東方神起、SHINee、EXO…“SMの振付師”シム・ジェウォン「SMパフォーマンスの中心に立っている」

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パフォーマンスがないアイドル音楽を想像すると、何か寂しい感じがする。アイドル音楽は歌、ビジュアル、そしてパフォーマンスという3拍子を揃えて繰り広げられるコンセプト音楽だ。そのうち、パフォーマンスは見る音楽の頂点を成す非常に重要な要素で、K-POPの韓流ブームの核心である。上手く作られた一つのポイントの振り付けが歌の人気をリードすることもある。アイドルがカムバックするたびに、YouTubeにたくさん掲載される海外ファンのダンスカバー映像もパフォーマンスの重要性を示す。そのため、パフォーマンスを作る振付師の役割もともに大きくなった。約3分間のステージのために、アイドルグループの後ろで汗を流す振付師に会ってきた。

シム・ジェウォン。SMエンターテインメントのパフォーマンスディレクター。“パフォーマンスディレクター”という言葉を韓国に初めて導入した人物。Eagle FiveとBlackBeatで活動した元歌手であり、SMで東方神起、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINee、EXO、Red Velvetなど、ほとんどすべてのアーティストのパフォーマンスを担当しているパフォーマンスディレクターだ。シム・ジェウォンは少女時代の「Into The New World」で本格的に振付師の道を歩んだ。2014年には東方神起のコンサート「T1STORY」を皮切りに公演演出家としてパフォーマンスディレクターの領域を広げた。

シム・ジェウォンは2015年にアイドルとして初めてソウルオリンピック公園体操競技場で5回の単独コンサートを開催したEXOの「The EXO'luXion」、BoAの世宗文化会館でのコンサート「NOWNESS」など、5回の公演の演出を務めた。迷いのない行動力はEXOの初の東京ドーム公演を通じて“最年少の東京ドーム公演の海外演出家”という記録を残した。すさまじい行動力だ。秘訣は何だろうか。

シム・ジェウォンとのインタビューはまるで自己啓発書を読んでいるかのように、たくさんのことを考えさせられた。彼は質問に答えるたびに「楽しかったです」を欠かさず入れていた。「天才は努力する者に勝てない、努力する者は楽しむ者に勝てない」という言葉がある。シム・ジェウォンがまさに天才的な才能で努力し、仕事を楽しむ完璧な人だった。彼は謙虚な態度で手を振ったが、プレッシャーさえも自分に対する信頼と仕事の楽しさに昇華させる前向きなエネルギーを見ると、納得がいく。公演演出家としての彼の最高速の歩みは理由がある歩みだった。よくSMについて“黄金のスプーン”の環境と言っているが、“黄金のスプーン”のシステムと成功のためにどれだけ多くの人々が努力しているのかを垣間見ることができる。

シム・ジェウォン振付師:東方神起、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINee、EXO、Red Velvetなど

―新年を迎えたので、昨年2015年の活動を振り返ってみたいと思います。EXOの東京ドーム公演とBoAの世宗文化会館でのコンサートを担当しました。振り返ってみてどんな1年でしたか?

シム・ジェウォン:実は大晦日に自分でもどんな1年だったのか振り返ってみたかったのですが、時間がありませんでした。2015年の大晦日も仕事し、元日も作業していました。今考えると2015年は夢のような1年でした。SMでパフォーマンスディレクターとして仕事をし、いい機会があって演出家としてもデビューしました。1年間演出家として精力的に活動しました。コンサートだけでも5つの作品を担当しました。海外ツアー、日本ツアーのような公演までを合わせると、本当にたくさんの仕事をしました。コンサートはコンサートに必要な仕事、振り付けを作ったり、ステージを演出したり、本当に仕事ばかりしていました。嫌だったとか大変だったとかではなく、本当に楽しかったし、夢を抱くことができて幸せでした。自分の夢を実現できて本当に嬉しいです。やればやるほど、やることがたくさんあって、学ぶこともたくさんあるのが良いです。今も勉強しています。

―仕事の連続ですね。休み時間もなさそうです。

シム・ジェウォン:僕は自分がやっている仕事をとても愛しています。素晴らしい方々に出会って、何かを作り上げるのが好きです。常に良いというわけではありませんが、休みの時はできれば違う国へ行って、違う文化に接しようと思っています。プロジェクトが終わったらどこに行こうかと考えるのも好きです。

―単純に振り付けを作ることと公演の演出をするのはまったく違う領域ですが、シム・ジェウォンさんの領域を広げることができたと思います。いつから公演演出に関心があったのですか?

シム・ジェウォン:幼い頃、歌手を始める前からステージを総合的に作る人になりたいという漠然とした夢がありました。それが演出家だとは思いもよらなかったですし、プロデューサーにならなくちゃと思っていました。Eagle Fiveというグループで活動していた時も振り付けを自分で作りました。BlackBeatの時も一緒に振り付けを作りました。作りながら表現することに慣れていました。もし、ステージを総括的に作るとしたら、あれこれやってみようと思いながらイメージを作りました。絵だけで表現するより、それを作った時の気分も一緒に考えました。自分が幸せで、かっこよくなければいけないと思っていました。頭の中でたくさん想像しましたが、実現できるように作らなければならないので、舞台装置、カメラ、それを支える照明等々、実現できる技術にも関心を持つようになりました。自然に近くで見て、経験したらそのようなノウハウを築くことができました。ミュージックビデオの経験も多かったし、SMのアーティストたちのほとんどの作品に参加していたので、現場ディレクション、ステージディレクションなど、自然にノウハウを築いていたら、コンサート演出まで辿りつきました。ラッキーでした。特に教わったわけではありませんが、素晴らしい環境の中で学ぶことができたようです。

―EXOのコンサート「The EXO'luXion」で東京ドーム公演を演出することになり、東京ドームの最年少海外演出家になりました。東京ドームは象徴的な公演会場です。演出を引き受けた時の心境はどうでしたか?

シム・ジェウォン:単純に僕が偉いのではなく、EXOのおかげで一緒に力を合わせて素晴らしいステージを作りました。今、考えても夢のようです。東京ドームに行くと歌手たちは謹厳になります。“果たして”という単語が頭に浮かびます。果たして上手くできるだろうか? 果たしてすべての観客を、スタッフたちを、EXOのメンバーたちを満足させることができるだろうか? すでに出来上がっている作品でも不安になります。EXOのおかげで演出を務めることになって、僕には光栄で自分を振り返ってみる機会になりました。若い頃、僕は果たして東京ドーム公演を演出することができるのか考えたことがありましたが、思ったより早くチャンスが来たので、次は何をすればいいのか悩んでいます。

―自分が演出した東京ドーム公演を目の前で確認した時どうでしたか?

シム・ジェウォン:公演を見ていた時は東京ドームという場所は重要ではありませんでした。EXOが上手くやっているのか見ていました。3日間公演をしましたが、2日目の公演まではノートに書き込みながら見ました。1日目よりは2日目を、2日目よりは3日目を満足させる公演にしなければならないので。公演の前までは場所が与える意味が大きかったのですが、そのようなことよりアーティストたちが上手くやっているのかをチェックしていたので忙しかったです。

―1つの公演を演出した後にツアーを回りながら補完し続け、国ごとに特徴も考えなければなりませんね。

シム・ジェウォン:そうです。公演環境やその国の特徴と趣向があります。大変ですが楽しいです。公演で計画していたことを観客に伝えられない場合もあって、パフォーマーの立場では失敗や成功について話すこともあります。しかし、そのような過程があってこそ、成功することができます。アーティストも経験しながら判断力を鍛えることができます。勇気を持って行動しなければ自分の殻を壊すことができません。文化が違うところで自分の考えを話し、自分を表現することは簡単ではありませんが、経験を重ねるたびに自信も湧いてきます。

―東京ドームというとても大きなところでの演出と世宗文化会館という比較的小さな規模の演出を両方とも務めましたが、規模による魅力も違うと思います。

シム・ジェウォン:規模とは関係なく、世宗文化会館というタイトル、東京ドームというタイトルは僕にとって両方とも重いです。場所が与える象徴的な意味も重いですが、BoAというアーティスト、EXOというアーティストが与えるプレッシャーも大きいです。今まで耐えられたのは、アーティストたちがいつも「兄さんだから」と信じてくれるからです。ありがたくも信じてくれて。失敗をしたり、弱い人間なので、アーティストから信頼されていること自体がありがたくて、プレッシャーでもあります。アーティストたちが望んでいることは画期的なことではなく、良いコンサートにするということですが、演出家の立場としては画期的でセンセーショナルな公演に作ることも僕の意欲です。そのバランスを取っていると、歌手たちに無理な要求をする時もあり、理解できなくてもやらなければならない時もあります。それを問題なく進めていけるのは信頼をベースにしているからです。BoAの場合、2014年にやる計画でしたが、僕が時間をとれなかったんです。そしたら、BoAが公演を延期してくれました。それだけ僕に信頼を寄せてくれました。

―信頼してくれるアーティストたちは本当にありがたいですが、プレッシャーの連続ですね。

シム・ジェウォン:プレッシャーの連続ですが、僕も実はアーティストたちがステージに上がる前までは自分が上手くやっているのかどうか、判断できません。今も企画していることがちゃんとできているのか分からないけれど、楽しくやっています。単純に楽しいという概念自体が楽しいです。スタッフたちも楽しいと言ってくれます。こうなれば順調なスタートです。ほとんどの公演がこのように始まります。コンサートの責任者、演出者ではあるけれど、主人公は歌手たちです。彼らのものだから寝る前もその歌手の曲を聞いて、運動をする時も彼らの曲を聞きます。少しでも理解するためです。彼らが何を語ろうとしているのか、何を表現したいのか理解しようと努力します。そのような努力で自然に彼らのファンになります。僕はアーティストたちに常に「僕が君たちを担当した以上、君たちを愛する」と言います。愛さなければなりません。それでこそ惜しみなくすべてをあげることができます。それに彼らをステージの上で少しでも目立たせたいし、おかしく見えることは望んでいません。そのように考えながら気を配れば、彼らが満足する、観客が満足するステージができます。

―色んな公演を演出してきて、すべての公演に満足していると思いますが、今でも心に残る公演はありますか?

シム・ジェウォン:全部がそうです。アーティストのために良いコンサートを作りたいという趣旨があり、EXO、SHINee、BoA、東方神起も皆笑いながら公演を終えてくれました。申し訳ない部分や、残念な部分がないように、僕がもっと頑張れたのにという心残りはありますが、終わる時に観客たちの表情を見ると分かります。観客の反応が良かったり、刺激的なパフォーマンスを見せることが良いと言うより、アンコール曲を歌う時も真心を込めて歌うのが素晴らしい公演だと思います。BoAはダブルアンコールに応え、2曲も歌いました。公演のタイトルを決め、そのタイトルに合う公演を披露するのは当たり前なことですが、公演に来ようとした観客の時間と努力、お金まで使っている彼らの心の中に少しでも物足りなさを残すのはいけないと思います。2時間以上も踊って歌うのは簡単なことではありません。特にSMの公演はパワフルなパフォーマンスが多いので、歌手たちができないと言う時があっても、なだめながらやらせるのも観客を満足させるためです。

―自ら音楽を手がけたこともありますか?

シム・ジェウォン:僕が考えている音楽を的確に表現できない時もあるので、そんな時は自分で音楽を作る時もあります。今は映像とも疎通しなければなりません。だから僕が考えている感性を表現できる人々と一緒に作業します。最近はBoAの実の兄であるクォン・スンウク監督と馬が合います。新たなことを始める時はたくさん話し合わなければなりません。1を表現したいのにその1が白なのか黒なのか、文字のフォントはMS明朝なのかMSゴジックなのかも分からない時があります。適当に表現する人もいますが、それに対する誤差を縮めるためにたくさん話し合います。1つの公演でも10~20回の会議をします。会議で出たアイデアは一つも残さず受け入れます。進化していくそのような過程が本当に楽しいです。

―頭の中では表現したいことをたくさん考えてますが、体がついてきてくれない時や表現力が足りなくて辛い時はありませんか?

シム・ジェウォン:それは、どれだけ粘り強く表現しようと努力するのかによって変わります。今、目の前に見えることは僕の考えではないかもしれないし、最後まで表現しようと努めたらできます。最初は上手く行きませんでした。時間が経つにつれて経験という土台ができ、システムに対して理解でき、そのシステムを覆すと違う結果が出ます。SMは良いシステムを持っているので、当たり前に良い結果が出ると思うかもしれませんが、本当にたくさん努力をしています。

―SMという心強い後ろ盾があるので、さらに大胆な試みができるのではありませんか?

シム・ジェウォン:大胆に試みることはできますが、むしろできないことも多いです(笑)

―SMの場合、システムが整っている方ですが、まだ韓国での公演演出には足りない点が多いです。全体的に公演市場を見た時、改善されなければならない点はありますか?

シム・ジェウォン:公演する人に対するリスペクト(respect、尊敬)です。作る人に対するリスペクトが必要です。彼らは単純に歌って踊る人じゃないんです。感情を表現する人で、その表現で感動し、人生が変わって、笑ったり泣いたりもする人たちです。昔よりはかなり良くなりましたが、ダンサーやスタッフを接する時、僕から変わらなければならないという考えで尊重してたくさん話を聞こうとしています。演出家はボスではなく、一緒に公演を作っていく人です。彼らの話を聞こうとしています。僕が変わってこそ彼らも変われると思います。これが今後直していかなければならないことですが、僕がこんなことを考えたらパフォーマーも観客を尊重し、観客もパフォーマーを尊重する、そんな関係が徐々に築かれていくと思います。

―SMの公演はほとんどがファンダムを基盤にする公演なので、一般の観客を対象にする公演と違う点があると思います。

シム・ジェウォン:ファンダムを基盤にするから簡単だろうとよく思われますが、観客のレベルが高いんです。経験が多く、公演を見た回数も多いからです。

―SMの公演の場合、特定の世界観が登場したり、ミッションを解決するストーリーテーリングが必ず公演に入るように見えます。

シム・ジェウォン:実は「SMは○○だ」と言うような感じが嫌いです。EXOは世界観を持ったグループで、彼らの能力を表現したいと思いました。EXOの1stコンサートのステージのディレクションをしましたが、自分自身が惜しくて残念でした。EXOの能力はこれ以上なのにこれしか表現できないのかという渇望です。その後、EXOの2ndコンサートの演出をしないかと提案された時は引き受けるかどうか1ヶ月悩みました。ホットなアイコンであるEXOのコンサートを演出すること自体を重く感じたのですが、(東方神起の)チャンミンが「EXOは兄さんがやらなければならない」と僕に信頼を寄せてくれました。EXOのコンサートの演出を引き受けて最初にした作業がネーミングでした。目的意識を付与したかったのです。「EXO' luXion」はEXOとEvolution、Revolutionの合成語です。覚醒、発展という意味を込めました。最も重要だったポイントは、発展した姿を見せることも重要でしたが、公演の本質を分かってほしいという考えでした。EXOは観客と目を合わせながらコミュニケーションを取ったことがなかったんです。メンバーたちはステージの上でシャイで、持っているものを上手く表現できなかったんです。そんなメンバーたちが存分に表現できる空間をたくさん作ろうとしました。観客と言葉で会話するのではなく、音楽で会話してほしいという考えで公演を構想しました。

―「EXO' luXion」の公演で印象深かったステージの一つはカイとセフンの水の上のパフォーマンスでした。

シム・ジェウォン:僕が確信していることは、歌手が持つ表現力があるということです。水の上でパフォーマンスを披露すると、誰もがかっこよく見えます。でも、僕はその上に2人が持つ表現力を信じました。彼らが内面に持っているものを表現したいということが表情、目、口の動きからすべて出てくるはずだから、「うわ、イベントだ!」という感じではなく、心に残るステージを見せたいと思いました。単純にセクシーなパフォーマンスではなく、話をしたかったんです。この曲を体で話したかったのです。

―頭の中に常にアイデアを持っているようです。シム・ジェウォンさんを知っている数人の関係者に聞いたら、シム・ジェウォンさんのことを“天才”と言っていました。

シム・ジェウォン:僕は天才ではありません! 上手くできることがこれであるだけです。面白さを感じる要素が僕の周りに多いんです。僕は携帯電話でも映像や写真、幻想、技術に関連されたものだけ見ます。それが大好きです。それを見るだけでも時間が足りないと思います。DJもやっていて、一日中時間が足りないと感じますが、これを仕事とは思っていません。最近、大きなテレビを買いました。映像、DVD、Blu-rayをより詳しく見るためです。また、オペラも見始めました。オペラについてまったく知らないのですが、知らない状態で見たらもっと新鮮でした。なぜそのように作るのか知りたいことができて、正解ではないけれど違う解釈をするのも自分なりに面白いです。

―頭の中の想像を実現させること自体が本当に面白い作業のように聞こえます。

シム・ジェウォン:とても面白いです。僕は恵まれていると思います。周りの人と会話しながら「僕にこんなアイデアがあります。どうですか? どう思いますか?」と聞きます。僕が投げかけた言葉で彼らが考えて、僕の考えと話が絶対に正解ではなく、答えに近い感じかもしれませんが、お互いに話をしながら発展させていくその過程が本当に好きです。

―会議ではみんなそれぞれ想像を広げるのでしょうね。

シム・ジェウォン:僕はそうします。仕方のないシステムのせいで閉ざされている部分がありますが、またそれを引き出すことも面白いです。僕は会社に所属していますが、職員でもなく、アーティストでもありません。曖昧な存在かもしれません。でも、作る仕事をやっていて、この会社も18年目です。長い間いたから多くのことをしないだろうと考える人もいますが、それはまったく違います。

―先ほど、東京ドームという目標の後を悩んでいると話しました。東京ドームの次の目標は何ですか?

シム・ジェウォン:日本は文化的に発展した国で、文化のレベルもすごく高いです。僕が作ったコンサートをそんな日本に輸出したいです。韓国で行われるコンサートは違うという概念を与えたいです。韓国にしかできないことがあります。外国人が韓国に来て見ることができるように、コンサートを1週間ではなく、2~3週間ぐらいやりたいです。SHINeeや東方神起のコンサートは韓国がオリジナルという感じがあります。韓国のプロダクションは仕事がしやすくて、正確な話ができる場合があります。外国に出るたびに努力しますが、特性上できない場合もあります。偉そうに聞こえるかもしれないが、外国人を誘致できるアイコンになることが夢です。

―そのためには韓国の公演会場のレベルも向上しなければなりません。

シム・ジェウォン:文化のコンテンツと関連して人々が頻繁に訪れて、K-POPの魅力を感じるほどのレベルがある観客なのに、それを支えられる公演施設が残念なのは事実です。それは発展しなければならない課題だと思います。

―SMに18年間いて多くのアーティストを見てきました。成功するアーティストに共通する特徴はありますか?

シム・ジェウォン:あります。アーティストにいつも話していることですが、リハーサルと練習に臨む姿勢を見れば分かります。リハーサルや練習を行う時、どれほど集中するかがステージですべて表れます。一貫性のある歌手は一貫性を持って上手く披露します。実は認知度や関心はその時代の流れや運などがついてこなければならないのですが、ステージのクオリティに関してはただそれだけが決めます。そして、クオリティは歌手の生命力を示します。自分を準備する時間なのにそれを上手く準備できない歌手が、ステージでショーを上手く披露できるはずがないんです。

―振付師としても活発に活動していますが、振り付けと公演演出には大きな違いがありますか?

シム・ジェウォン:振り付けは3分で、公演は2時間半です。振り付けはシーンで、公演は一つの映画です。プレッシャーのレベルが違って、中で起こるストーリーも違います。映画を見る時、いつも思い浮かぶ名場面があるように、公演も同じです。その中にドラマチックなストーリーを付与します。実は僕は作業する時、各セクションにエネルギーをたくさん入れます。すべてを引き立たせて強烈なイメージが残るようにするのではなく、印象深いものを入れるんです。「EXO' luXion」の時、EXOが遊ぶセクションを設けましたが、最初はEXOがそれを理解できず、よく分からないという表情を見せました。コンサートを行った後にチャンヨルとカイが「あ、何の話なのか分かった」と言いました。観客とコミュニケーションをしたんです。それで僕は成功したことになります。ベクヒョンも「兄さん、どんな感じで遊べばいいか分かりました」と言いました。「EXO' luXion」というタイトルに盛り込まれた覚醒、発展をEXO自身が経験したんです。EXOから「兄さん、面白いです」と言われましたが、僕はその言葉が目標でした。BoA、東方神起は公演を知っています。僕がある装置を入れると、その意味を知っています。むしろ違うアイデアを提示することもあります。公演は本当に大変です。アーティストはそこで感情をコントロールして、カメラも気にするなどやらなければならないことが多いんです。でも、彼らが面白いと表現してくれることで僕は満足します。

―公演演出家を夢見る人にアドバイスをお願いします。

シム・ジェウォン:僕も習ったことはありません。運が良くて、僕なりに努力もしました。諦めず、自分の選択が間違っていないということを自ら証明しようとしました。絶対に諦めませんでした。僕がやることに対して人々は間違っていると言うことが多いです。最初、ポッピンを踊っていた僕が女子ダンスを踊ってみようかなと思った時、知り合いが「お前が? お前はできない」と断言しました。でも、努力して少女時代の振り付けを担当したように、他人の視線に合わせて自分自身を断定してはいけません。自分の考えが合っているかどうか自分自身も分かりませんが、少しずつ証明していけば、それが自分の道になると思います。残念なのは、こんなことを教えてくれる文化的な教育施設があまりないということです。

―今回のインタビューを皮切りに、少しずつ知らせていけばいいと思います。

シム・ジェウォン:人々からすれば、僕はある位置にいる人だから自分なりに悩んで、自分が何をする人なのかについてもたくさん考えました。今も同じようなことを悩んでいて、どう生きるべきかについても悩んでいます。この悩みを他の友達と共有することもたくさん考えています。以前は自分は何でもないから人の前で話すことはできないと思っていました。今も演出家、振付師と呼ばれたら恥ずかしくなります。まだ悩みが多く、やりたいことがたくさんあります。一つの方向だけを見ずに、複数のものを見ようとしています。僕とファン・サンフン兄さんはお金を考えてこの仕事をしているわけではありません。3~4年前から多くの人に教えてあげようと思って、講堂を借りて僕たちの話を聞きたいと思う人たちを集めて話することを考えました。でも、体は一つで、時間は制約的で、僕も人間だから、休む時間が必要でまだ実現できていません。努力しなければなりません。

―振付師、演出家という呼び方が恥ずかしいと言いました。そのおかげで、“パフォーマンス・ディレクター”という言葉が生まれました。自分で作ったと聞きましたが。

シム・ジェウォン:振り付けの仕事を始めた時、振り付けだけ担当するには僕のやることが多かったのです。衣装、映像、アーティストの心構え、現場で突発的な状況の対応、システムなどすべてのことに対してたくさん知っているから、アーティストが僕に頼ってきます。僕はアーティストに会った時、まず最初に「体どう?」「気持ちどう?」と聞きます。心が安定した後に話したいことを言います。元々は振り付けだけを担当していました。少女時代の「また巡り逢えた世界」を作業しながら、振り付けだけ作って終わるのではなく、どんなテンションでステージに臨むようにすべきか、その次は何をすべきかなどそのステージが最後ではなく、その次が重要だから管理をしました。だから僕の役割は単純に振付師に終わりませんでした。“パフォーマンス・ディレクター”という仕事をすべきだと思いました。最初はサンフン兄さんから「僕たちが? そんな仕事がどこにあるの?」と言われましたが、SMというシステムだから可能でした。

―プライドも高いと思います。

シム・ジェウォン:僕が自信を持って言えるのは、他の人は僕たちのようにできないということです。僕は歌手の経験があるから他の人と違って愛情度が高いのです。最近はある歌手から僕のプロジェクトでもないのにケアしてほしいと言われました。それが本当に嬉しくて、僕を信じてくれることに感謝しています。信じてくれることは奇跡のようなことです。とても感謝すべきことです。その信頼のために今まで働いてきました。これからもその信頼のために働くと思います。その信頼を得るためにたくさん努力しました。

―それでは、2016年の目標は何ですか?

シム・ジェウォン:2015年の大晦日に作業しながらもう少し狂って生きようと思いました。やりたいことがとても多くて、やらなければならないことも本当に多いです。僕と作業している人もとても多いです。Beat Burgerとして音楽活動を行っていて、クルー活動もやっています。ハハ。Beat Burgerのプロジェクトはクリエイティブな人同士が集まって作品を作ろうという趣旨です。昨年はあまり活動できませんでした。今年は創作活動に渇望している人たちが集まって、音楽活動、演出家活動をたくさん行いたいです。もう「僕はこんな人です。こんなことは皆さんも十分可能です」と話したいです。負担感や圧迫感も大きいですが、本当に面白いです。その圧迫感を楽しめるようにアーティストが信頼をくれるからです。

―自分でステージに立つことに対する渇望はありませんか?

シム・ジェウォン:だからDJや音楽活動をやっています。僕がステージに立ちたいということよりも、その感覚を失わないためです。感覚を失ったら、アーティストに話せることがないんです。音楽が変わるようにステージも変わります。アーティストのようにステージの前に立つことはないから、経験を着実に積み重ねてチャンスを逃さないようにしています。そうしてこそ、アーティストに次を教えることができます。

―最後の質問です。シム・ジェウォンさんにとって音楽とは何ですか?

シム・ジェウォン:人生だと思います。シム・ジェウォンの人生はダンスをとても愛していますが、音楽がなければダンスも存在しないと思います。僕は“興”が大好きで、その“興”を最も高く引き上げることが音楽です。飼っている猫の名前も“ミュージック”です。僕は和声やコードなどは知りません。でも、音楽について誰よりも楽しく、面白く表現する自信はあります。これからも音楽に情熱をたくさん注ぐと思います。音楽と一緒に多くの時間を過ごしたいです。それとともに、ダンスを踊りたいです。これからもそうだし、僕の力が届くところまで、アーティストたちが僕を必要とする時まで年を取っても音楽を聞くつもりです。そのためには、僕の耳が耐えてくれなければなりません(笑)

記者 : パク・スジョン、写真 : パク・ギュヨン、翻訳 : チェ・ユンジョン、ナ・ウンジョン