「その日の雰囲気」ムン・チェウォン“実際の性格は無愛想…ラブリーになるのは難しい”

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写真=SHOWBOX
「笑わせてという注文が、ラブリーに見せるより簡単です」

韓国で14日に公開される映画「その日の雰囲気」(監督:チョ・ギュジャン、制作:映画社ムン)は良く知られているように、“ワンナイトスタンド”を素材とする。釜山(プサン)行きのKTX(韓国の新幹線)で偶然であった男女がこの“ワンナイト”をめぐって張り詰めた緊張感を感じあう瞬間、あの妙な雰囲気を描いた。「僕、今日特別なことがなければあなたと寝ようと思います」という、実際の状況ではビンタされかねないくどき文句を発する男ジェヒョンはユ・ヨンソクが、交際10年目の鉄壁女スジョンはムン・チェウォンが演じた。

「ワンナイトをするのか、しないのかを素材にした似ている映画の中で、うちの映画が一番優しいです。調味料もなく、エッチなコードも多くないし。良く言えばとても優しいです。正直に話すと最初の雰囲気は今とかなり違いました。もう少し刺激的で、少し『恋愛の目的』(監督:ハン・ジェリム) のような雰囲気でした。女優の立場からして戸惑うエッチなシーンもありましたが(笑) ただ、タイトルが持つ情緒的な雰囲気とはかけ離れた映画でした。しかし、ある瞬間から色々な人が加わるようになって、今の映画になりました。結果的に良くなったのかどうか客観的に判断することは難しいですが、タイトルに似合う情緒的な映画に仕上がったと思います」

ムン・チェウォンが演じたスジョンは、相手を傷つけるのが怖くて10年間の恋愛にピリオドを打つことが出来ない。恋人がくれたノートパソコンも故障寸前だが、義理のため捨てられない。優しいといえば優しく、苛立つといえば苛立つキャラクターだ。キャラクターに対する共感とは別に、演じる女優の立場からするとポイントがしっかりとしていない人物であるため、アプローチするのが難しかったそうだ。いつも極限の状況で奮闘する人物を演じてきたムン・チェウォンにとって挑戦といえば挑戦だった。

「演技していないような演技をするのが容易ではありませんでした。演技派の先輩たちも時にはふらっと平凡なキャラクターを演じるじゃないですか。それが内心羨ましかったみたいです。欠陥やトラウマのような角がないキャラクターであるため、見せられる要素が多くなく、難しかったです。例えるなら唐辛子、砂糖、塩のような、味付けがない人物ですから。私はシナリオにたくさんメモをして演技をする方です。そのメモがないとシーンの目的、私が抑えるべき演技のポイントを忘れてしまいます。これはドラマ『風の絵師』のとき、リュ・スンリョン先輩のびっしりと書かれていた台本を見て習った習慣です。今回の作品でも同じでした」

チョ・ギュジャン監督がムン・チェウォンにリクエストしたのはたった一つ、“愛らしいこと”だった。露骨に可愛いのではなく、自然ににじみ出る可愛らしさを求めたそうで、さすがのムン・チェウォンでも難しい課題だった。

「私、あまり愛嬌がある方ではなくて。生活の中でも細かくないし、多少無愛想ですが、演技をしながら少し柔らかくなったところがあります。むしろ『今日の恋愛』の時のようにふざけたり、笑わせて欲しいというリクエストの方が易しく、このように丸い注文の方がよっぽど難しかったです」

では、“ワンナイト”に対するムン・チェウォンの考えはどうだろうか。ムン・チェウォンはワンナイトで終わるワンナイトは反対、そうではないワンナイトなら十分ありえるのではないかと話す。そのため、ワンナイトを素材にした映画が作られるのではないかとした。

「ワンナイトが今日だけじゃなく、毎日の恋愛につながる可能性があるなら、雰囲気によって十分できる可能性もあります。単発で終わる出会いじゃなくて。映画でジェヒョンが『僕、今日特別なことがなければあなたと寝ようと思います』と話すじゃないですか。この台詞が『僕、今日あなたと一緒に寝たいです』ぐらいだったら少しマシだったと思います。韓国語は語尾によって違うじゃないですか。もう、台詞が行き過ぎていました」(座中爆笑)

ムン・チェウォンは自身について「知らないうちに相手にはまっていくタイプ」と話した。カッコいい決め台詞や雰囲気でノックアウトするタイプではないそうだ。

「男性を見るとき、一番最初に見るのはどこかと聞かれると性格と答えますが、一番最初に見えるのはどこかという質問には外見だと答えるしかありません。外見の中でも眼差しを見ます。眼差しが澄んでいるのか、濁っているのか(笑) 数回見ているとその外見ではなくても自分が好きになれるかを考えます。“あばたもえくぼ”というじゃないですか。最初は全部良く見えるから。外見を見なくても、相手についてもっと知りたいと思えるか、この人が愛されるだけじゃなくて、愛することをしてきたのか。そんなものを見るようになります」

記者 : キム・スジョン