「ミセン-未生-」イ・ソンミン“日本で注目している演技派俳優は…北野武さん竹中直人さんを尊敬しています”

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先日開催された、東京ドラマアウォード2015<海外作品特別賞>受賞をはじめ、本国では各ドラマ賞を総なめにし、“未生シンドローム”と呼ばれる社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ「ミセン-未生-」が現在DVD発売中、好評レンタル中。熾烈な競争社会を背景に、今の時代を生きる人々の哀愁や人生哲学が多くの視聴者の胸を熱くさせた本作品は、“これまでの韓国ドラマの常識を覆した”“働く事の素晴らしさを感じさせてくれるドラマ”として、大絶賛された。
本作でZE:Aのシワン演じるチャン・グレの上司オ・サンシクを演じたのは、映画出演作は30作品以上、ドラマは40作品以上に出演するベテラン俳優イ・ソンミン。滅多にメディアの取材を受けない事で有名な彼が、本作について語ってくれた。

―オ・サンシクを演じるにあたり、監督とはどのような話をしましたか? 監督からは、演技についてリクエストやアドバイスはありましたか?

イ・ソンミン:監督とは、多くの話をしましたが、ただ彼が私を“信じる”といった事が記憶に残っています。監督は、とても有難いことにそのまま私を信じてくれました。実際にはこの言葉が一番恐ろしくて負担になるのですが(笑) そして小さいことは現場で相談しました。彼の演出に驚いたことが多かったです。

―ドラマの撮影現場では、共演者の方と演技について議論したり、話し合ったりしましたか? このシーンは良く話し合った! といったシーンがあれば教えて下さい。

イ・ソンミン:劇中にアラブメッカフォンの契約の為、ムン社長に接待をしなければならないシーンがありました。その時、俳優同士たくさん相談をして準備しました。シワンの振りつけの先生まで来て現場で踊りを習ったし、小道具も相談して準備しました。ところが……振付の踊りを踊るには、もっと酔っぱらっていなければならない状況だったので、振付どおりには踊らずにただ、思いのままに踊るしかなかったんです。その時、営業3チームの俳優がそのシーンを作り出そうとするチームワークは最高でした。

―営業3課が本当に心に残りました。グレを演じたシワン(ZE:A) さん、キム代理を演じたキム・デミョンさんとのご共演はいかがでしたか? 3人のシーンもとても多かったですが、撮影の合間の現場の様子もお聞かせ下さい。

イ・ソンミン:いつも一緒に控え室にいました。いつも一緒にご飯を食べて、コーヒーを飲んで、一緒に寝て……。自分の撮影がなければ、撮影がある俳優に応援メッセージを送ったりと、あまりにも愛らしいチームだった。最近も時々連絡する。そのチームワークが懐かしいです。

―印象に残っているシーンやエピソードはありますか?

イ・ソンミン:劇中グレが屋上でオ次長のクリスマスカードを広げて、そのハガキが飛んで行く場面はドラマ「ミセン」の最高の名場面だと思います。「これ以上ないほどに良くやった YES!」という文章が印象深いですね。そして、ヨルダンでの撮影が記憶に残っています。とても美しくて機会があれば必ずもう一度行ってみたいと思います。

―本作には多くの名セリフが登場しますね。イ・ソンミンさんの中で印象に残っているセリフがあれば教えて下さい。

イ・ソンミン:多くの名セリフがあります。先ほど話したオ次長がグレに送ったハガキのシーンもそうですし、オ次長とグレが屋上で話した「囲碁にはこのような言葉がある。ミセン、ワンセン 我々はまだ“ミセン”だ」このセリフは心に残っています。

―本作品は、韓国で社会現象になりましたね。放送中は居酒屋では絶えずこのドラマについて話し、電車の中では多くの人が動画を見ていたと聞いています。イ・ソンミンさんのご友人やご家族のドラマに対する感想や反応はいかがでしたか?

イ・ソンミン:もの凄い反響でした。同じアパートの住民たちもそうでしたし、アパートに住む子供たちも私を見ればオ次長、オ課長って呼んだぐらいですから……。ヨルダンで会ったある企業駐在員の家族は、原作の「未生」の話をしながら自分の夫の話のようだと。ドラマをよく作ってくれと言われたこともあります。

―イ・ソンミンさんにとってこのドラマ「ミセン-未生-」は、俳優としてどのような位置付となった作品ですか?

イ・ソンミン:良い作品に出演できたという光栄と良い人々に出会って良い縁を結ぶことが出来たという点です。そして私の代表作として語ることができる程の完成度がある作品だと思います。(私の演技でなく作品だけ……)

―イ・ソンミンさんは演技派と評されていますが、日本で注目している演技派俳優はいますか?

イ・ソンミン:日本の俳優を多くは知らないのですが、北野武さん竹中直人さんを尊敬しています。

―イ・ソンミンさんが実際に会社員になっていたら、今頃どんな仕事をしていると思いますか?

イ・ソンミン:そうですね……多分課長程度で退職後に何をするのか深く考えて、娘が大学卒業する時まで耐えてみようと自分をなだめているのではないでしょうか?(笑)

―今回、会社員の視聴者からもかなり反響を得ていましたが、ドラマで会社員を経験して視聴者の方に伝えたいメッセージ、アドバイスはありますか? 会社員として、うまくやっていくコツは何だと思いますか?

イ・ソンミン:私は俳優であり、会社員を演じただけの事。どのように彼らにアドバイスをしてあげられるだろうか? ただ、彼らが凄く見えるだけです。ただ、私の立場から、彼らに言ってあげられる事があったら、まあ……俳優という職業も手ごわいストレスを受ける職業であるという点です。そして、常に私たちも、私たちの将来について不安で生きているという点と、俳優もだたの職業という点です。

―ドラマの中であったような会社員が日々抱えるストレスや悩みは、イ・ソンミンさんもありますか? ある場合のストレス解消法があれば教えて下さい。

イ・ソンミン:俳優も多分ストレスが多いです。私もやはりそうなのですが、特別な事は無く、よく休むのが解消法ですね。人に会って、お酒は飲めないのですが、飲み会でおしゃべりします。俳優もその日撮影が終わって時間があれば、必ず一杯飲んで帰って寝るもんです。そして私もなかなか難しいのですが、旅行は必ず行ってみたいです。

―ドラマで後輩社員の面倒を見る様子が描かれていましたが、実際俳優として後輩の面倒を見たり、アドバイスをすることはありますか? 何かエピソードがあれば教えて下さい。

イ・ソンミン:私はオ・サンシクみたにはできません。私が知っている事はたいして無いですから。ただ、「ミセン-未生-」を撮影している最中は、恐れ多くも私が中心ならなければならない撮影現場だったので、何かをする必要がありました。だから俳優たち同士でも一緒にご飯を食べようと言いました。笑い話ですが、通常の韓国ドラマの現場はご飯を一緒に食べないで、各自で食事をする事が多いんです。「ミセン」の時は、可能な限り俳優たちがご飯を一緒に食べようと話し合って、そのようにしました。それが本当に良い思い出であり、それがチームワークを固めるささやかな方法でもあったようです。これは他のドラマの撮影時にも是非お勧めしたいですね。

―これから「ミセン-未生-」を見る日本の視聴者へ作品の見どころとメッセージをお願いします。

イ・ソンミン:この話は韓国の会社員と新入社員の成長過程を描く韓国情緒のドラマです。もし、日本の文化と違いがあったとしても、理解して頂いて見ればさらに面白く見ることができるでしょう。日本や韓国でも共通して共感できる話と情緒がたくさんあると思いますので、面白く鑑賞されるよう願います。

「ミセン-未生-」
原作:ユン・テホ「未生~ミセン」
演出:キム・ウォンソク「トキメキ☆成均館スキャンダル」「モンスター~僕だけのラブスター~」/脚本:チョン・ユンジョン「アラン使道伝」

キャスト:イム・シワン(ZE:A)「太陽を抱く月」「トライアングル」/カン・ソラ「ドクター異邦人」「メンドロントット(原題)」/カン・ハヌル「相続者たち」/イ・ソンミン「パスタ~恋が出来るまで~」「ミス・コリア」/ピョン・ヨハン「元カノクラブ(原題)」

<DVD BOX-1>
発売中
価格:12,500円+税/4枚組
特典映像:メイキング映像ほか予定
<DVD BOX-2>
発売日:2015年11月27日(金)
価格:12,500円+税/4枚組
特典映像:メイキング映像ほか予定
<レンタルDVD>
Vol.1~6 TSUTAYA先行にてレンタル中 ※以降順次
※こちらの作品はTSUTAYA 先行でレンタル、〈テレビ放送版〉となります。

2014年 韓国/音声:オリジナル韓国語 字幕:日本語/全20話/全2BOX
原題:미생 未生/発売・販売元:エスピーオー/(C)CJ E&M Corporation,all rights reserved.

公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/misen/

記者 : Kstyle編集部