“B.A.P&Secretの振付師”パク・サンヒョン「アーティストにクリエイティブな仕事が出来ればハイクオリティなものになる」

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パフォーマンスがないアイドル音楽を想像すると、何か寂しい感じがする。アイドル音楽は歌、ビジュアル、そしてパフォーマンスという3拍子を揃えて繰り広げられるコンセプト音楽だ。そのうち、パフォーマンスは見る音楽の頂点を成す非常に重要な要素で、K-POPの韓流ブームの核心である。上手く作られた一つのポイントの振付が歌の人気をリードすることもある。アイドルがカムバックするたびに、YouTubeにたくさん掲載される海外ファンのダンスカバー映像もパフォーマンスの重要性を示す。そのため、パフォーマンスを作る振付師の役割もともに大きくなった。約3分間のステージのために、アイドルグループの後ろで汗を流す振付師に会ってきた。

Secretの「Starlight Moonlight」、ヒョソンの「Good-night Kiss」「惚れる」、B.A.Pの「ONE SHOT」の共通点は何か。TSエンターテインメント所属アーティストの曲という点もあるが、すべてパク・サンヒョン振付師がパフォーマンスを誕生させた曲の数々だ。可愛くて柔らかい「Starlight Moonlight」、セクシーな「Good-night Kiss」、パワフルで男らしい「ONE SHOT」まで、相反する魅力を持つパフォーマンスがパク・サンヒョン振付師の指揮の下で作られた。

パク・サンヒョンは振付だけに留まらず、振付師の権利を認めてもらうために振付師仲間たちと韓国振付協会を作るなど、権益保護に力を入れている。同時にB.A.PのジョンアプとZELOを自身の指揮下に置いて曲の振付を作るなど、成長を助けた。パク・サンヒョンが振付をするということの大切さと価値を知っているからこそ可能な行動だ。パク・サンヒョンに会った時、彼はヒョソンのソロアルバムの準備や韓国振付協会のスケジュールで忙しい日々を過ごしていた。振付師としての彼の信念が原動力であった。

―振付師として精力的に活動しているが、なぜ振付師という職業を選んだのか?

パク・サンヒョン:ただ面白かったから。中学の時に面白くてダンスを始めて、若いころはお金があまり必要ではないから、経済的なことなどは考えずに、面白かったからするようになった。

―振付をすることと、ダンスをすることの違いは?

パク・サンヒョン:歌に作曲のためのコード進行があるように、振付も同じだ。ドレミファソラシドを弾いたからと言って、作曲できるのではないように、動作をただ作ることが振付師ではない。グループの振付を考える時はパートがたくさん変わるので、そのパートの時にどう動いて広がっていくのか、色々なことを考えなければならない。動作を作る時には無条件に強く作らず、その中で強弱の調整をする。

―韓流人気の要素の内の一つがパフォーマンスだ。韓流が人気を得て、振付師の領域も広がったのではないか。

パク・サンヒョン:実は広がったどうかはよくわからない。私は昔の、90年代のダンサーだ(笑) 少し変わったことがあるとすれば、昔は曲が出ればただ振付だけ作って提供していたのだが、今は曲と振付、衣装を一緒に考える。そして細分化された名称が生まれた。トレーナーがいて、振付師、パフォーマンスディレクター、新人開発チーム等の肩書きが生まれた。システムを作ろうと努力している様子が見える。していることは昔から同じだが、振付師やダンサーたちがシステムの中に入るようになった。

―振付を作る時、最も重視していることは?

パク・サンヒョン:ヒットするかどうか。歌手に似合うか。ヒットさせる範囲内でこの歌手が一番うまく出来るものを探す。その歌手がセクシーじゃないのにセクシーに振付したからといって、その雰囲気は出ない。その歌手が出来るかっこよさやセクシーさを見つける。

―ヒョソンのニューアルバムのタイトル曲「私を見つけて」ではどんなヒョソンを演出したのか?

パク・サンヒョン:今回は優雅なものになっている。グループからソロとして発表する時は、1stアルバムがとても重要だが「Good-night Kiss」はとても良い反応をもらった。「惚れる」の時にはガールズグループのイメージを壊したかった。今回はヒョソンの優雅さを見せたかった。優雅さにしてはヒョソンのダンスが弾力的なスタイルなので、それを反映させた。

―傍で見ていたヒョソンにはどんな欠点があるか?

パク・サンヒョン:ヒョソンは弾力的なイメージがある。細いイメージではない。舞台を掌握し、掻き乱す能力がある。そして、練習をとことんして、意見をたくさん提示する。意見を提示すること自体、お互いを信頼している証拠だ。何も考えずに学ぶよりずっといい。ヒョソンは自分が出来る範囲内で完璧にする。その範囲以上をいつも見せてくれる。実力も伸び続けている。

―ソロの場合、グループの振付とはまた別に考えなければならないと思う。ダンサーの構成が独特な理由は?

パク・サンヒョン:どんなダンサー達が一緒に踊るのか構成も考えておく。もしステージにダンサーチームのリーダーレベルが一緒に立てば、歌手が負けてしまうかもしれない。ステージに似合うダンサー達を立てる。特にグループより、ソロはもっと神経を使わなければならない。グループはダンサーが支えるイメージだが、ソロはダンサーたちがその歌手を王のように引き立てなければならない。

Secret ヒョソン
―歌を聴いて、振付として誕生するまでの過程はどのようなものか?

パク・サンヒョン:若い頃は歌をたくさん聞きながら振付をした。最近は初めに体を慣らしてから、歌を最初に一度聞いて、思い浮かぶイメージの通りに作る。「Starlight Moonlight」の場合は、サビ以外はたった1日で完成した。昔は上手く振付をしたくて、歌を何度も聞いた。でもあまり聞きすぎると、普通の人はわからないミキシングに隠された効果音も聞こえてくるし、そこに執着するようになる。普通の感覚で聞けなくなる。最初に一度聞いて、最初に一度見た時に良くなければならない。

―B.A.Pの場合、ジョンアプとZELOが「Feel So Good」の振付を作ったと聞いたが。振付師としてメンバーたちの成長がとても満足するものか?

パク・サンヒョン:二人が上手く作ってくれたので、私は楽だった(笑) ZELOとジョンアプが二人で話して、私に見せてくれる形で作業した。事前にどのように振付をすれば良いのか話してあげた。私がカン・ウォンレさんの下でダンスをしていたからか、アーティストにクリエイティブな仕事が出来れば、ハイクオリティなものになるということを感じている。ディテールまで完璧なものを作れなくても、アーティストが基本の絵が描ければ、話がずっと通じやすい。

―B.A.Pはどんな魅力を持つグループか?

パク・サンヒョン:B.A.Pはただ面白い奴らだ。その面白さが良い。面白くてこそいい作品が出来ると思う。ヨングクはリーダーそのものだ。自分が何でもする。創作者だ。ヒムチャンは実はダンスが上手いメンバーではないが、ダンスをする時のリアクションがとても良い。演技の出来るメンバーだ。デヒョンはすごくムードメーカーだ。ファイトに溢れ、実力が伸び続けている。“オールドスクール”的な感じが妙にある。ヨンジェも意見をよく出すメンバーだ。ジョンアプは黙々と自分のやるべきことをする。ジョンアプがこれから1~2年ですごい事をしでかしそうだ。ZELOは本当に才能に溢れている。

―振付師としてパフォーマンスを見る時、一番よく出来たと思う振付は?

パク・サンヒョン:本当にうまく作れた振付は……私はCLONのカン・ウォンレさんを尊敬している。ウォンレさんはその当時ダンスがとても上手い人だったけど、本人が歌手として活動する時には多様なダンスをする。もし本当にダンスの上手い人ならば、自分の能力を表現したがるけど、CLONは“私は”“ビンビンビン”“クンタリシャバラ”、すべてかっこいい振付を超えて、歌に合う振付を作った。プレイヤーがそのように作るのはすごいことだ。本当にその歌に合わせてすべて表現した。

―創作者として感覚を維持するために努力していることはあるか?

パク・サンヒョン:基本テクニックの練習を続けている。すべての振付師がそうだけど、年を取るとセンスや感覚よりも体力が落ちる(笑) 例えば、ある動作が思い浮かんでもっと形にするためにダンスを踊り、練習するんだけど、ダンスをきちんと完成させる前に疲れてしまう。もちろん感覚が劣らないように、関連映像をたくさん見たりする。

―振付師としての目標は?

パク・サンヒョン:ずっと続けたい。長く続けてもっと良くなるのを見たいし、そのように作りたいという考えが強い。それから振付協会をする立場として、もっと安定化させて、振付師のイメージだとか水準をより高めたい。振付師を夢見る人々が増えたけれど、もっと成功する振付師がたくさん現れて欲しい。

―最後に、振付師として夢見る後輩たちに一言。

パク・サンヒョン:偏見や先入観を持たないで欲しい。ダンスを踊っていると偏見や先入観が偏ってしまう時がある。専門ダンサーなら理解できるけど、振付師は一つのジャンルに限定されてはいけない。振付師はたくさんのものを見て、たくさんの事を経験し、たくさんの事を感じ、日々基本練習をして調和させなければならない。

記者 : パク・スジョン、写真 : パク・サンヒョン振付師、TSエンターテインメント、翻訳 : 前田康代