映画「華麗なるリベンジ」カン・ドンウォン…“何が嘘で、何が本当か?を見せること、今回の演技は新たなチャレンジでした”

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ある時は帰国子女、ある時は検事、ある時は…さまざまな人物に成りすまし、世の中を飄々と生きてきた男がある日、刑務所で元検事と出会い、巨大な権力に立ち向かっていく。韓国で2月に公開されるやいなや、観客動員数970万人を突破した大ヒット作品「華麗なるリベンジ」。詐欺師、ハン・チウォンを演じたカン・ドンウォンは、これまで見たことがないほどに振り切った姿でカメレオン演技を魅せてくれる。またファン・ジョンミンと息の合ったバディは、初共演とは信じられないフィット感を醸し出す。そんなカン・ドンウォンに作品への思い、役柄について、撮影エピソードなどを語ってもらった。

さまざまな作品で、多くの俳優と共演されていますが、ハン・ジョンミンさんと共演された感想、またご自身に何か影響はありましたか?

カン・ドンウォン:ファン・ジョンミンさんは、いま韓国で一番集客力のある、とても有名で素敵な俳優さんの一人だと思います。初共演だったので、当初は緊張しました。あの、お顔がちょっと怖いじゃないですか…(笑)。でもいざ撮影に入ると、とても気さくなお兄さんでした。ファン・ジョンミンさんは、事前にしっかりと準備される方なんです。撮影の方法も、演劇のように長回し(ワンシーンの撮影をなるべくカットせずに撮影すること)を好まれる方で、とても新鮮でした。

劇中、カン・ドンウォンさん扮するハン・チウォンは終始、飄々とした姿が印象的でした。ファン・ジョンミンさん演じるピョン・ジェウクに対して、ハン・チウォンはどんな心境だったと想像しますか?

カン・ドンウォン:元々の台本では、実際に撮影した時よりも同僚愛が強い設定でした。ですが、ストーリーの過程において特化した事件がないので“そこまで同僚愛は深まらないのでは?”という声が現場であがりました。なので僕は“この人を全部信じてもいいのか?”という疑いの心を残しつつ、でも人間的には信頼している、という関係性をもって撮影しました。

ご自身とはだいぶかけ離れたキャラだったと伺いました。撮影の中で、最も大変だったシーンを教えてください。

カン・ドンウォン:ハン・チウォンは台本上、基本的なキャラクターは描かれていますが、細かな部分は役者が演じながら作り上げていくものだと思っています。僕自身の性格は、彼ほど軽くないので、演じる上でハン・チウォンのジェスチャーを創りだすのがとても大変でした。劇中では、会う女性にはほとんどモーションをかける、相手を落とそうとする仕草をするのですが、台本では劇中で演じるほど書かれてはいませんでした。撮影をしていくうちに、いろいろな女性を落とそうとする演技をしました。表現としては面白いと思ったのですが、女性の目をじっと見つめ続けることは簡単なことではではないんだなと思いました。本編ではカットされましたが、ハン・チウォンの彼女(シン・ソユル)のお母さんにも食事のシーンで色目を使うということもやりました(笑)。

ではつかみどころのない性格、ハン・チウォンを演じる上で準備したこと、参考にしたことなどはありますか?

カン・ドンウォン:彼は“外国帰り”という設定で人を騙すキャラクターだったので、日常で外国の方をたくさん観察しました。そして韓国人、日本人とは少し違うと思った点がありました。たとえば乾杯をする時に、韓国や日本は相手の目を見つめながら乾杯するということがあまりないですよね、でも外国の方は相手の目をじっと見るんです。それをハン・チウォンの性格として入れてみました。実際にお酒の席でも外国の方は好意を抱いている人に対して積極的にアクションを起こすので、そういった動作も取り入れました。

映画を拝見して、主人公お二人の今後も見てみたいと思いました。もし、続編ができるとしたらカン・ドンウォンさんは出演したいと思いますか?

カン・ドンウォン:実は…スタッフとそういう話が出たことがあります。今作で二人のキャラがきちんとできあがったので、何をしてもストーリーとして成立するよねと。スタッフと、あんなことや、こんなことをやったら面白んじゃないだろうかと盛り上がってます。もちろんここで語ることはできないのですが(笑)。

ご自身のお気に入りのシーンを教えてください。

カン・ドンウォン:逆に…ダンスシーンはあまり好きではありません。僕のダンススタイルではないので(笑)。

ヤクザ・政治家などさまざまな姿になっていましたが、騙していて面白かったのはどの役でしたか?

カン・ドンウォン:チウォンが話す言葉は、すべて嘘なんです。それ自体が面白かったですね。嘘は嘘でも、詐欺をはたらくためにつく嘘は、調整が難しいと思いました。観ている人には「嘘を言っている」と感じさせなければいけないけれど、真面目すぎてもいけないし。嘘をついているとあからさまにバレてしまったら物語の中の人を騙せないし。どのへんで“本当なのか? 嘘なのか?”を見せるレベルが難しかったです。

邦題は「華麗なるリベンジ」となりますが、カン・ドンウォンさん自身が「リベンジ」したいことはありますか?

カン・ドンウォン:すごくたくさんあります(笑)。というのは冗談ですが、本作を撮りながら、ファン・ジョンミンさんに頭をたくさん叩かれたので、それはいつかリベンジしたいですね(笑)。あまり復讐心を持ったことはありませんが、僕はそういう気持ちが生まれたら“君とは合わない、さようなら”と思うタイプですね。

詐欺師の役を演じられて、ご自身は詐欺師に向いていると思いましたか? また、どんな詐欺ならできそうだと思いましたか?

カン・ドンウォン:僕自身が詐欺師なら、チウォンのようにいい加減なことはしないと思います(笑)。チウォンの場合は、ちょっと抜けている部分があってかわいらしいキャラですよね。僕はあまりお金に執着はしないタイプなので、もし何か詐欺をはたらくなら、壮大な詐欺をドカンとしたいですね。

最後に、映画をご覧になる日本のファンにメッセージをお願いします。

カン・ドンウォン:僕はアジアの映画がもっと発展してほしいなと思っています。日本も韓国も協力し合って、映画業界全体を盛り上げていければいいですね。映画というのは、監督を選んで観ることはごく少数だと思うんです。やっぱり“あの俳優さんが出ているから”という理由が大きいと思います。そう考えると、僕がもっと日本で知名度をあげないといけませんね。これからは活発に活動して、日本の皆さんとも交流をしたいと思っています。そしてたくさんの方に「華麗なるリベンジ」を観て、何かを感じてもらいたいと思います。

■映画情報
「華麗なるリベンジ」
2016年11月12日(土) シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

監督:イ・イルヒョン
出演:ファン・ジョンミン「ベテラン」「国際市場で会いましょう」、カン・ドンウォン「群盗」「世界で一番いとしい君へ」、イ・ソンミン、パク・ソンウン
原題:감사외전(検事外伝)
英題:A Violent Prosecutor
2015年/韓国/126分/韓国語
字幕翻訳:福留友子
配給:ツイン
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【ストーリー】
正義感の強い検事ピョン・ジェウク(ファン・ジョンミン)。ある日、乱闘によって逮捕された若い男が、尋問中に謎の死を遂げる。担当検事のピョンは身に覚えのない殺人容疑で逮捕され、服役することに。濡れ衣を晴らすため、刑務所内で検事の知識フル活用してのし上がり、再審請求を試みるものの何者かに圧力をかけられ失敗。そんな中、所内でイケメン詐欺師ハン・チウォン(カン・ドンウォン) と偶然出会い、彼の言動から形勢逆転のアイデアを得る。「自分に協力すれば出所させてやる」と打診されたチウォンは、協力することに。二人の復讐作戦の行く末とは!?

■関連サイト
「華麗なるリベンジ」公式サイト:http://www.kareinaru-revenge.com/

記者 : Kstyle編集部