コ・アソンがソン・ガンホに学んだ“人生の真理”とは

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写真=ムン・スジ
女優コ・アソンには10歳の子役俳優とも、60歳を超えたベテラン俳優とも“友達”になれる妙な魅力がある。13歳でデビューし、大小の作品で積み重ねてきた底力と、熾烈な大人の世界から手にした空気を読む力がその秘訣と言えば秘訣だろう。大人びた雰囲気と天真爛漫な魅力を兼ね備えている女優がコ・アソンだ。

そんなコ・アソンが最近ぐんと明るくなった。これまでも常に明るかったが、最近目立つほど華やかになったのでその理由が気になった。それは完全に映画「戦場のメロディ」(監督:イ・ハン、制作:Joy Rabbit)のおかげだという。優しい監督、優しい俳優たちと優しいストーリーを描いた映画に真心を込めたら、勲章のような明るい笑顔で笑えるようになった。

「戦場のメロディ」は朝鮮戦争当時に実在した児童合唱団をモチーフにした映画だ。コ・アソンは戦争の真っ只中に飛び込んだパク・チュミ先生役を務め、自身のフィルモグラフィー史上最も闇がなく明るい演技を披露した。常に優しく笑って周りに明るい空気を届けるが、自分のため息は飲み込んでしまう大人びたパク・チュミは、コ・アソンの実際の姿ともかなり似ている。

コ・アソンは合唱団員を演じた子役の俳優たちを“仲間”そして“素敵な友達”と呼んだ。これは、「オフィス」のキム・ウィソンがコ・アソンを指しながら使った表現と同じである。十数年の年齢差を超えて素敵な友人になれる秘訣を尋ねると、自身が幼いことから見てきた先輩たちに学んだだけだと答えてくれた。そして、その先輩の中の一人が「グエムル-漢江の怪物-」「スノーピアサー」で共演したソン・ガンホであるという。

デビューしてから一日も欠かさず日記を書いているというコ・アソン。これからその日記帳がどんな友人、仲間、映画で埋まっていくのか、楽しみにしたい。

以下はコ・アソンとの一問一答である。

―イ・ハン監督の作品に出演するのは「優しい嘘」以来2度目だ。

コ・アソン:「優しい嘘」の時、本当に良かった。いつでもイ監督と一緒に仕事がしたいと思っていたが、また一緒に撮影できる機会に恵まれて、やっぱり! 期待以上に良かった。イ監督は心を静かに込めて映画を作る。真心を込めて映画を作る方だ。

―2度目の撮影をしてみて、最初より良かった点はあったか。

コ・アソン:監督が望む方向に以前のように悩まなくても気付ける時。2度目なのでもっと楽な部分があったが、心の中では監督が寂しく思うのではないかと気になったりもした。監督のディレクションにもっと早く気付かなくちゃというプレッシャーもあった。監督は俳優たちへの配慮が本当にすごい。どれくらいかというと、それぞれの俳優には作品の中で自分だけの空間があるじゃないか。(イ)ヒジュン兄さんの場合はカルゴリ(イ・ヒジュンの役名)の小屋、私の場合はジュミの机、ベッドのような空間だ。監督がセット撮影の最終日に俳優たちに「ここで何かもっとしてみたいことはないか」と話した。本当に素敵でしょう?

―それで、コ・アソンは何がしてみたいと言ったのか。

コ・アソン:ジュミが両親に手紙を書くが、その前に何かもう一つあればと思った。セット場を私一人でゆっくり見回りながら、幸せに悩んでみた。4つくらい話したが、子供が寝ている間にジュミが紙のキーボードを開いてピアノの練習をするシーンが採択された。撮影の間、ずっと監督への感謝の気持ちで一杯だった。心の中で感動の涙を流しながら撮った。もちろん、編集されたけど(笑) 俳優にそのような機会を与えるということ自体が感動だった。

―最近、かなり明るくなったように感じる。

コ・アソン:うはは。そう? 完全に「戦場のメロディ」のおかげだ。「戦場のメロディ」の撮影をしながら、本当にかなり変わった。どちらかと言うと子供たちの影響が大きいと思う。私が子供たちに影響したというより、影響を受けるほうが大きかった。最近もその子たちとは連絡を取っている。私がテレビに出る日は必ず連絡がある。だからか、テレビに出ると子供が聞いたらいけない話をしないように気をつけたりする。行動一つ、言葉一つ、行う前にもう一度考えるようになったが、それが不便だと思ったり、プレッシャーになったりはしない。

―もともと子供が好きな方だったか。

コ・アソン:実は、子供と仲良く過ごすことは簡単ではないが、今回の撮影現場は本当に良かった。子役ではなくみんな友達や仲間のようだった。撮影開始の3ヶ月前から合唱の練習のために子供たちとずっと一緒に過ごしたが、徐々に仲良くなれたような気がする。何よりも話が通じる! 私には想像もできなかった明快な話をしてくれて、感動もあって、子供たちと心の距離が縮まるのをそのまま感じることができた。

―50代の俳優であるキム・ウィソンとも友達のように過ごしているではないか(笑)

コ・アソン:うははは。幼い頃から撮影現場で見て学んだというか。ソン・ガンホ先輩(「グエムル-漢江の怪物-」「スノーピアサー」で共演)も、先輩と後輩の年功序列みたいなものは考えない。ソン・ガンホ先輩に学んだものだと思う。

―一人で二段ベッドで星を見ていた子が、ジュミの懐に抱かれるシーンは本当に感動的だった。撮影しながらも、心に響くものがあったのでは。

コ・アソン:監督が私が演技をしながら泣くだろうと思って全部撮り終わってから話した話だが、そのシーンも実際にあったエピソードだという。いつも施設のベッドに座って星を見ていた子がいたが、結局あの世に逝ってしまったという話だった。

―ジュミがサンリョル(ZE:A シワン)の前で「ああ、辛い」と初めて本音を打ち明けるシーンも印象的だった。実際のコ・アソンもあまり自身が辛いなどの話はしないタイプのように見える。

コ・アソン:そうだ。性格的に辛いなどの感情をよく人と共有するほうではない。様々な試行錯誤を経験したら、一人で乗り越える方がいいと思えるようになった。

―それでも最近一番“大変だ”と思ったのはどんな時か。

コ・アソン:映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」(監督:F・ゲイリー・グレイ)を見た時。故ドクター・ドレー、SNOOP DOGと本当にそっくりの人たちが出てきてすごかった。ヒップホップのことはよく分からないのに本当に楽しかった。演出、演技よりも記録が本当に素晴らしかった。嫉妬というよりは何と言えばいいだろう。とりあえずすごかった。

―最近ハリウッドのマネジメントと契約を締結した。本格的な海外進出の一歩と見ていいか。

コ・アソン:まだ具体的な予定はない。「スノーピアサー」の時に短い英語の演技に挑戦したが、本当に簡単ではなかった。韓国語で演じる時は人物の情緒を込めて演じることができるが、英語だとまだ難しいので。悩みが多い。以前は機会さえ与えられれば大胆に全部こなせるような感じだったが、最近は何一つ簡単だと思えるものがない。演技をすればするほど依然もっと難しく感じる。

―最近も毎日日記を書いているのか。

コ・アソン:もちろんだ。毎日書くことに慣れてはいるが、それでも大変だったりもする。私なりの方法としては、手書きの時もあるし携帯電話に書く時もある。日記を書くことにおいて最も重要なのは、誰も見ないという前提で書くことだ。そうすることでもっと率直に、大胆に書いていけるような気がする。

記者 : キム・スジョン