岩井俊二監督「『お元気ですか』…韓国では今も流行っているんですか?」

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写真=映画「Love Letter」 スチールカット
日本語が分からない韓国人でも知っている「お元気ですか」という日本語は、映画「Love Letter」の名台詞だ。雪原で今はこの世にいない婚約者に「お元気ですか」と叫ぶ女性の姿は、21年前、多くの韓国の観客の心を掴んだ。そして「Love Letter」は多くの韓国人の心に冬、雪、初恋を代表する映画として刻まれている。

「Love Letter」が14日、韓国で公開21周年を記念して再上映された。岩井俊二監督の代表作である「Love Letter」は韓国で1999年に公開された当時、日本の映画としては初めて観客動員数140万人を記録してブームを巻き起こした。「Love Letter」は日本の文化に対して保守的だった韓国の人々の心を開くきっかけにもなった作品だ。

映画はヒロインの渡辺博子(中山美穂)がこの世を去った初婚約者、藤井樹から手紙を受け取ることから展開される物語を岩井俊二監督特有の繊細で美しい映像で描いた。落ち着いた雰囲気の中、後半になるほど募っていく感情が印象的な作品だ。中山美穂の一人二役の設定も話題を呼んだ。

「四月物語」「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」など様々な作品でこの世と人との関係を顕微鏡でのぞき、スクリーンに穏やかに描いてきた岩井俊二。「Love Letter」は監督自らも「自分の中の中心を描いた作品」と明かすほど監督の作品世界の要が描かれている作品だ。

先月の企画展に際して韓国を訪れた岩井俊二監督と書面によるインタビューを通じて「Love Letter」の再上映に対する感想と彼の作品世界に関する話を聞くことができた。

以下、岩井俊二監督の書面インタビューである。

写真=TVレポート DB
―「Love Letter」が韓国で公開21周年を迎えた。

岩井俊二:瞬く間に時が流れた。上手くやってこれたという気もするし、映画を作り続けることができて良かったとも思っている。「Love Letter」はロボットという制作会社で作ったもので、僕自身が作った制作会社ロックウェルアイズ初の作品は「スワロウテイル」だった。当時一緒に仕事をしていたメンバーの一人が長澤雅彦監督、もう一人はプロデューサーとなった久保田修さんだが、二人とも日本の映画界で大活躍している。

―「Love Letter」を起点に、日韓の大衆文化交流が活発になった。「Love Letter」が特に韓国で人気を博した秘訣は何だと思うか。

岩井俊二:恋人を失い、時間が経って手紙を通じて心が癒やされるというテーマが韓国の観客の心に響いたのではないだろうか。

―「Love Letter」の名台詞「お元気ですか」は現在も韓国で流行語であるということを知っているか。

岩井俊二:え、今も?

―「Love Letter」を作ることになったきっかけはあるか? この映画を通じて、どのような物語を伝えたかったのか。

岩井俊二:20代の頃から、手紙をモチーフにした映画を作りたかった。これは新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」に至るまで、僕の作品において共通的に繋がっているテーマでもある。近くにいない人々の間のコミュニケーションというのは、僕にとってとても大きなテーマである。ここではないどこか、今ではないいつかというテーマは、僕のフィルモグラフィーを貫く主題だ。言い換えれば、僕の中の最も中心を描いた作品が「Love Letter」である。

―今や手紙ではなく、SNSの時代だ。アナログを代表する岩井俊二監督が作るSNS時代の愛はどのような感じだろうか。

岩井俊二:新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」がそのSNS時代の愛を描いた作品だ。

―岩井監督に最も大きなインスピレーションを与えるものは何か。

岩井俊二:会話、人の話を聞くことだ。あまり親しくない人々が何気なく話す話を聞く時にとても興味深く、実際に映画の題材につながることもある。親しい人より、よく知らない人がする話、両親の話、日常の話が面白い。そのためか、人の話を少しでも詳しく聞こうとどんどん踏み込むような傾向がある。

―10年ぶりに「花とアリス」の続編をアニメとして作った。

岩井俊二:「花とアリス」を作った翌年、ふと花の花屋敷に関する話がしたくなった。花がなぜひきこもりになったのか、花とアリスがどのように出会ったのかを描きたかった。蒼井優、鈴木杏が出演する実写映画で作りたかったが、前日譚すなわち過去の話だったので、キャスティングが大変だと思った。だからアニメにしたこともあるが、元々アニメで作りたいとも思っていた。

―「花とアリス」当時は、蒼井優のどのようなところに惹かれてキャスティングしたか。

岩井俊二:役者をキャスティングする際には、その役者の潜在能力を見る。蒼井優は多くの潜在能力と魅力を持っている役者だった。

―フィルモグラフィーの中で、最も愛着のある作品は何か。

岩井俊二:すべての作品に毎回真心を込めるので、一つだけを選ぶことはできない。映画を作ることは恋愛をして、結婚をして、別れることに似ている。今は公開を控えている「リップヴァンウィンクルの花嫁」と恋愛の真っ只中である。公開後には、別れが待っているが。

―ジャンルや題材的にも、暗かったり明るかったり、両極端を行き来している。

岩井俊二:よくそのように言われるが、僕は自分の作品をそのように二分して考えたりはしない。すべての作品にそれなりの色とメッセージがあると思う。

―印象深く見た韓国映画はあるか。

岩井俊二:最近、キム・ギドク監督のDVDを何枚か買った。友達に勧められたので。

―次回作の予定は?

岩井俊二:映画化のために用意した企画が何本かあるが、どの作品を先に手掛けるようになるかは未定だ。新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」のPRのために韓国をもう一度訪れる予定だ。その際、韓国の観客とまた楽しい時間を過ごせることを期待している。

記者 : キム・スジョン