だ。彼に少しづつ近づいていくだけでも、畏敬の念を抱いた。そうするうちに、オーバーだったり力が及ばなかったのではないかと悩み、調整しながら演技した。過度に感情を費やす代わりに、この人物が何故このような行動をしたのか精神と信念を考えた。僕を色々と裁断し演技できた。

写真=Megabox Plus M
――イ・ジュンイク監督と初めての作業はどうだった?

イ・ジェフン:初めて撮影をする前に、(監督について) 周りに聞いて見た。だけど皆声を揃えて「もう一度一緒に仕事したい監督」と言っていた。僕も監督と仕事をしながら、同じ考えになった。辛く大変な撮影なのに、監督と一緒だったらそれを克服できる。

――どんな演出のタイプなのだろうか。

イ・ジェフン:「君の自由だ。思いっきりやれ」と野放しにするタイプだ。動きや人物の感情のディレクションをくれたことがない。その一方で、ずっと自信を植えつけてくれる。“カット”と“オッケー”だけ叫ぶ監督も多いが、イ・ジュンイク監督はいつも現場を忙しく動き回る。スタッフの話を聞いて会話し、より良い現場を作ろうとしている。現場を公園に例えると、僕はシーソーも乗ってブランコにも乗って滑り台も乗る子供で、監督は僕が公園の外に出ないようにする人だ。監督と一緒にいると、僕は子供になった感じだった。

――また作業したい監督?

イ・ジェフン:絶対にね。また僕を呼んでくれるかからないけど(笑) マイクやレフ板(撮影の際に用いられる白/銀色に加工した反射板) を持つ係だとしても、僕は現場に行きたいな。監督は年を取っても、純粋さを失わないみたい。

――朴烈という人物は、当時22歳だった。イ・ジェフンの20代前半を回想してみると?

イ・ジェフン:演技をしたくて、演技スクールに通って演技を学んだ。ソウルの大学路(テハンロ) 劇団で雑用をしながら舞台にも立ってみた。俳優の夢を育てていく過程だった。最初は理想郷だけ高かった。早くオーラを漂わせる俳優になりたかった。だが現実の壁にぶつかることになり、そのせいでとても揺れた。10年ほど仕事をしながらも、心配や悩みは消えはしなかった。選ばれなければならない仕事なので、油断はできない。ずっと磨き続けて、もっともっと強くならなければならない。

――十分に多くの人から選ばれている。欲心が大きいんじゃ?

イ・ジェフン:成長をし続けなければならない、今も成長している。徐々に僕が務める配役の比重が大きくなっているが、それは僕が責任を負う部分も大きくなるという意味でもある。それに伴い恐怖と圧迫が出てくる。いつになったら演技が楽になるだろうか? 今は想像もつかない。立派な先輩たちの演技を見ると、尊敬の念を全て表現する事さえもできない。

――ラッパーBewhYが「金子文子と朴烈」のミュージックビデオに参加した。先日NAVERのライブ映像配信アプリ「V」でBewhYにファン心を寄せていたね。

イ・ジェフン:バレてしまった。大好きなミュージシャンで、ラッパーだ。監督がBewhYにコラボレーションを提案したそうだ。ミュージックビデオの撮影現場に行って歌も聞いてみた。もう…BewhYは天才。彼はヒップホップジャンルのイメージを一段階格上げしてくれた。

――逆にBewhYがミュージックビデオ出演を求めてきたら?

イ・ジェフン:もちろんやる! 僕にできる事はないが、集団の中でスナップバック(キャップ) を被って、首を振るくらいはできるよ。(笑)

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記者 : ヒョン・ジミン、翻訳 : 前田康代