B1A4 サンドゥル「『お前はできる』という希望がほしい」 ― Vol.2

OSEN |

写真=M MUSICAL ART
B1A4のサンドゥル(24)にとってミュージカル「三銃士」は特別な作品だ。確かにミュージカル初挑戦作ではないが、長い間待っていたような、運命のような作品だ。そのため、最近サンドゥルは緊張しながらもワクワクしている。運命のような作品と出会った彼は、舞台の上でより一層カッコいいダルタニャンになり、彼が考えて解釈したダルタニャンの姿を全部見せるため最善を尽くしている。

日本でグループでの仕事を終えて帰ってきた日も、夜遅くまで練習した。海外から帰国してそのまま練習に参加する厳しいスケジュールだが、いざ練習室に行けば逆にエネルギーをもらうという彼だ。

まだ「三銃士」のダルタニャンとしてステージに上がる前、同じ役にキャスティングされたシヌゥとサンドゥルに出会った。前日に帰国してからすぐに練習に参加していたため、疲れているはずだと思ったが、早朝にもかかわらず彼らはエネルギーに満ち溢れていた。「三銃士」とダルタニャンについて討論するように考えを話し合う二人。見るたびにその情熱が伝わってくる。そのため彼らとのインタビューはなおさら楽しい。この運命のような作品を上手くやり遂げるためのサンドゥルとシヌゥの汗と努力がそのまま伝わってきて、話を聞いているだけで胸が躍りだした。

サンドゥルは普段の姿もダルタニャンと非常によく似ている。そのためか、サンドゥルは初めてミュージカルに挑戦したときから約4年間ずっと周りに「『三銃士』のダルタニャンを一度やってみろ」とよく言われたという。そのため「三銃士」はサンドゥルにとってなんだか耳慣れた感じで、運命のように感じられる作品になった。

「他のミュージカルを練習しているときも、『三銃士』のオーディションがあれば『お前、三銃士しない? ダルタニャンやってみて』と4年間ずっと言われていました。見たことはありませんでしたが、それをすれば人生のキャラクターになりそうな感じがしました。『ALL SHOOK UP』のエルビスが僕によく合うキャラクターだと思っていましたが、扮装の先生も同じことをおっしゃいました。興味深いと思ったし、期待も大きかったです。だからもっとエネルギーを注いでいるんだと思います」

シヌゥはそのようなサンドゥルをダルタニャンに最適化された人物だと言った。「初めてダルタニャンをすると言われたときからサンドゥルとイメージが似た部分が多くて、一番最適化されていると思いました」

「三銃士」はサンドゥルが出演する4回目のミュージカルだ。2012年「兄弟は勇敢だった」を皮切りに、「ALL SHOOK UP」「シンデレラ」、そして「三銃士」に出演した。その中でエネルギーと実力を着実に身につけ、ミュージカルに出演する度にサンドゥルは自分なりの方法でキャラクターを作り、熱中している。それが彼の魅力だ。

「面白いです。公演するとき、僕はキャラクターの性格の中で自分に合わないものはないと思います。キャラクターに接するとき、シンプルに考えようと努力しました。僕が考えたダルタニャンの雰囲気、ダルタニャンが現れて三銃士を引っ張り、そして自然に引っ張っていくエネルギーにならなければならないと思いました。僕は明るいですが、僕の中に真剣な面もあるし、色々な姿があるじゃないですか。そういうものを主人公に反映してやってみたら、僕が表現するキャラクターになるのです」

ただし、心配もある。人々によく知られている「三銃士」のダルタニャンは、初々しくて正義感に満ちた青年だ。もちろんこれは事実だが、あまりにも愉快で明るいため、軽く見られがちな人物でもある。これがサンドゥルが心配する部分だ。

「ダルタニャンが愉快でエネルギーがあり、力のあるキャラクターであることは事実です。でも、あまりにも軽く思われすぎているのではないかと思います。ダルタニャンは誰より心の中に熱いものがある人です。いつも持っています。信念が強いので何かを見下したり、そういう言葉を聞いたりすれば、もっと真剣になるわけです。たとえば僕は釜山(プサン)からソウルにきて歌で心を揺さぶる歌手になると決意しました。そういう決意があってこそ三銃士を引っ張っていけるし、僕が感じたもの、なんだか分からないけれど心の中に熱くこみ上げてくるもの、火をつける役割でしょう」

サンドゥルはダルタニャンを演じながらもその決意を忘れず、バランスをとるために努力した。あまりにも真剣で、ときにはそのような姿が滑稽に見られることもある人物。ダルタニャンが持った信念を忘れず演技に臨むため、ひたすらコミカルなキャラクターではないあの信念が、真剣さが、行動を通じて自然に表れるようにすることが重要だった。

写真=M MUSICAL ART
他にも「三銃士」の特別な点はあるのだろうか。同じB1A4のメンバーシヌゥと一緒にキャスティングされたことだ。同じグループに所属するメンバーが同じ作品に、それも同じ役にキャスティングされたことは非常に異例なことだ。メンバーたちは現実的な悩みもあったそうだが、練習する過程でお互いに刺激を受け、助け合えることは大変良いことだ。同じ関心事に夢中になっている彼らだ。

「お互いにWin-Winだと思います。グループの仲間なので、もちろん応援しますが、当然競争もします。練習するとき、本当にシヌゥ兄さんを穴が開くほど見つめます。『なぜこのように動くだろう? なぜこの動作をするのだろう?』台詞や動き一つ一つを全部見ます。『この人はこういうふうに思ったんだ』と思いながら妥協点を探します。芝居がもう少し良くなると思います。そのような競争を通じて相乗効果が発揮されるのではないでしょうか」(サンドゥル)

「ライバル意識がないと言えばそれは嘘になるでしょう。他の俳優と違うのが、同じグループのメンバーで年下メンバーなので、うまくやってほしいという気持ちもあるし、うらやましいと思うところもあります。ある台詞を言ったとき『ああいう感じにするんだ。いいじゃないか?』と思ったり。学ぶことも多いです」(シヌゥ)

二人のメンバーが同じ作品で同じ役を演じるだけに、他のメンバーたちは「誰の公演を見にいくか?」と冗談を言うこともあるという。もちろん二人とも応援していることは確かだ。サンドゥルとシヌゥはメンバーらの冗談とは別に、現実的な悩みもある。「どうしてもチケットが分散されてしまうので。現実的な悩みはあります」

サンドゥル、シヌゥと一緒にミュージカル俳優のカイとZE:Aのヒョンシクもダルタニャンを演じる。4人が作り上げるダルタニャンだ。ヒョンシクは一度「三銃士」に出演したことがあるため、シヌゥとサンドゥルもたくさん学んでいる。

「カイ先輩とシヌゥ兄さんのキャラクターは似ているように見えます。細かい部分はどんどん変わってきていますが。ディテールが明確になるにつれ、キャラクターもますます明確になってくることが見えます。ヒョンシク先輩に練習でお会いしたのは1度だけですが、もう経験があるからか、とても上手でした」 (サンドゥル)

B1A4もソロ活動もあるが、ミュージカルはサンドゥルを大きく成長させたジャンルだ。ミュージカルに出演する前、数えきれないほど多くの舞台に上がったが、確かに違った。サンドゥルは自ら木になってミュージカル舞台に上がる。公演に臨む彼ならではの方法だ。

「ミュージカルをしている間、僕は自分が大きい木だと思って舞台に立ちます。僕の根が皆のところまで伸びていくような感じです。立っているだけで存在感が感じられるようにしたいです。コンサートでいつも言うことですが『良いエネルギーをもらって、帰ってからもっと頑張ってほしい』。ミュージカルをしたあとに言う言葉です。一人ひとりのエネルギーが集まってピークに達し、注ぎ込むわけですが、メンバーたちにも一緒に感じてもらいたいです。もちろんミュージカルだけで感じられることではありませんので。前は他のメンバーもミュージカルをしてほしいと思っていましたが、今は自分の場所でちゃんと感じているはずだと思います」(サンドゥル)

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舞台の上で大きな木になったサンドゥル。作品に完全に入り込み、その役になりきるための彼だけの方法もある。必ず一度は“底”を知らなければならないということだ。その底を踏み台にしてさらに高く上がることができると言うサンドゥルだ。練習でもスタッフの表情の変化までしっかりと見る彼だ。

「必ず一度は底を知らなければならないというマインドを持っています。底を経験してこそさらに高いところまで飛び上がることができます。悪口を言われて、落ち込んで、一人で台本を見たりして。底を知らないと、いつまでも繰り返されるような気がします。次のステップに進むのが難しいんです。指摘された部分をまた考えてみて、演出の意図についてたくさん考えます。練習するとき演出の表情が変わればその部分で悩むわけです。『なぜだろう?』と。そういうふうに作っているのです」(サンドゥル)

サンドゥルは今回もまたそのようにして一生懸命ダルタニャンを表現した。自身の中にあるダルタニャンらしい面を引き出して練習に集中し、底から再び頂上に向かって着実に飛び上がっている。どんな絵でも描ける白紙に一つずつダルタニャンを描いていくように、彼はこれからもたくさんのキャラクターを描き出すだろう。

「若いときに飛び込んだ世界だし、歌手ですがミュージカルも愛しています。本当に好きな分野です。僕の確かな長所は、まだ若くて盛り込む器が大きいということです。そして白紙。どんな絵でも描ける白紙なので、迷うこともあるでしょうが、役割と公演に入り込むための武器だと思います。色々聞きながら一つずつ完成させていくことが長所ではないでしょうか?」(サンドゥル)

そうやって作り上げた「三銃士」とダルタニャン。この運命のような作品でサンドゥルが考えたダルタニャンは、舞台の上でどのように描かれているのだろうか。サンドゥルは1日に開幕した公演でもう2回も舞台に上がった。彼が感じて練習した通り、舞台の上のサンドゥルはダルタニャンをうまく表現したのだろうか。最後にサンドゥルにダルタニャンに伝えたい言葉を頼んだ。多少鳥肌の立つ質問に少し当惑したサンドゥルは、かっこよく自身を励ました。

「サンドゥル、緊張してるだろう。僕の習慣は、僕自身に苦言を呈することだ。舞台に上がる前、鏡を見て確かめる時間を持つけれど、『お前はできる』という希望がほしい。充実した公演がしたいと思うし、練習した兄さんや姉さんたちを信じて、公演会場でお前を信じてかっこよく見せてあげなさい」(サンドゥル)

記者 : ソン・ミギョン