カンヌ×パク・チャヌク監督=破格?…映画「お嬢さん」でパク・チャヌク監督が180度変わった(総合)

TVREPORT |

「『お嬢さん』は明快なディテールを活かした、細かい面白みが溢れるハッピーエンドの映画です」(パク・チャヌク監督)

1日、ソウル中(チュン) 区小公路(ソゴンロ) のソウルウェスティン朝鮮ホテルで開催された映画「お嬢さん」(監督:パク・チャヌク) の制作報告会にはパク・チャヌク監督をはじめ、女優キム・ミニ、キム・テリ、俳優ハ・ジョンウ、チョ・ジヌンが参加した。

パク・チャヌク監督7年ぶりの韓国映画復帰作である「お嬢さん」は、1930年代の韓国と日本を舞台に莫大な財産を相続したお嬢さん(キム・ミニ) をめぐって騙し騙される人物たちの物語を描いた作品だ。第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に進出し、公開前から大きな話題となっている「お嬢さん」は、たった7分のハイライト映像だけで120ヶ国に先行販売された。イギリスの小説「荊の城(Fingersmith)」を原作としており、純粋な制作費だけで130億ウォン(約12.1億円) 規模の映画である。

お金と心、求めているものを隠したまま緊張感溢れる関係を続ける4人は「お嬢さん」を率いる大きな軸だ。莫大な財産の相続人であり、ベールに包まれている貴族のお嬢さんのヒデコ(キム・ミニ)、ごつくて唐突な下女のスクヒ(キム・テリ)、身分と目的を隠してお嬢さんに近づいた世渡り術の達人の伯爵(ハ・ジョンウ)、欲望を隠した二重的な後見人のコウヅキ(チョ・ジヌン) など誰一人として平凡ではない。彼らが展開する今すぐにでも途切れてしまいそうな高い緊張感が目が離せないスリルを与える予定だ。

「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」「渇き」など、作品ごとに禁断の領域を絶妙に行き来し、破格的な映画の世界観を構築したパク・チャヌク監督。今回の「お嬢さん」はパク・チャヌク監督だけの官能的な世界観に大衆的な面白みも溶け込んでいるという。

「お嬢さん」はパク・チャヌク監督の映画の中で台詞が最も多い。従来の作品では舞台装置や行動でメッセージを伝えていたとしたら、今回の「お嬢さん」では言葉の味を活かして台詞として明確に伝えている。実際にパク・チャヌク監督は同日「『お嬢さん』はディテールを活かした細かい面白みがある、明快な、誰でも共感できるハッピーエンドの映画」とコメントし、取材陣の視線を集中させた。

映画の結末を監督が自ら明かしたのも驚きだが、「僕の映画の中で最も異彩な作品」と自信を持って説明しているのも変化したパク・チャヌク監督を予感させた。カンヌ国際映画祭と言えば頭に浮かぶ曖昧な芸術映画ではなく、「お嬢さん」がコンペティション部門に進出したのが意外であったというパク・チャヌク監督の説明も“意外”であった。

パク・チャヌク監督の作品、カンヌ国際映画祭の招待作と言えば自然に浮かぶ破格と芸術映画という印象を破る言葉だった。「僕映画の中で最も異彩な作品」というパク・チャヌク監督の説明が「お嬢さん」への意外な面白みを期待させた。絡みあった4人の人物が織り出す緻密な構成のストーリーと1930年代を完璧に再現した舞台装置が届ける恍惚な映画的体験も欠かせない。

パク・チャヌク監督と初めてタッグを組んだ4人の俳優たちの演技も素晴らしいという。キム・ミニは「火車」「今は正しくあの時は間違い」を越える演技で謎めいたオーラを放った。みんなの欲望となって危うく見えるお嬢さんの役を通じてもう一つの代表作を誕生させる予定だ。1500対1の競争を乗り越えて抜擢されたキム・テリも唐突さと純朴さを兼ね備えた多層的なキャラクターを只ならぬ演技力で演じきった。二人が届ける同性同士のベッドシーンにも関心が集まっている。

ハ・ジョンウ、チョ・ジヌンも特別な変身を試みた。詐欺師の伯爵を演じたハ・ジョンウは紳士的でありながらも図々しい一面を思う存分に披露する予定だ。「お嬢さん」予告編とスチールカット、ポスターで見せた姿は確かに以前は見ることができなかったハ・ジョンウの顔を期待させる。「シグナル」で俳優として人生最高の全盛期を満喫しているチョ・ジヌンの変身も欠かせない。18kg減量し、高齢者の特殊メイクまでしたチョ・ジヌンは破格的な内面の演技を届ける予定だ。

何より「お嬢さん」の受賞結果にも期待が集まっている。「お嬢さん」は韓国映画としては4年ぶり、パク・チャヌク監督の映画としては3作目としてカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に進出した。以前、パク・チャヌク監督は「オールド・ボーイ」で審査員特別グランプリ、「渇き」で審査員賞を受賞したことがある。パク監督が「お嬢さん」で韓国映画としては初めてパルム・ドールを受賞することができるか、慎重な姿勢から予測も出ている。キム・ミニ、キム・テリの受賞にも関心が集まっている。

「お嬢さん」は14日(現地時間)、カンヌ国際映画祭のリュミエール大劇場で世界初公開される。パク・チャヌク監督とキム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌンが全員参加する。韓国での公開は6月初旬を予定している。

記者 : キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン