「不躾にゴーゴー」イ・ウォングン“ゾンビのようになりながら撮影…手にしたものが多い作品です”

TVREPORT |

MBC「太陽を抱く月」の放送終了後、インタビューでイ・ウォングンに出会ったことがあった。慣れていないような感じで照れていた姿が印象に残っているが、3年後に主演として浮上して現れた彼には男性の香りが漂っていた。

イ・ウォングンは最近韓国で放送終了となったKBS 2TVドラマ「不躾にゴーゴー」(脚本:ユン・スジョン、チョン・チャンミ、演出:イ・ウンジン、キム・ジョンヒョン)で“世界のどこにもいないような全校1位”のキム・ヨル役を務め、熱演を披露した。イ・ウォングンは実際の性格はキム・ヨルと全く違うと伝え、「キム・ヨルは声のトーンも高く、早口で、リーダーシップも強いです。僕は声が低く、話す速度も遅いです」と話した。目で笑う笑顔の奥にある真剣な魅力がより一層素敵な、青年という呼び方がとても似合う俳優が他でもなくイ・ウォングンだ。


「不躾にゴーゴー」で務めた初主演、そして手にしたもの

イ・ウォングンにとって「不躾にゴーゴー」は初の主演作だ。そこでプレッシャーも大きく、自身の実際の性格とは正反対であるキム・ヨルを上手く表現できるか悩みも大きかった。「キム・ヨルはイ・ウォングンでなければなかった」という好評を受けるほどキャラクターを見事に表現した俳優に隠されていた悩みであった。

「現場に適応するのが難しかったです。映画は細かく監督と話し合って、長い時間をかけて臨みますが、ドラマはそうではないでしょう。映画『女教師』の撮影の関係でドラマの撮影は他の俳優たちより少し遅れて始めました。監督とは携帯電話のメールで話し合いました。ですが、それは現場で演技をすることとは違いますよね。そこで、最初は現場に馴染むことが難しかったのですが、監督とたくさん話し合って、監督がプロフェッショナルに軸をつかんでくださったので、無事終えることができたと思いますし、感謝しています。また、撮影現場ではみんな疲れているので笑顔を見せようと心かけていましたが、それでももっと見せれば良かったと思っています」

キム・ヨルは全校1位の成績を誇り、心配事は何一つもなく余裕があって自信感に満ちている人物だ。笑顔も冷たく見えるクールな美男子だったが、カン・ヨンドゥ(Apink チョン・ウンジ)が好きになってからは優しく温かい男性に変わっていった。特にイ・ウォングンはチョン・ウンジを目で笑う笑顔で見つめ、告白シーン、キスシーンなどでときめく感情を表現し、女性視聴者の心を掴んだ。実際のところ、状況や台詞そのものは現実感がない部分があったが、イ・ウォングンの演技がバランスをとる役割を果たした。

「学園ドラマなので、多少の大げさ感は必須要素ではあります。キャラクターそのものが序盤には図々しい一面もあったのでもっとそう感じたかもしれません。そしてキム・ヨルは全校1位なので普段はあまり使われない言葉も使います。“既得権”のような言葉?(笑) 自分の自慢をするのも違和感があったのですが、このすべてがキャラクターに対する追加的な説明だと思います。こんな子がなぜ父に対して心の扉を閉ざしたのか、ヨンドゥにはなぜ可愛い子犬のようになるのか、そのようなものが説明されていると思います。ヨルにはこれだけの痛みがあって成長したということを見せることができたと思います」

「不躾にゴーゴー」は放送枠と時期が遅く決まったドラマであり、撮影は生放送に近かった。俳優たちもスタッフも数日間も徹夜をする苦難の撮影が続いた。イ・ウォングンは「あの頃は本当に大変でした。けれど、今は思い出になっている」と笑顔を見せ、作品の撮影を振り返った。

「正直、第3話からはほぼ生放送でした。一日も休んでいません。宿舎から撮影現場までの移動時間が30分でしたが、その30分で寝たり、チアリーディングは火曜の撮影が5時頃に終わるとソウルに8時頃に着いて習いました。3日ほど寝れずに撮影をしたり…髪は臭いしメイクも落とせないので肌が荒れたりもしました。僕はほぼゾンビのようになって歩く時も人に支えられていました」

地方でほぼ生活していたので、「不躾にゴーゴー」の生徒役たちはドラマのように実際にも仲良くなった。イ・ウォングンは「不躾にゴーゴー」について「一つも失ったものがないドラマ」と話したが、同作を通じて最も多く手にしたのは“人”のようであった。特にイ・ウォングンは劇中のカン・ヨンドゥと同じく実際にも情熱が溢れていたチョン・ウンジを高く評価した。

「ウンジが本当に頑張っていたので、僕もそのエネルギーをもらったような気がします。台本もほぼリアルタイムで書かれていたので、台詞が長いと熟知できる時間が足りなく、NGがよく出がちです。そんな時でも自身の演技に満足できていないウンジの姿を見て、意欲がすごいと思いました。女性なので、体力的に辛いのではと思ったのですが、体力も良いです。もっと重要なシーンを控えているのに、僕と台詞の練習をしてくれた時もありました。そのような部分に感謝していますし、申し訳ない気持ちもあります。僕のほうが年上で男性なのに、あまり配慮できなかった気もしますし……ウンジはとても明るくで澄んだ子なので、俳優たちだけでなくスタッフにも笑顔だけを見せていたと思います」

このように俳優たちの情熱は熱かった作品だったが、「不躾にゴーゴー」の視聴率は相当の歯痒さを残した。残念ながら同ドラマの番組史上最高視聴率は4.3%(全国基準)だった。若者たちの傷と夢、希望をリアルに描いた「不躾にゴーゴー」は10~20代の視聴者の多くの共感を得たが、好評は視聴率につながらなかった。視聴者たちは「冬休みの時期に放送すれば良かった」「シーズン2が見たい」など残念だという反応を見せた。

「視聴率が残念ではなかったと言えば嘘になります。努力と情熱、ファイトを誓った気持ちを単に数字だけで表現するのは寂しいことです。それでもみんな情熱を盛り込んで臨みましたし、すべての心と力を注いだので後悔はありません。最初から監督は視聴率云々は止めようと話していました。『視聴率に一喜一憂しないで、ドラマが終わった時に俳優たちが成長していて、上手くやっていけるように導く』とおっしゃいましたが、それが全部実現しました。とりあえず、失ったものよりは手にしたものが多い作品です」


“目で笑う笑顔”、その奥の魅力

色白の美肌に高身長そして“目で笑う笑顔”まで。非現実的な外見の持ち主であるイ・ウォングンは“イケメンの手本”とも呼ばれている。しかし、彼は自身の外見は優れていないと意外な発言をした。

「今回の作品を撮影する際も、僕はハギョン(VIXX エンの本名)兄さんとジスのほうがカッコいいと思っていました。学生時代にも、友人たちのほうが僕より背が高くてカッコ良かったです。目で笑う笑顔は父親譲りです。他人のように街を歩いていても、父を見ると誰から見ても僕と親子関係であることが分かります。僕の目は優しい感じですが、不思議なことに笑っていないと鋭く見えます。様々な一面が見える目なので、そのようなところは父に感謝しています」

イ・ウォングンは2012年にMBCドラマ「太陽を抱く月」でウン(ソン・ジェリム)の子役としてデビューした。新鮮な顔立ちと安定した演技で人々の注目を浴びたイ・ウォングンは「ファントム」「一抹の純情」「熱愛」「ダレになったチャン・グク」「ジキルとハイドに恋した私」などに出演し、フィルモグラフィーを積み重ねた。「不躾にゴーゴー」で制服姿のイ・ウォングンに違和感がなかったのは、「一抹の純情」でチェ・ジュニョン役を務め、初々しいラブストーリーを演じたことがあったためだ。当時から2年後である今、主演に跳躍したイ・ウォングンが再び制服を着ることになったのだ。イ・ウォングンは「不躾にゴーゴー」だけでなく映画「女教師」でも高校生に扮した。

「25歳で制服が着れるというのは、僕の一つの長所だと思います。制服というのはとりあえずもっと年をとると着れなくなるものですから。僕の武器であり、長所だと思っていますが、短所としてとらえるなら、イメージが限定されるという点があります。それでもそれは自然に乗り越えることができると思います」

映画「女教師」は「巨人」で注目を浴びたキム・テヨン監督の作品だ。キム・ハヌル、ユ・イニョン、イ・ウォングンが主演を務め、二人の女教師と弟子の三人の間で展開されるストーリーを描いた。同映画は“破格のラブストーリー”として知られているが、イ・ウォングンは「破格的な映画ですが、ラブストーリーが破格的なものではありません」と訂正し、「『人の嫉妬の果てはどこか』というメッセージを投げかけることのできる映画です。破格的なラブストーリーがあるかもしれませんが、美しいラブストーリーになれる人間味溢れる映画です」と説明を付け加えた。ベッドシーンの有無については「内緒です」と答え、お茶目な笑顔を見せた。

言葉からも真剣さが漂っているイ・ウォングンは実は詩を書いている男性だ。悲しい映画、絵、エッセイが好きだという彼は愛と懐かしさに関する詩を書いているという。「不躾にゴーゴー」の撮影でしばらく書くことができなかったというイ・ウォングンは「欠陥人間」について書くつもりであると話した。欠陥を持っていて、現実に満足しない人間の姿を表現するという。他の趣味は生け花だ。傲慢になることなく、慎重で静かな性格のイ・ウォングンは“現代版の士”のようだ。

自ら認めているほど劇中のキム・ヨルとは違うイ・ウォングン。似ているところを探してみると、“男としての義理硬さ”なのではないだろうか。イ・ウォングンは芸能界の親友について質問されると10歳も年齢が離れているキム・テフンを挙げ、周りを驚かせた。「僕のモットーであり、メンター(良き助言者)のような方です。『一抹の純情』の時に親しくなりましたが、『インタビューで僕の話をすると言ったのに、なぜしない』と冗談を言うほど親しいです。兄さんが社会についても演技についても友情についてもたくさんアドバイスをしてくれます。僕の道標のような人であり、この兄さんに会えたことに本当に感謝しています」

最後の一言としてイ・ウォングンはVIXXのエンを応援し、義理堅い一面を見せた。「この間、VIXXがニューアルバムを出しました。ハギョン兄さんはステージの上でとてもセクシーです。セクシーな魅力が溢れていますので、ファイトしてVIXXが大ブレイクしてほしいです」

「綺麗な年、25歳」という歌があるように、今のイ・ウォングンは輝いていた。それでも夢の多い彼はまだ先は遠いと言う。イ・ウォングンの辞典の中の「成長」という言葉は、「終わるまで終わりじゃない」と定義されているのではないだろうか。「一本一本の作品が終わった時に、僕が成長していればと思います。視聴者のみなさんが『努力してまた成長した』『次回作ではどんな姿を見せるだろう』と思うようにしたいです。素敵な褒め言葉でありますし、究極的な目標でもあります。僕もその目標を持って役者としての道をずっと歩いていきたいです」

記者 : ソン・ヒョジョン、写真:キム・ジェチャン