K-POP人気&潜在力は?中国最大級の音楽専門サイトのウエンディ・シー共同代表が語る

10asia |

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中国でK-POPに関する記事でよく見かけるヘッドラインだ。韓国歌手と企画会社は中国内の人気度を計る主要な指標として、音悦台のデータを引用する。中国に向けたK-POPスターたちの活動が活発な中で、これによる音悦台への関心も高まっている。音悦台は中国最大級の音楽専門のインターネットプラットフォームであり、ミュージックビデオのポータルサイトで、中国でK-POPを本格的に紹介した初めてのサイトでもある。

6日、音悦台の共同設立者であり、首席デザイン担当者であるウエンディ・シーが韓国を訪れた。ウエンディ・シー共同代表は8日、ソウル東大門(トンデムン)デザインプラザで開催される「2015ソウル国際ミュージックフェア(MU:CON)」に参加し、「中国音楽産業の革新と音悦台」というテーマでカンファレンスを開催した。これに先立ち6日午前、ウエンディ・シー共同代表は韓国の取材陣と会った。

ウエンディ・シー共同代表は5年前に初めてK-POPに出会った。当時、韓流は中国内で大衆的な人気を得る前であり、一部のコアなファンの中で注目を浴びていた。ウエンディ・シーは「5年前に初めて韓国を訪問した。その時は中国の大衆メディアが韓流について詳しく知らなかった。しかし、若い年齢層の間では韓流は人気があった。音悦台はファンダム(特定ファンの集まり)のためにサービスを行っていたため、それに関心を持つようになり、韓流アーティストのプロモーションを進行することになった」と明かした。

一番最初にK-POPを中国に広げた音悦台は、ファンダム経済を基盤としている。ファンたちを対象にサービスとプロジェクトを持続的に行っている。ウエンディ・シー共同代表もファンダムを対象にしたサービスを音悦台の差別化されたサービスとして挙げた。

「中国には公式ファンクラグという概念がなかったが、中国の人気グループTF BOYSの公式ファンクラブを音悦台で初めて作った。防弾少年団の中国公式ファンクラブも立ち上げた。アーティストを近くで見ることがファンの望みである。EXO、防弾少年団、CNBLUEのジョン・ヨンファなどのファンミーティング、サイン会のようなオフラインイベントをたくさん開催した。中国ではコンサートのチケット代がとても高い。韓国の2~4倍にもなる。音悦台が主催するコンサートはチケット代が半分だ。ファンたちがアーティストたちをより近くで見ることができるサービスを提供するために努力している」

音悦台はファンたちの活発な活動のために、オンラインショップも立ち上げた。中国は文化商品に対する統制が厳しいため、韓国で発売されるMD商品やCDを購入することが難しい。音悦台はこのような問題を解消し、オンラインショップを作り、中国内で流通を始めた。音悦台で購入しても、韓国のHANTEOチャートとGAONチャートのアルバム販売量の集計に反映されるように手続きを終えた。

音悦台はファンたちの心理を正確に把握していた。ファンたちがCDを購入したり、ミュージックビデオを視聴するのは、単純なコンテンツを消費することにとどまらず、好きな歌手の順位を上げるためだ。中国のファンダムの底力も順位に影響する。音悦台で行われているアルバム販売量からミュージックビデオの再生数まで、GAONチャートに集計される。ウエンディ・シー共同代表は「他の国ではYouTubeのミュージックビデオをよく見ているが、中国はYouTubeが禁止されている。以前はファンたちがアイドルを応援しても、現地で反映することが難しかったが、ファンたちの切ない気持ちを分かっていたため、韓国と協力することに努めている」と説明した。

中国に対する先入観は、閉鎖的な政治体制による障壁と著作権意識の不在によるものである。ウエンディ・シー共同代表はこのような障害も解消されていると話し、「中国でも昨年から著作権に関する問題を重要視するようになった。問題があるサイトは閉鎖された。文化部でも努力している。文化部が音悦台のような著作権が保護されたサイトを支援すると明かした」と伝えた。

音悦台は中国最大級の音楽サイトの一つであり、公信力を維持しようと努力している。音悦台のK-POPチャートは10つの基準で順位が集計されている。SNSのいいね!とミュージックビデオの再生数などのいろんな項目を合わせて相対評価をし、点数を付ける。ウエンディ・シー共同代表は「捏造は絶対にない」と強調し、「中国内で最も影響力のあるチャートだと思っている」と自信感を表した。ファンダムを対象にするチャートであるだけに、中国内の韓流ファンたちがどんな歌手に注目しているのかを確実に把握できる指標であるという。ウエンディ・シー共同代表は「K-POPの消費層は14~23歳くらいだったが、今は年齢層の幅が広くなった。12歳から30歳くらいまで関心を持つようになった。主流メディアも認めているため、今後も中国でのK-POPの人気は引き続き高まるだろう」と伝えた。

それならば、中国市場に進入するK-POPの関係者たちは、どんな戦略を立てなければならないのだろう。ウエンディ・シー共同代表は時間を投資することを強調し、「これまでは中国市場に進入することを試みる段階だった。すでに韓国で人気を博しているアイドルが進出したり、子会社を設立している。さらに大きな発展のためには、より多くの時間を投資する必要がある。それだけではなく、ファンサービスを提供し続けることが重要だ。コンサートやビジネス的なイベントを行うだけではなく、時間を投資して、中国現地で活動することでさらに大きな収益を得ることができるだろう。韓国歌手たちの中国進出の良いパートナになりたい」と話した。続いて「韓国との文化交流には問題はない。大きな街だけではなく、小さな街に行っても若者たちがK-POPをよく歌う。今後も緊密な協力が行われることを願っている」と伝えた。

音悦台は文化交流だけではなく、中国のアイドルを育成することを目標としている。ウエンディ・シー共同代表は「音悦台では現在、プロジェクトを進行している。中国でアイドルをどのように養成するのか、方法を見つけるプロジェクトだ。韓国、日本、アメリカなどの色んなトレーニングアカデミーと協力して、練習生を選抜し、中国でデビューさせる計画だ。中国ではアイドルを養成することについてよく知られていないが、私たちは既に成功した経験がある市場から学び、中国らしいアイドルを養成することが目標だ。来年の4月に音悦台の授賞式で紹介する計画だ」と明かした。韓国のトレーニングノウハウと中国の資本が一つになった時にどんな相乗効果を生み出すのか、音悦台を通じて確認することができるだろう。

記者 : パク・スジョン、写真 : MU : CON、翻訳 : チェ・ユンジョン